チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年5月18日
紛争地帯に囲まれ
突然ダラムサラも暑くなってきました。
もっともまだ30度ほどです。
下界のデリーとかは40度を越える日々が続いています。
このところ、この周りは暑い上にももっと熱い紛争地帯ばかりです。
インドの総選挙はやっと終わって国民会議派が圧勝。
チベット、法王との関係は良好のままでしょう。
インドだけはまだ平和です。
パキスタンはここからほんの100キロ足らず、スワット谷も近いのです。
すでに十万以上の難民が発生しています。
1000人のタリバン兵を殺したとパキスタン軍は誇らしく言っていますが、実際に殺された者の中には村が襲われ若者がタリバンにされて戦わせられた者も多いことでしょう。
ネパールでは武力闘争が成功して政権を取るまでになったマオパティの行方が再び不透明になってきました。
10年間戦いの相手であった軍隊同士が一緒になるということは簡単ではないでしょう。
スリランカのタメル・タイガーはとうとう全滅させられました。
こちらも数十万の難民が爆撃、銃撃戦の中を大移動すると言うことになり、その悲惨さは日々見ているだけでも堪え難いものでした。
タメル・タイガーのボスは殺され、副官二人は自殺したといいます。
25年間の民族自決武装闘争の結末は絶滅という悲惨な結果となってしまいました。
それにしても、政府軍は中国やロシアが後ろにいると思って、やりたい放題メディアを入れず凄惨なせん滅作戦を実行したようです。
よくテレビに映し出されていたタメル・タイガーの大勢の女戦士たちはどうなったのでしょう。
彼らも国内で多数派に差別される二級市民にされていたのです。
でも武器を持つと誰も同情してくれなくなる。
送られてくるのは共産圏の武器ばかり。
ビルマでは今日からアンサンスーチーさんの秘密裁判が始まりました。
もちろんビルマも中国と一緒で法治国家ではありません。
おそらく彼女は有罪とされ3~5年の刑期を受け、この後監獄で過ごすことになる可能性が高いでしょう。
何と言うことでしょうか!こんなに世界中のまともな国の多くがその解放を要求しても軍政府はすべて無視します。
無視できるのは中国の後ろだてがあるからです。
圧力をかければかけるほどに、彼らは中国に近づいていきます。
私がビルマに行った時、まずアンサンスーチーさんに会えないまでもお家を見たいものだと思って、空港から市内に入るタクシーにさっそく「アンサンスーチーさんの家は知ってるかな?行けるかな?」と聞くと「全く近づくこともできないよ、、、」と答えられました。
今回のアメリカ人が湖を渡った件も常に監視している軍側は彼が湖を泳いで渡るのをわざと見過ごしたのではないかとの憶測も流れています。
以下イギリスの若松さまがまとめて報告して下さったものです。
本日ガワン・サンドルさんがチベット問題をEUで取り上げてもらうためのアピールをされるそうです。
欧州ニュース
ブリュッセル欧州連合(EU)欧州委員会と中国との 間に開かれる予定のサミットの準備でICT(International Campaign for Tibet http://www.savetibet.org/)は
現在アメリカ在住の元政治囚、尼僧ガワンサンドル さんを迎えて、EUに対して中国への強い発言を求める ための記者会見が開かれます。
日時;18 May 2009(月曜日)2 pm to 3 pm
会場;- R醇Psidence Palace (Schuman) – Room Passage
ブリュッセル ベルギー
ICTによる“第11回 EU-China サミット: チベットについ てのEU政策最新版はこちらからダウンロード可能です。(18日以降 より)
http://www.savetibet.org
参加できるメディアの方、ご連絡下さい。(若松でも結構です)
広報担当官 Kate Saunders
email: kate.saunders@ictibet.co.uk
Tel: + 44 (0) 7947 138612
このサミットは前回フランスのサルコジがダライラマと会ったことに腹を立てた中国がドタキャンをしたサミットですが、これに先駆けてロンドンに本部を置くフリーチベットも、プラハで開かれたEU/中国サミットの一環である人権協議に、今回のチベット人に対する死刑宣告について言及するよう強く要請しました。
http://www.freetibet.org/newsmedia/130509
このプラハではチェコ国会議員連名が自国の大統領に同様の要請をしています。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)