チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年7月18日
法王へ偽Eメール?
ウイグル組織からダライ・ラマ法王宛てに送られたというEメールは偽物
Phayul / Dharamsala,July 16:
世界ウイグル会議はダライ・ラマ法王宛てにウイグル人への支持を訴えるための如何なる手紙も送っていないとプレス・リリースで発表した。
ウイグル・アメリカ協会副代表Alim Seytoff氏と世界ウイグル会議のスポークスマンの名前で7月14日に法王あてに送られたとするEメールは偽物であり、Seytoff氏によって送られたものではないと言明した。
この偽Eメールは東トルキスタンのウイグル人を支持するために行われる世界的抗議キャンペーンにチベット人の参加を要請するものだったという。
(しかし、一方)法王の秘書官テンジン・タクラ氏はレポーターに対し、そのような手紙もメールも一切受け取っていない、と答えた。
世界ウイグル会議は「このメールはWUC(世界ウイグル会議)やUAA(ウイグル・アメリカ協会)とは全く関係がないものであり、単語のミスも多く、添付のリストも間違っているし、Seytoff氏の役職も間違っている」ともコメントした。
しかし、すでに複数のニュースメディアがこの偽のEメールを引用しているし、中国メディアも「専門家」の意見だとして、これをもって海外のウイグル組織もチベット亡命政府も同じ分離主義者だと評論しているという。
プレス・リリースはさらに「UAAとWUCはこれらの偽メールやウイルスは中国人ハッカーたちがウイグル人の人権擁護活動を妨害するために行っているものであり、目的は人権擁護を行っている活動家の信用を落とすためと世界のリーダーを混乱させることにある」
「中国政府の強硬な弾圧政策の下に置かれているウイグル人とチベット人の状況には多くの共通点がある。例えば、その宗教弾圧、文化抹殺、投獄、そして広く行われている拷問などだ。しかし、チベット亡命政府が分離主義者組織でないように、UAAもWUCも分離主義者組織ではない。両組織は共に東トルキスタンの人々の自治と人権を求めているだけだからだ」と続けられている。
多くのチベット支援者たちがネット上で、中国政府のウイグル人とチベット人の戦いを一絡げにしてテロリストと呼び、その弾圧を正当化しようとしている動きに懸念を示している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
タクラ氏が「そんなものは受け取っていない」と言うメールを巡るお化けな話です。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)