チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年9月14日
ITSN政治囚キャンペーン/再びラモ・ツォにインタビュー
以下、ITSNの「政治犯キャンペーン」についてのお知らせです。
えり様が翻訳して下さったものです。
今回のキャンペーンの中心になっているドントゥップ・ワンチェン氏の奥さまに今日もあって話を聞きました。
下の方でそれを紹介します。写真はそのラモ・ツォさん。
朝のパン売りを終わって部屋に帰るところ。
三枚目はチュバに着替えて「9-10-3の会」の事務所に行くところ。
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文責;若松えり
鎌田様;TSNJ
久保様;WLFT
政治囚キャンペーン参考資料と最新情報
ITSNメンバーの皆様
9月8日付けでお送りしました政治囚キャンペーン(取り合えず省略・中原)について、追加情報 と提案されている、世界同時トゥンドゥプ・ワンチェンアクションの日についての詳細と資料の一部が用意できましたのでお知らせします。
1;キャンペーンの概要
政治囚キャンペーンについて9月8日のメッセージで、お知らせしまし
たように今後9ヶ月に渡り9人のチベット人政治囚の認識度を高め、釈
放に向けて働きかけるとともに、中国の弾圧下にあっても揺るぐことの
ないチベットの抵抗の力に焦点を当てることが目的です。
その目的を達成するために、より多くの団体に参加していただき
最大の効果を発揮しチベット人政治囚の釈放を成功に導きたいと考えま
す。
チベット団体の大小に関わらず、以下のアクションの中から可能な限り
のアクションに参加していただくことで、各団体がこのキャンペーンを
成功に導くための重要な意味を持つと思いますので、なにとぞよろしく
お願いします。
2;開始と広報
前回にも告知したように、現在、このアクションのHPを作成中で
す。
HPには団体からのビデオメッセージがポストでき、ブログ、写真ギャラ
リー、緊急メールアクションのページと、政治囚プロフィール等を含み
ます。
HPのリンクはこちら;www.FreeTibetanHeroes.orgで、9月14
日(月曜日)にオンライン予定ですが、準備が整いましたら再度告知
メールを送りますので、支援者への広報や、緊急メールアクション、コ
メントポストや情報等にご活用ください。
3;資料
キャンペーン ワーキング グループ(以下CWGと記
載)はこのキャンペーン用に支援団体が活用できる資料を作成しました。
http://www.tibetnetwork.org/resources-dhondupwangchen
(ITSNのHP内のResoucesセクション)には、以下の
ような資料が即時、お使い頂けるように、用意されていますのでご活用
ください。
-トゥンドゥプ・ワンチェンアクション絵はがきPDF
2種類あるうちの、(印刷用)と明記された方は各自が印刷後、切り抜
き線を使って切り取って葉書として使えるようになっており、
もう一方は(ウェブ用)と明記されており、そのままウェブサイトにコ
ピーできるようになっています。
-チベッタンヒーロー;チベット人政治囚のリスト
– トゥンドゥプ・ワンチェンの写真各種
以下は近日中に用意できる予定です。
– 世界同時アクション用プラカード テンプレ
(詳しくは以下を参照ください)
4;トゥンドゥプ・ワンチェン世界同時アクション- 2009年9月
23日
もうすでに皆様もご存知のように、2009年9月23日ニューヨーク
で行われる国連総会の席で胡錦濤(フー・チンタオ)が演説予定であ
り、CWGではトゥンドゥプ・ワンチェンの件に焦点を当てるた
め、中国大使館前で抗議行動を世界同時行動として提案しており、胡錦
濤(フー・チンタオ)の演説予定に際して圧力をかける予定です。この
アクションはすでにNYで実行に移される予定で動き出しています。
CWGとITSNメンバー支援団体との協議の結果、ITSNでは9
月23日を
トゥンドゥプ・ワンチェン世界同時アクションの日とし、この日を世界
同時行動を起こす日として活用されることをおすすめします)
各団体では、この日に合わせて抗議ラリーやキャンドルのイヴェントを
各自の地区の重要スポット、例えば中国大使館や総領事前等で、用意さ
れることをお勧めします。
トゥンドゥプ・ワンチェンアクション用の絵はがきは胡錦濤(フー・チ
ンタオ)に宛て書かれており、世界同時アクションに向けて、またはそ
の当日のイベント等でもお使いいただけます。
5;追加資料;
ITSNでは現在、キャンペーンに使用できる追加資料を作成中です。
トゥンドゥプ・ワンチェン世界同時アクションの日に焦点をおい参考資
料を9月21日(月曜日)以前にお届けする予定です。
– トゥンドゥプ・ワンチェン世界同時アクションの日の開始メッセージ
– プレス用参考資料
この政治囚キャンペーンとその関連資料についての、ご質問は
campaigns@tibetnetwork.org.まで、お気軽にお寄せください。
よろしくおねがいします。
Mandie McKeown と Paul Golding
ITSN Campaigns Coordinators ITSN キャンペーンコーディネーター
campaigns@tibetnetwork.org
http://www.tibetnetwork.org
以下英語原文省略
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ドンドゥップ(トゥンドゥップ)・ワンチェン氏の奥さんラモ・ツォさんが子供と、旦那さんの両親と一緒にダラムサラに3年前から住んでいらっしゃることなどはこの前ブログでお知らせしました。
今日は実は一人の日本の方が前の日から彼女の部屋に泊まり込み、彼女の一日をすべてビデオに撮られました。
私は途中で少しだけ部屋で話を聞かせて頂いただけです。
彼女の部屋で、その子?に「朝はどうだった?」と聞くと、
「朝は2時起きでしたね」
「へえ、1時じゃなかったんだ。少し良かったね」
「でも私は眠れなくて、眠いですね、、、2時に起きて5時半までパンを作っていました。
夕方からいたのですが、5時に食事、6時からパンの仕込みで7時には寝ましたね」
「朝のパン作りはどうだった?
どうせ君はビデオ撮ってばかりでちっとも手伝わなかったのだろうけどね、、、」
「え、少しは手伝いましたよ。とにかく凄かったですね。ものすごい量で格闘ですね。彼女の肩は相当強いですよ」
「どのぐらいの量作ってるの?」
「その目の前にある赤いタライに二杯ですね」
私はそのプラスチックのタライを見て、その大きさからして信じられない!と驚いた。
タライは60cmはある。この中に小麦粉を一杯入れて、その後水を混ぜながら煉るのだろうが、私には到底できそうにない技というか力が要ると思った。
パンの下地を練ったことがある人なら解るであろうが、一抱えもあるべとべとを機械を使わずに細腕の女性がどうやって煉るというのか想像もつかない。
それを焼く手製の四角いかまどが部屋の隅にある。その横が台所で部屋は6畳ほどだ。トイレは共同。部屋は昼間も暗い。
部屋の中には法王のお写真とパン作りの道具以外はほとんど何もない。
こうして毎日数百個のパンを作り、夜明けにそれらを背負ってバス停まで歩き、売り切れるまで道端に座るのか、、、、大変だな。
準備を整え質問を始める。(注:今回は、今回も私はある子にタダで使われている身でして質問はそのある子Mの考えたものです。以下思い出す一部のみ)
M:「まず、お名前と年齢、出身地を、、それとどうしてこのダラムサラに来られたのか?を」
ラモ:「名前はラモ・ツォ、37歳、アムド・ラプランの出身だ。自分は3年前にダラムサラに来た。先に子供たちをここに送っていたので、会いに来たのだ。最初はまたラサに帰るつもりだった。少しのんびりしてるうちに夫から連絡があり、帰らずにダラムサラにそのままいるようにと言って来た。それからしばらくして夫の両親も亡命してきた。私は夫も近いうちにこっちに来るのだろう心待ちにしていた。それが去年突然、夫が逮捕されたと聞かされた」
私:「ダムを通って逃げて来たの?」
ラモ:「そうだ」
私:「何日歩いての?」
ラモ:「二日だけ。ダムの国境を越えるには10日コース、5日コース、2日コース、数時間コースといろいろあるけど、何れ川を越えないといけない。でも川には鉄のロープが渡されていてそれで渡った。私には何でもなかった」
私:「夜中でしょう。怖くなかった?」
ラモ:「怖いのは中国の兵隊に見つかることで、それは怖かった。でも道は何でもなかった」
M:「そんな怖い思いをしてまでどうしてインドに逃げて来ようと思ったのか?」
ラモ:「それは子供をここに送ったことから始まる話だが、教育のためだ。ラプランにも学校が無いわけじゃない。でも中国語中心だし、英語はない。歴史も文化も全部中国が作ったものを勉強しなけりゃいけない。考えもいつか中国人になってしまう。それに何よりお金が沢山要る。
それに比べてここの教育はずっといいと思う。先生も寮母さんもやさしいし、チベット語と英語が勉強できて、文化や仏教も学べる。ちゃんとニンジェ(慈悲・やさしさ)についても教えてくれる。中国にはそんな教えはない」
M:「どうして子どもたちをそうまでしてチベット人として育てたいのか?」
ラモ:「自分たちはチベット人だ。中国人とは何もかも違う。食べ物から、服装、習慣、言葉、、、、違うことばかりだ。何よりも中国人は自分のことしか考えない。チベット人は違う。チベット人ならいつも相手の事を考えてる。相手の立場に立って考える習慣がある。中国人にはこれが全くない。みんな自分のことしか考えてない。
だから、子供たちはチベット人として育ってほしいのだ。チベットの文化を守ってほしい。でも文化を守るといっての、教育がないとそれはなかなかできない。
自分たちは、私も夫も学校に一回も行ったことがない。字が書けない。これは悲しいことだ。チベットを守りたいけど力がない。教育が一番大事と思う。私も一度ダラムサラで数か月英語の学校に行ってたことがある。今は時間がないが、それでも少しでも時間がある時は勉強してる」
M:「旦那さんはどうして逮捕されたのか?」
ラモ:「夫はやさしい家族思いの人で、何かの用事で外に出てもすぐに子供のいる家に帰って来ていた。旅に出ても一か月以上家を空けることはなかった。いつも困ってるチベット人を助けていた。チベットの事をいつも考えていたようだった。でもあんなことをするとは思ってもいなかった。
夫は家族に対する愛情から、そのうちチベット人全部を助けるために働こうと思ったのだと思う。それで、チベットを回って世界に隠されているチベット人みんなの本当の気持ちを集めて外の世界に知らせたのだ。それで逮捕された。
でも、本当は何も法律に反することはしていないのだ。他の国なら全くそんなことで逮捕されない。中国の法律でも本当は何も罪にならないと弁護士から聞いてる。
でも、結局中国はチベットではやりたい放題で法律なんか全く関係ないのだ。法律は外に見せるためだけなのだ。
夫は逮捕されただけじゃない、みんなそうだがたくさん拷問をうけてる、ひどい扱いを受けたに違いない。夫は元気で持病など何もなかった。でも今は一生治らないという肝炎にかかっているときいた。心配で仕方がない。早く解放されることを祈ってる」
続く。
その後も夫を思う妻の気持ちや、チベットの状況について熱く語ってくださいましたが、今日はこの辺まで、続きは近いうちにまたということで。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)