チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2009年10月9日

中国メディアサミット・10月8日~10日

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言論の自由、報道の自由10月8日~10日まで北京で「中国メディアサミット」と言ういかにもミスマッチなサミットが開かれているそうです。
何と主催は新華社!(ブラックジョーク)
世界130カ国からそうそうたるメンバー、例えばAP、ロイター、BBCの会長とかが集まっているらしい。
一体(実際)何を話し合っているのでしょうか?
呼ばれてないのでちっともわからない。

これに関し<ヒューマンライトウオッチ>と<チベット報道記者連盟(ATJ)>が発表したプレスリリースを若松様が翻訳して下さいました。

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中国;メディアサミット開催、報道の自由を訴えるチャンス

外国人報道記者に対する国家権力による報道検閲、規制について

10月7日 (ヒューマンライツウォッチ ニューヨーク)

http://www.hrw.org/en/node/85992

ヒューマンライツウォッチは10月8日ー10日まで中国北京で開催予定の世界メディアサミット参加者に、中国政府による報道の自由への侵害、報道記者に対する定期的に行われる妨害、拘束や脅迫について、是正を求めるよう呼びかけます。

このサミットは、前中国政府宣伝機関の副代表で、現中国国営通信社、新華社通信の代表Li Changjunと、新華社通信社によってとりおこなわれ、130カ国の外国人報道機関の代表が参加し、中国との間の将来のメディアトレンドや2カ国間、多国間による報道協力について話し合われる。
参加者には、ニューズ・コーポレーションのCEOルパート・マードック会長、AP通信社(米国)のトーマス・ カーリー社長兼会長、ロイター通信社、編集長デヴィッド シレーシンガー、BBC 会長マークトンプソンなどを含む。

ヒューマンライツワッチでは、中国の地元メディアは何十年間も政府の公式プロパガンダに沿うよう、政府から厳しい報道検閲を受けていることを報告しています。また2008年の抗議行動勃発以降、外国人報道記者のチベット入国は禁止されており、中国人報道者は、2008年に起こった6名が死亡、何千人という子供を病気に陥れた毒入り粉ミルクについて等の重要な国際問題についての報道を禁止されており、外国人報道記者とともに働く中国人アシスタントは独立調査に関わることを禁止されています。

中華人民共和国憲法第35章で、中国政府による報道の自由が保障されており、2009年4月に国家人権行動計画により再確認されているにもかかわらず、外国人報道記者と中国人記者の両方は、中国政府による報道の自由への侵害、報道記者に対し、政府役員、公安当局やその局員により定期的に妨害、拘束や脅迫にあっています。

ここ1ヶ月の間だけでも、10月1日の建国記念のパレードのリハーサルを取材中の日本の共同通信記者3名の件を含む、取材中に記者が暴行を受ける、殴られる、地面に押し倒される等の報告が届いています。2009年8月31日には、中国広東省、東莞市南部 市役所によって雇われた2名の私立治安警備員により現場の写真を撮ろうとした広東日報の記者Liu Manyuanが暴行を受けるという事件がありました。

治安警備員はLiu を地面に押さえつけ10分間連打し、首と腕に打撲を与え、一時入院を余儀なくされました。

これらの問題点はサミットの公式プログラムには、含まれていません。

ヒューマンライツウォッチ アジア支局代表のSophie Richardsonは「中国における報道の自由を獲得するために、外部からの応援を必要としているのは間違いありません。問題は世界最大級のメディア社が、その役目をどこまで果たせるかにかかっています。」

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The Association of Tibetan Journalists (ATJ)
チベット報道記者連盟(ATJ) プレスリリース For immediate release
コンタクト: Tashi Wangchuk, (Tibetan, English – 0091 – 94180 – 54685)
Gurbum Gyal (Chinese – 0091- 98161 – 63986)

ダラムサラ2009年10月8日 チベット報道記者連盟(ATJ)は虚構とプロパガンダに満ちた中国共産党の公式ニュース機関である新華社に対して、同社によるメディアサミットの参加者は、報道規制と表現と言論の自由に対する侵害の問題について提議するよう求めます。

ATJは、このサミットは、これまでにも一党独裁政権に反する声を握りつぶし表現の自由を損なって来た中国に対する、国際的なメディアの意見を回避するための目的で開催されることを確信します。

Passang Norbu19才は、今年8月12日にインターネット上でチベットの独立やダライラマの写真や中国支配に対するチベット人らによる抗議行動を見ただけで、逮捕されました。

Paljor Norbu、81才は彼の経営する印刷工場で非合法のチベット国旗を印刷したとして逮捕され7年の刑を言い渡されました。さらに、文筆業に携わるチベット人で単に中国政府に反対する意見を発表したことで、逮捕や拘束されるケースが続いています。

中国の表現の自由に対する規制の様子は、昨年、政府の監視のもとに行われた国際報道記者の一団によるチベットツアーで、亡命中のチベットリーダー ダライラマへの忠誠と中国政府への反感を訴えた、ラサのジョカン寺の僧侶らによる必死の姿が物語っています。

10月1日の共産党設立記念日の数日前に、日本の共同通信の記者が自分のホテルの部屋で、暴行に遭い、コンピューターを壊されるという事件がありました。また複数の国際通信ウェブサイトや、大手国際通信社に働く記者の所有するコンピューター等にウィルスや凶悪なソフトウェアーによる攻撃があった報告も発表されています。

Tashi Wangchuk ATJ 代表は亡命チベット人報道記者による本土への取材の可能にすることへの希望を語りました。”もし、中国が主張するチベットの安定と繁栄が真実なら、私たちのチベット訪問を許可し、この目でチベットの現状を確かめることが出来るはずです。”

昨年の抗議行動の様子を外の世界に知らせるため、チベット人の多くは携帯電話で、写真やビデオの撮影をしました。その結果、政府はインターネット、電話、携帯電話のネットワークに対する規制を強化し、逮捕や刑務所での拷問の実態といった報告を確認するのを困難にしています。
そのため、チベットで起こっている情報が外に報道されるには、時差ができており、多くのチベット人は”国家機密(を国外に)漏洩”の疑いで中国刑務所に連行され、“分裂主義”というレッテルを貼られています。

ATJでは中国政府にチベットの人々の表現の自由を尊重し、(亡命チベット人記者を含む)報道陣の自由で独立した取材を許可を訴えます。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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