チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年10月11日
ダラムサラ付近の野鳥・その5
100種野鳥撮影達成!
家からの撮影も60種近くなって限界を感じ始めた先週、二度のちょっとした野鳥撮影遠征を行いました。その結果一挙に100種を突破しました。
たったの一か月半で100種とは自分でも驚いています。
このままなぜか108種までにして
「ダラムサラの野鳥108選」という珍しい本を出版したいという、趣味の出版社関係の人はご連絡下さい。
まず月曜日に向かったのは<ポン湖>。
ダラムサラの南のカングラ盆地に広がる大きな400平方キロもある人造湖。
晴れた日にはダラムサラからも見下ろすことができるが、そこまでバイクで二時間はかかる。
この人造湖はこれからの乾季にはどんどん干上がって行く。
次第に周辺に干潟ができて、これが冬には広大な湿地帯を形成する。
そこには、シベリア、モンゴル、チベットから白鳥、サギ、カモを始め数百種の渡り鳥がここで冬を過ごすために飛来するという。
もっとも、私が行った時は時季早々で干潟もほんの少ししかできていませんでした。
鳥の種類もまあまあでしたが、それでも生まれて初めて大型の水鳥も観察でき満足でした。
湖畔はビーチのように暑かったけどね!
ポン湖の鳥に入る前に、今回せっかくだからと、道中にある古い遺跡をいくつか始めて訪ねてみました。
長く住んでいても近場にはなかなか行かないものです。
最初の写真はカングラ城博物館の庭に置いてある、BC2世紀の石彫文字。もっとも本物はカニヤラというノルブリンカの山側にあるそうでこれは模造品です。
私は学がないのでこの文字が読めません。サンスクリットじゃなさそうですがデーヴァナガリの古いタイプかな、、、?
誰か教えてください。
BC2世紀と言えばアショーカ王のいたマウリア朝のころでしょう。
ダラムサラのすぐ下、30分程の所に空港のあるガッガルという場所がある。そこに残る3世紀の仏塔跡。
眺めの良い川のそばの丘の上にあります。
3メートル四方の基礎部分しか残っていないのではありますが、確かにこの辺の人たちも昔は1000年以上にわたり仏教徒だったのだなあ、、、と思いだしました。
地元の人々は今では根っからのヒンズー教徒と信じきっていますが。
3世紀のこのあたりは確かクシャーナ朝の支配下でした。
ダラムサラから南の一帯はカングラ地方と呼ばれる。カングラには大きな古城が河に挟まれた丘の上に立っている。
この城は9世紀ごろから17世紀ごろまで地方豪族の砦であった。
地形的にも構造的にも難攻不落で有名だったという。
イスラム勢力のインド進行にも最後まで持ちこたえた城の一つだ。
石組なども現在よりよほど精巧。
この辺には他にも6世紀の寺院がありますが、そこはアンコールワットに影響を与えたとものの本にあります。
確かにそれはアンコールはヒンドゥー教の寺なのだし、インド芸術の影響濃厚だから影響はあるといえるが、その他に特別に何をもって「影響」と言ってるのか?いつか調べに行くつもりです。
カングラ古城前には小さな博物館がありました。
中には、城の中にあった石の彫像や柱頭がほぼ転がっていました。
カングラの歴史が紹介されていました。その始まり、石器時代は何と今から2万~3万年前にさかのぼるとか!?その時代の石の刀、矢じりが展示されていました。
それにしても2万~3万年前は眉唾ものだな~~~~1万年さば読んでないかな??
何て余計な疑いを持たずにすなおに日本とは歴史の長さが違うよな、、、と感慨に耽る。
写真は庭にあった10世紀あたりの柱頭です。
昔からインド人はとにかく腹デが好みのようです。
ポン湖は大きくて道に不案内の私は鳥のいそうな湖畔に出るまで道を行ったり来たり、やっと湖畔に通じる道を見つけたがそれも間もなく尽き、後は荒野のオフロードライディングを楽しみながらやっと水辺に辿り着きました。
この辺では見たことのないほど沢山の牛や馬が放牧されていた。
この辺で美しい馬は見たのは始めてでした。
ふとここはチベットの湖畔かと錯覚です。
湖に流れ込む川の河口には水牛がいっぱい水に浸かっており、野鳥の泊り場にもなっているようでした。
Oriental Skylark 20cm
水辺に近づく前の草原を行くと、辺りから次々とヒバリが飛び立ちます。
最初に出会った大型鳥類。
サギの類ではあろうが、よく観察する前に飛び去ってしまったので判別できません。
とにかく、見通しがいいので、あちらもすぐにこちらに気づきます。
そろりそろりと距離を縮めて行くと、ついにあちらが飛び立つ。
その瞬間に撮るという方法しかないと分かりました。
それにしての、大きな鳥はやはり優雅で美しいです。
Grey Heron 98cm
日本のアオサギに似ています。
群をなさず、私が近づくまでは長い間一人で湖面に立ちつくしていました。
この特徴的な白黒鳥はなぜか手持ちの図鑑に見あたりません。似た類の鳥さえ見つかりませんでした。
大きさはハト大。
Cattle Egret
白サギの一種ですが、とくにこのサギは牛や水牛と仲がよくいつも一緒にいます。何か牛の体に付いた虫を捕るとかの共生関係があるのでしょうか?
写真はそれが、牛を離れて飛び立ったところです。
Little Egret
日本のコサギににていますが、目もとが黄色くない。
Redwattled Lapwing 33cm
足の長いチドリの一種。
Common Greenshank(left) & Blackwinged Stilt(right) 25cm
どちらもシギの類。足の赤い方は日本の「セイタカシギ」と同じと思われます。
Blackwinged Stilt 25cm
そのセイタカシギの飛ぶ姿。
これもシギの一種の飛び姿ですが、シギには似たようなのが多くて判別できません。
湖のそばにはイギリス時代からのミニトレインが走っています。走ってるといっても日に数本です。
インド人だって(イギリス人技師がいれば)嘗てはこんな高い石の塔を並べることだってできたのだと感心するほどの高架線路です。
上にはもっぱら人が行き来していましたが。
実はこの橋の下が鳥の集会場だったのです。
橋の下の水場で新しく10種類以上の美しい鳥ばかり発見しました。
次回はその鳥たちを紹介します。
もう、100種達成したので、一旦鳥中毒から自分を解放したいと思います。
「108」とは「もういい加減にしろ」という数字なのですね。
最後に思い出しました。
昨日紹介した<SEEDS>はネットではメイキング版だけしか見れなかったのですね。
よくチェックしなくて全部見れるようなこと言ってすみませんでした。
本物はそのうち日本に送ります。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)