チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年5月16日
法王・障害者施設ニントップリン(勇気園)をご訪問
法王は今日、朝7時半には前の道を下って行かれ、
午前中にダラムサラ近辺3か所を訪問されました。
(私はサボって一か所しか付き合ってません)
まず、ノルブリンカの裏にある外人専用チベット語、仏教センター「トゥサムリン(聞思園)」を訪問されました。
そのあと、以前何回かこのブログでも紹介したダラムサラの身体障害者施設「ニントップリン(勇気園)」を訪問されました。
ルンタ・プロジェクトもここの子供のスポンサーをしたり、ちょっとだけど寄付したりさせてもらいました。
ドラマスクールの獅子舞隊に迎え入れられ、子供たち全員が並ぶ前を進まれ、お堂に入られました。(私情・ここのお堂は私の設計)
創設者・亡命議会議員でもあるガワン・ラモ女史の挨拶がはじめにありましたが、彼女は途中から泣き声になり、それに誘われ子供たちもたくさん泣いていました。
ここまで来るには沢山のご苦労があったのです。
私はそのバラック時代から知っています。
法王が次にお話されました。
その中からいくつか紹介します。
ーーー
法王:「障害者と呼ばれる人たちはただ、身体が一般人と違ってしまっているだけだ。
心はまるで普通の人々と何も違わない。嬉しいことも苦しいことも一緒だ。喜怒哀楽は同じようにある。幸せになりたいという思いは一緒だ」
「子どもたちも、身体が悪いからといって挫けることはない、心は一緒だ、人としての頭もある、だから何でもやってやれないことはない。自分でもできるんだ、と思って挫けず、勇気を持って出来るだけやってみることだ」
「仏教においても、守ってくれる人がいないもの、導き手のいないもの、障害者、病人を助けることは特によいことだとされている」
「しかし、子供の世話をする者たちも、例えば、どうせこの子は病気だし、解らないし、とか思ってちゃんと看なかったりするのはよくない。常に、愛情と慈悲を持って接することが大事だ」
と話されました。
ーーー
その後、下ダラムサラバス停近くに最近引っ越してきたジャヤン・チュリン尼僧院へ向かわれました。
知り合いの尼さんが最近まで南インド、バイラコピー、コラタラにある「カルーナ園・ペンデガツェル」という同じような亡命チベット人を対象にした障害者施設で4年間働いていたという人がいます。
彼女の話ですと、とにかく子供たちを一日中見るアマラ(保母さん)の仕事が大変で、給料も安いので、なり手がなくて困ってるそうです。
外に行けば、一人は歩かない、一人は走って止まらない、、、よく転ぶ、、、とか、
大きな子どもたちの下の世話を常にしないといけない、病気になると夜中眠れないとか、、、
大へんなのだそうです。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)