チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年5月17日
カム、マルカムの鉱山開発を妨害する者は逮捕する、と当局
<カム、マルカム(四川省阿バ州馬爾康県)で鉱山開発に抗議>
5月16日付RFA:
当局は、マルカムསྨར་ཁམས་で鉱山開発(資源泥棒)を妨害する者は誰であろうと直ちに逮捕する、と発表した。
以下は、RFAのカム方言放送に現地から入った諾名の電話情報による。
昨年、マルカム県シャムシュル地区タクラ村སྨར་ཁམས་རྫོང་གཤམ་ཤུལ་ཆུས་སྟག་ར་ཤང་にあるグルロདངུལ་ལོ་と呼ばれる聖山を政府が鉱山開発しようとした。
これに対し、地元住民は反対運動を起こし、この結果、昨年11月政府側は開発を諦め一旦引き揚げた。
今年4月4日、チベット自治区の副書記ペマ・ティンレーが当地を視察に訪れた際、住民たちは抗議行動を起こし、彼を追い出してしまった。
その後、この事件に関しチベット人50人が逮捕された。
彼らは全員痛い目にあわされた後、釈放された。
その後はしばらく何もない平和が戻っていた。
ところが、今月に入り16日、突然大勢の軍人、警察に守られた中国人が大挙再び聖山に入り込み、「誰であろうと、作業を妨害する者は逮捕する」と振れ回っているという。
これに先立ちこの地区では、チベット人が集められ1か月と10日の間「教育」が与えられたともいう。
それにしても、地元のチベット人たちは、中国人はもう山を壊すことを諦めたのであろうと期待していたので、大層落胆しているという。
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一体山に何が埋まっているのでしょうか?
村のチベット人たちも殴られるのは判っていても、聖山を守るために黙っていないのが素晴らしいです。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)