チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2009年5月31日

チベット美人コンテスト/法王デンマーク首相と会談/カシュガルの町が消える

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d81790bb.bmpダラムサラでは毎年恒例となった<チベット・ビューティー・コンテスト>が始まりました。
2002年にロプサン・ワンゲル氏によって始められた、この社会ではユニークなイベントですが、毎年応募者が少なく、ある年は応募者なしとなったり、首相のサムドン・リンポチェから「チベット社会に似合わない」とかの批判を浴びたりと、多難続きでした。

今年は4人もの応募者があり、スポンサーもやっと付いたようです。
どうしても、詳しく動画でインタビューが見たいという人は以下へどうぞ。

http://media.phayul.com/?av_id=156

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法王デンマーク首相と<ダライ・ラマ法王は5月30日、デンマーク首相及び外務大臣と個別会談を行われました>

http://phayul.com/news/article.aspx?id=24832&article=Dalai+Lama+meets+Danish+PM%2c+Foreign+Minister

ダラムサラ、パユル5月30日:
法王はデンマークに到着後、直ちに首相Lars Løkke Rasmussen 氏、及び外務大臣Per Stig Møller氏との個別会談に臨まれました。

Rasmussen首相は「デンマークには仏教徒は多くないが、多くのデンマーク人が法王のことを称賛し、尊敬している。デンマークはチベットの人権を擁護する」と述べた。
法王はデンマークでは仏教講義と「内なる平安から平和へ」と題された一般講演を行われる。

法王は「すべての私の外国訪問は精神的、教育的性格のものだ。私の二つの誓いである、同じ人間家族の一員として<温かい心>を促進すること、宗教化として<宗教間の調和>を促進することのためだ」
と述べられた。

法王と外務大臣との間の会談では主にチベット情勢について意見交換されたという。
法王は夕方記者会見を開かれる。滞在先のホテルではチベット人やデンマーク人が温かく法王をお迎えした。法王のスカンジナビア諸国ご訪問は今回で8回目。最初は1973年だったという。

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カシュガル旧市街次は新疆ウイグル、カシュガルの話です。
旧市街のほとんどが壊されるそうです。

私は20数年前、カシュガルに行ったことがあります。
その古い町並みは昔のシルクロードの面影を残し、味わい深い佇まいでした。
それがほとんど完全に消え去ろうとしているとは悲しいことです。
ただの味もそっけもない共産党様式中華ビルになり果てるとは!

戦争に勝ったら、敵を皆殺しにし、略奪し、強姦し、町ごと破壊するのが当たり前とまだ思っている国があるわけです。

ラサの旧市街がこうならないことを祈ります。

中国政府、ウイグル旧市街地の撤去強行(上)(下)
「文化破壊」と住民反発

朝鮮日報 2009年5月28日
http://www.chosunonline.com/news/20090528000041

http://www.chosunonline.com/news/20090528000042

中国政府が昨年2月から、中央アジアで最も保存状態が良いイスラム都市といわれる新疆ウイグル自治区の都市カシュガルの旧市街地でウイグル人の伝統家族を撤去し始めた。人口22万人のうち、カシュガル市街地に住んでいるのは約9万人。その多くが住む旧市街地の建物の85%を撤去し、現代式の建築物や商店街を建設する再開発を進める見通しだ。

ここに住むウイグル人は、政府が建てたアパートに借金をして移り住まなければならない。政府は「土と木で建てられた伝統家屋は地震や火災など災害に弱いため」と説明しているが、「ウイグルの歴史と文化を破壊することは別の意味で災難だ」という非難が絶えない。

カシュガルはウイグル人が繁栄と没落を繰り返し、2000年以上も暮らしてきた古代シルクロードの交易都市だ。ウイグルは20世紀初めに2回独立しているが、1949年に中国に併合され現在に至っている。中国のウイグル弾圧は悪名高い。人権団体のヒューマンライツウォッチが2005年にまとめた報告書によると、ウイグル人の大半はイスラム教徒だが、18歳になるまでモスク(礼拝所)への立ち入りが禁止されている。若者への布教やイスラム教育を阻むのが狙いだ。

教師はひげを伸ばすことができず、女性は公共の場所ではヒジャブ(スカーフ)をかぶることができない。漢族の人口は1949年当時は6.7%だったが、攻撃的な移住政策で現在は40%以上に増え、ウイグルの民族コミュニティーを脅かしている。分離独立運動は「テロリズム」と規定され、弾圧対象となっている。

ウイグル人の危機感は、カシュガルの旧市街地撤去でさらに深まっている。女性住民(48)は米ワシントン・ポストに対し、「政府はわたしたちが漢族のように暮らすことを望んでいるが、ウイグル人は決して妥協しない」と語った。また、別の住民(56)は「500年前に祖先が建てた家が突然災害に弱くなるものか」と問い返した。

住民らは狭い路地が迷路のように続く旧市街地のコミュニティーで暮らしており、年間150万人に達する観光客を相手に手工芸品や伝統料理などを売り、生計を立てている。家を捨てろというのは商売を捨てろというに等しい。

 中国の市民団体「北京文化保護センター」は「カシュガルの(旧市街地)撤去計画は文化的、歴史的な角度から見て愚かなことで、ウイグル人の立場から見れば残忍なことだ」と批判した。スイスのシンクタンク、国際関係・安全保障ネットワーク(ISN)は今年4月に発表した報告書で、「旧市街地はウイグル人にとって文化のゆりかごであり、自分たちの歴史が具現された存在だ。移転先のアパートを旧市街地から最低8-9キロも離れたところに建てたことは、ウイグル文化を希釈化し、政府の統制を強化する意図があると見るほかない」と指摘した。

 中国政府の主張にも一理ある。カシュガル市政府は「旧市街地は地震が起きれば、建物の崩壊で数千人が死亡する第一級の危険地域だ。政府が市民を災害の脅威から守るのは当然だ」と主張する。カシュガルでは1902年にマグニチュード8.0の地震が起き、住民667人が死亡した。昨年10月にはカシュガルから160キロ離れた地点でマグニチュード6.8の地震が起きている。

 27日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューンによると、地元テレビでは毎晩、地震現場の惨状と新築アパートの前で喜ぶウイグル人の姿を繰り返し映し出す15分間の広報番組を流しているという。3年間にカシュガルで英語を教えていたという米国人のジョシュさんはブログで、「建物に『撤去対象』と書かれているのを見ると、刑執行を待つ死刑囚のようだ」と書いた。北京師範大の呉殿廷教授(地域開発学)はワシントン・ポストに対し、「ウイグル文化が宿る家々が破壊されれば、ウイグル民族の文化も同時に崩壊する」と警告した。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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