チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2009年7月11日

ウルムチ・ジェノサイド?

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Rebiya Kadeerウルムチで最初の衝突はどのような状況のもとで起ったのか?
どう展開したのか?

当局は184人の死者の内、漢族が137人、約3/4と発表した。
ウイグル人がたったの46人というのは、ラサの時と同じく冗談としても、漢族がそれだけどうやっていつやられたのか?
それほどの反撃を加える前の状況はどうだったのか?
等の肝心な点は全く明らかになっていません。
これから徐々に(中国人がやられた状況だけは)明らかになるかも知れませんが、当局はデモ参加者、目撃者を徹底的に逮捕、拘束しているでしょうから、真相はなかなか見えてこないでしょう。

一見報道も自由に見せかけていますが、すべて監視のもとです。中央政府が許可したものの、地方当局はこの処置に反発しているそうです。

肝心な部分は闇のままです。

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そういえば昨日サーチナの、トルコが中国の今回の処置を歓迎している、というような趣旨の記事を紹介しましたが、今日BBCではトルコが「中国が今回ウイグル人に対してしたことはジェノサイドだ」との声明を出したことを伝えています。

10.7.09 ダラムサラダラムサラでは昨日夕方ウイグルの人々との連帯を示すためのキャンドル行進と集会が行われました。

日本でも明日デモがあるようですが、中国人も妨害のために召集を掛けているようです、まずは数で負けないように、チベットサポーターもできるだけ参加してしてほしいとおもいます。
あくまで非暴力で、中国人が近づいてきたら「フリー・チャイナ!!! フリー・チャイナ!!!」をお忘れなく。

以下、まずアムネスティ日本とITSNの声明文を紹介し、その他の目立ったニュースをコピペします。

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日本支部声明 : 新疆ウイグル自治区:非暴力で抗議行動を行った者の即時釈放と透明性ある調査を求める

http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=681

駐日中華人民共和国大使館 特命全権大使 崔天凱 閣下

アムネスティ・インターナショナル日本は、新疆ウイグル自治区での武装警察と市民との衝突によって150人を超える死者と1000人以上の負傷者が出たことについて深く憂慮します。中国当局は、非暴力で抗議行動を行なって拘束されたすべての人びとを釈放すべきであり、また治安回復を理由に過剰な武力を行使してはなりません。

7月7日付けの報道によると、ウルムチにおける死者は当局の発表で156人、負傷者は1080人にのぼっています。さらに警察がウイグル人の各家庭をまわり、「尋問」のために若い男性を次々と連行しているとも伝えられ、拘束者は1400人以上に達しています。

抗議行動は、2名のウイグル人が死亡した広東省の玩具工場における暴力沙汰への警察の対応に抗議し、平和的なデモから始まったと伝えられています。一方、治安当局は、国外のウイグル人組織が暴動を扇動したと主張し、自治区内の「扇動者」の重要人物として10数名を逮捕、なおも約90人を捜索していると発表しました。

アムネスティ・インターナショナルは、中国当局には市民の生命と安全を守るための措置をとる義務があり、治安部隊であれデモ参加者であれ、暴力に訴え市民を死傷させた者はその責任を裁判によって問われるべきであると考えます。しかし一方で、中国政府は、平和的に抗議行動を行おうとするウイグル人の表現の自由を厳しく制限して弾圧し、抗議行動に参加した人々に過剰な武力を行使し、また恣意的な逮捕を続けています。

アムネスティ・インターナショナルは、拘束されたウイグル人が拘禁中に拷問や虐待を受けたり、騒乱の「扇動者」あるいは「分離主義者、テロリスト、宗教過激派」の容疑をかけられた者が公正な裁判を受けることもないまま極刑に処せられる危険があることについて、とりわけ強い懸念を抱いています。中国当局はこれまで、「反テロ」を理由に何万というウイグル人を拘禁しており、「分離主義者、テロリスト、宗教過激派」の容疑で拘禁されたウイグル人は、隔離拘禁、拷問、不公正な裁判に基づく投獄、さらには処刑という重大な人権侵害の危機に晒され続けています。

ウイグル人と漢民族との間での緊張は、長年にわたって蓄積されたものです。新疆ウイグル自治区では、ウイグル人の市民的、政治的、経済的、そして文化的な権利が侵害され続けており、ウイグル人としての権利を公に主張することは、「テロリスト」や「分離主義者」のレッテルを貼られることにつながります。政府は多くのイスラム寺院を閉鎖し、数万冊のウイグルの本が発禁・焚書にされ、新疆大学のほとんどの講義でウイグル語の使用が禁止されました。漢民族の不動産業者がウイグル人から土地を奪うという報告もあり、雇用においてもウイグル人が差別されています。このような差別や権利の侵害、自由の制限が今回の事件の根底にあることは明らかであり、中国政府は早急に、その政策を見直すべきです。

以上のことから、アムネスティ・インターナショナルは、新疆ウイグル自治区で起きた今回の人権の危機と拘束された人々の処遇などについて、以下の通り貴国に要請いたします。

1. 今回の騒乱に関連して拘束されている人々の名前と所在を明らかにし、自らの意見を平和的に表現し、表現、結社、集会の自由を行使したために拘束されたすべての人々を直ちに釈放すること。

2. 国内および海外のメディアが現地に入り、自由に取材することを制限しないよう保証すること。

3. 多数の死者と負傷者を出した今回の事件について、透明性のある調査を直ちに実施すること。

4. 被拘禁者の犯罪容疑を明らかにし、国際人権基準を尊重し、公正な裁判を実施すること。被拘禁者が弁護士や家族と面会することを認め、必要な医療措置が与えられることを保証すること。

5. 被拘禁者が拷問や虐待を受けないよう保証すること。

6. 固有の文化を享受し、自分の信仰を持ち、自分の言語を使用するというウイグル人の権利を尊重し保護すること。

以上

2009年7月8日
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
理事長   藤田 真利子

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以下、瓜子様訳

国際チベット支援団体ネットワーク the International Tibet Support Network (*注釈1参照)参加168団体は、現在東トルキスタンで起こっている事態の進展に付いて深い懸念を表明します。

私たちは中国政府に対して、平和的な抗議行動に参加したとして拘束された人々の釈放と、遮断されたウルムチ地区のインターネットと携帯電話等の情報手段を復旧し、報道陣の自由な立ち入りを許可し、動乱を悪化されいるプロパガンダを中止し、国連の独立調査を受け入れることを要求します。

ITSN参加団体は、この悲惨な状況について連帯の意を表明するメッセージをthe World Uyghur CongressのメンバーであるRebiya Kadeer女史に対して送りました。

2008年チベットで起きた抗議行動と同様に、中国は今回の事態について”管理”しようと以下の様な点が繰り返されています。

– 外国人記者の自由な取材を閉め出ししている。(現在ウルムチに入っている記者は、政府管理によるツアーの一員として参加している)

– 自治区内から、市民の声を外に出さないように、インターネットや携帯電話の回線を停止して情報を隔離している。

– 夜間の家宅捜査を実施し、何百という人々を逮捕している。

-ニュース報道で、繰り返し抗議行動を、暴動と位置づける画像や表現を流し、民族感情を悪化させている。(*注釈2参照)

-確かな確証もないまま、”敵対的な異分子勢力”とみなし、彼等の合法的な不満の表現を批判している。
(東トルキスタンの場合はthe World Uyghur CongressのRebiya Kadeer、チベットはダライラマと、その一派といったように)

チベットで平和的な抗議行動がチベット高原一帯で起こってから16ヶ月が去った今でも、チベットは実際に戒厳令下の状況にあります。動乱期間中に行方不明となった1000人もの状況は未だわからず、動乱中に死亡したチベット人の数は200人以上にも上ります。

何百という数の逮捕者を出し、判決が出されました。その中には2008年3月14日ラサでの動乱に参加したとして、4人の男性と一人の女性が死刑宣告を受けています(3人は2年の執行猶予付き)死刑囚となったLobsang Gyaltsenと Loyakに対する刑の施行はいつ起きてもおかしくありません。

半世紀にも及ぶチベットと東トルキスタンに於ける中国の占領にも関わらず、チベット人とウイグル人は中国の支配を認めておらず、現在まで絶え間なく、基本的な権利と人権についての要求を訴えています。
チベット人とウイグル人の主権を認めない中国政府の政策はチベットと、東トルキスタンでの安定を生み出すどころか、破壊しています。

the International Tibet Support Network参加団体は、チベットと同様に中国政府による東トルキスタンに対する刑罰の厳罰化、強制失踪や暴行行為などの弾圧が強化されることに、懸念を共有します。

私達はチベットと同様に、中国政府に対して60年に及ぶ東トルキスタン占領に対する誠意ある解決を求めるために、国際社会に協力を求める意向です。
私たちは、Rebiya Kadeer女史が緊急声明で、東トルキスタン全土に渡る非道ななウイグル弾圧の停止を中国政府に対して求め、平和と正義、そして、あらゆる暴力の即時停止の訴えに深く同調します。

*注釈1;The International Tibet Support Networkはチベット支援の国際協調を最大化するために作られた168のチベットに関するNGOを繋ぐ国際ネットワークです。ITSN参加メンバー団体は、チベットの将来に対する政治的見解について、個々の意見を持ちますが、一環してチベットを占領国家としてとらえ、チベットの人権侵害を停止するために献身的に活動し、チベットに人々が国際法によって自身の政治、経済、社会、宗教そして文化に対する権利を取り戻すよう働きかけています。

*注釈2;中国、北京公盟法律研究中心の発表した報告では、2008年3月14日のチベットでの抗議行動にたいする中国政府による悪性のプロパガンダが中国人とチベット人の間に亀裂を作っていることを指摘しています。
報告書には”3.14事件を「暴動」として誇大プロパガンダの一環として事件を誇張する政府のやり方は、ある種のチベット人の民族感情を生んだ。この種のプロパガンダは長い目で見ると、民族の共存にとって大変有害であるだけでなく、漢族がチベットの文化に対してもった興味や魅力は、チベット民衆に対する恐怖と憎しみに変わって行った。”とあります。

参照リンクhttp://tibetnetwork.org/chinesevoice

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暴動死者数は184人に 大半は漢族 中国当局者

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/276758/
2009/07/11 08:22更新

 新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区の当局者は、区都ウルムチ市で発生した暴動の死者数が10日深夜までに184人に上ったことを明らかにした。これまでの当局発表の死者数は156人だった。

 死者の民族別内訳は、漢族が137人(男性111人、女性26人)に上ったほか、ウイグル族が46人(男性45人、女性1人)、イスラム教徒の少数民族、回族の男性が1人。

 暴動の死者数をめぐっては、世界の亡命ウイグル人を束ねる「世界ウイグル会議」(本部ドイツ)が「1000人以上」との見方を示している。(共同)

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「死者最大3000人」 ウイグル会議議長7月11日7時56分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090711-00000096-san-int
【ワシントン=古森義久】中国の新疆ウイグル自治区での暴動について、「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長は10日、米連邦議会の構内で記者会見し、「中国当局はウイグル人の死者数を150余人と発表しているが、われわれが現地から得た情報では1千から3千人に達する」と言明した。

 カーディル議長は「中国当局の武力弾圧や漢族の攻撃により殺されたウイグル人は各地からの未確認情報を総合すると、5日から現在までで、最大3千人にも及ぶと私たちはみている」と述べた。

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【ウイグル暴動】暴動に関わるな 人権弁護士に中国当局警告

http://sankei.jp.msn.com/world/china/090711/chn0907110135002-n1.htm
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)は10日、中国国内からの情報として、司法当局が多くの人権派弁護士に対し、雇用主の法律事務所を通じて新疆ウイグル自治区での大規模暴動関連の弁護を引き受けてはならないと「厳しい警告」を発していると批判した。

同団体のアジア太平洋担当幹部ロジーン・ライフ氏は「弁護士への脅迫は、公正な裁判や法手続きを損ねる」と述べた。

また、暴動を扇動した嫌疑で、中央民族大学副教授でウイグル族のイリハム・トフティ氏が8日朝から公安当局に拘束され行方不明だとした上で、当局に居場所の即時公表を要請、「平和的に自説を述べただけで拘束しないと保証する」ことを求めた。(共同)

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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