チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年5月25日
タウで強制移住に抗議の群衆に軍隊が発砲、女性ばかり6人撃たれたが生死不明
カム、タウでダム建設に伴い強制移住を命令された村人たちが抗議デモを行った。これに対し軍隊が発砲し少なくとも女性ばかり6人が撃たれたが、当局が連れ去りその生死は不明。
5月25日付、チベット亡命政府プレスリリース:
http://www.tibet.net/tb/flash/2009/May/470509.html
5月24日午前11時頃、カム、カンゼチベット族自治州タウ地区ザパチュに強制移住を言い渡されたタウとナクチュの住民が集まり抗議デモを行った。
これに対し保安部隊と軍隊が発砲、少なくとも6人の女性が重傷を負った。
このダム建設計画は昨年公表され、この時からすでに住民は強制的に移住させられると発表されていた。
しかし、住民たちは一様に代々住み続けた土地を離れることは出来ないとして、そのまま住み続けていた。
これに対し当局は、今年に入り5月5日、武装した軍人を大挙動員し、アティ・ギャツォ家、ツェゴ・ビシ家その他、周辺の民家を取り壊した。
さらにバラマコと呼ばれる町に住民を集め集会を開き、工事開始の式典を行い、石碑を建てた。
しかし、集会の席上ラモと呼ばれる70歳を越える老婆を先頭に、多くの者たちが「土地は自分たちのものだ!どこへも移らない!」と声を上げ、石碑も倒してしまった。
このように地元の反対運動が高まる中、昨日5月24日早朝、再び地区に大勢の軍人が送り込まれた。
これに対抗するようにタウとナクチュのチベット人が大勢集まり抗議の平和行進を行った。
デモ隊に対し軍隊が発砲し、少なくとも女性6人が撃たれて倒れた。
6人の氏名はツェリン・ラモ、リクジン・ラモ、ドルマ、ケルサン、ドゥカル、ガイン。
倒れた6人は軍隊に連れ去られ、彼女たちの生死は不明のままだという。
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これには別バージョンがTCHRDから出されています。
http://www.tchrd.org/press/2009/pr20090525.html
こちらは「集会の最中に、騒ぎ始めたチベット人に向かい催涙弾が撃ち込まれ、負傷者が病院に運び込まれた」というものです。
どちらが真実に近いのか現時点では判断できません。
PhyulはTCHRDを基にレポートしています。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)