チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年10月25日
処刑されたロプサン・ギェルツェンは処刑の前日母親と面会していた
今日のRFAで、4人の処刑に関し、チベットからの電話を直接紹介していました。
女性の声でしたが、電話は途切れがちで、はっきりとは聞き取れません。
その女性が伝えるには
「処刑の一日前に家族が刑務所に呼ばれた。私が知っているのはロプサン・ゲルツェン(彼女はロプサン・チュペルと言った)の母親が会いに行った時のことだ。
ガラス越しにロプサン・ギェルツェンは母親に
<子供のことをよろしく頼む。
とにかくちゃんとした教育を受けさせてほしい。
自分のことはもうあきらめてくれ。
自分のことは心配しないでいい。
大丈夫だ>
と話たという」
彼には4歳になる子供がいる(いた)。
同じく処刑された他の3人の身寄りも面会したと思われるが、これ以上の情報は今のところ入っていない。
処刑は後ろ手に縛られ、後頭部を撃つという銃殺であったという。
そのほかラサの近況を知らせる電話もあった。
「ラサでは特に若者を中心に今回の処刑を知って、憎しみや怒りの気持ちが昂じている。今回銃殺されたものはみな若者ばかりだ。
若者をこれで怖がらせようとしているのだ。
多くの若者から
<もうじっとしていられない。
去年のようにまた命をかけて立ち上がるか、
或いは勉強するしかない>
という言葉を聞いた。
とにかく、ラサには今軍隊が沢山路上に出ておりチベット人を恐怖で抑えようとしている」という。
依然、4人目の氏名は不明。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)