チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年6月24日
鉱山を巡って衝突メド・ゴンカル
<ラサ近郊メド・ゴンカルでチベット人が鉱山職員と衝突、3人負傷>
ダラムサラ、6月23日付パユル:
ラサの東、メド・ゴンカル地区ギャマ(ガンデン僧院東側の谷)のチベット人たちは、近くの鉱山がギャマの上方にある村の水源地から、水を引くための水路やパイプを設置したことに対し抗議運動を始めた。
パイプは耕作地を横切るが、それらの土地は何の補償もなく取り上げられた。
ギャマの奥にあるこの鉱山はすでに20年近く前から操業されている。
昨年村を流れるギャマ・シンチュ川に残留毒物が投棄されたために多くの牛が死んだという。
6月20日、怒った村人たちは通りに繰り出し、中国人の鉱山職員と衝突した。
怒ったチベット人と中国人の乱闘にやがて警官が加わった。
3人のチベット人が負傷したという。内一人は重傷でラサの病院に運ばれたとのこと。
事件後当局との話し合いが行われたが、住民たちは依然鉱山への道を封鎖しているという。
村の人々はこのギャマ・シンチュ川に飲料と耕作のための水を頼っている。
しかし、この鉱山への給水が始まって以降、川は干上がってしまった。
多くの井戸も干上がり、飲料水にも困っている、と情報元は伝えてきた。
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このギャマはチベットの大王ソンツェン・ガンポ(581-649AD)の生誕地ということになっています。
メド・ゴンカル出身のチベット人をたくさん知っているのですが、この鉱山のことは誰でも知っているといいます。しかし、何を採鉱しているのかは不明です。
「ある大きな岩を爆破しようとした人が事故で死んだとか、その岩の近くで寝ると必ず悪夢を見るというので、その岩は今の残っているだずだ。霊が宿っているから壊せないのだと地元の人は言っている」という話を聞きました。
今年は特に水が無くてどこも困っています。本当に水が無くなれば争いが起こるわけです。
もっとも、我が家にも水が無くなったが、この辺ではみんな諦めてて誰も文句言わないのは、、、理由の違いに依るのでしょう。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)