チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年6月26日
続・法王TCV仏教講座
法王は昨日も午前中、TCVホールでチベットの学生を前に仏教講座を開かれました。
最初に30分以上質問の時間があり、生徒たちは臆することなく盛んに色んな質問をしていました。
法王もそれに対し、ユーモアたっぷりに、いかにも自分の子供たちに話掛けておられるように、丁寧に答えられていました。
時間どうりに、トクメ・サンポ「三十七菩薩行」のテキストを終えられました。
以下テキストの最初の四節のみ訳してみました。
第一節
得難い(人の身という)貴重な船を得た今
己と他の者たちをサンサーラの(苦の)大海から救い出すために
昼となく、夜となく、聞、思、修に集中すること
これが菩薩の行である
第二節
好きな人への渇愛は水の波立つごとし
敵への怒りは火の燃えるごとし
取る捨てるを取り違えるは無明の闇の故
故郷を捨てるは菩薩の行
第三節
悪しき土地を離れ、煩悩は次第に収まる
妨げがないことにより、善行は自然に増大す
頭脳は明晰になり、法に確信を得る
人里離れた静かな処に住むのが菩薩の行
第四節
久しく和した伴侶も友人もやがて散々となる
努力して得た富と貴重な品もいずれ捨てて行くしかない
旅人である意識は身という宿を後にする
今生を捨てるのが菩薩の行
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)