チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2009年5月8日

法王:真実の力に知の力を合わせ非暴力の道を行け

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84915df1.JPG法王は今回のアメリカ訪問の期間中、何度かアメリカに住むチベット人を前に話をされましたが、これらはアメリカ等外国に亡命するチベット人に対するだけでなく、内地のチベット人に対しても話されたことでもありました。

そんな法王のお話を、最近のRFA放送からいくつか紹介します。

以下はニューヨークでのお話の一部です。

法王:
最近、中国の作家や知識人の多くが、チベットの真実を知った上でチベットを応援し、中国政府の政策を批判する人たちが増えてきている。
これは希望の持てる傾向だ。
何れにせよ、チベットと中国の人々の気概と真実の力は決して揺るぐことはない。
だから、勇気を失うことはない。

勇気を起こして、さて、この真理を実現する手段は何かと言えば、非暴力の道だ。
この真理に基づいた非暴力の道が我々の力なのだ。
真実の裏付けがなければ、非暴力というのも意味がない。
その場合は武器で弾圧するしかないのだ。

我々には真実があるのだから、喧嘩する必要はない、真理、真実をもとに話をすることができるからだ。
だから我々は真実の力を使って非暴力の道を行くことが非常に大事なことなのだ。
チベットの中にいる者も外にいる者も老若男女みんな非暴力の道を行くならば、力を合わせることができる。素晴らしいことだ。

もちろん、その中で独立を要求する者とか相互利益を求める中道を選ぶ者とかいろいろ居てもいい。
何れにせよ、その手段が非暴力であること、真実に基づくものであることが大事だが、その要は知の力だ。
真実の道を行くといっても、拳骨を振り上げて進むのではなく、知の力で進むのだ。

亡命社会ではもちろん以前より、教育の重要性は強調されてきたが、教育を受ける機会に恵まれている者たちは広く知識一般に興味を持つように、怠惰にすごしたり、集中しなかったり、外をふらついたりせず、徳と知識を得ることに興味を持つことだ。

教養と言っても、ただ大学の卒業証書を持っているというのではなく、本物の専門知識を得るよう、深く研究することが重要だ。

チベット語を正しく知ることも大事だ、若い人たちもできるだけ、チベット語を使うように努めるとよいだろう。
家庭内でチベット語を使うことも大事だ。

年寄り、若者もチベットの現状に目をもっと向けること、日々のニュースに興味を持つことが大事だ。

それと、チベット人が最近、不況のせいか、、、麻雀とかの賭け事、大金を賭けることもあると聞くが、これは良くないことだ。
最近はアムド、カムなどでも賭け事に走る者が沢山いると聞くが、これは全く良くないことだ。
それと、酒を際限なく飲むということも非常に良くない。
外にいるチベット人であろう中にいる者であろう、酒に溺れて人生を台無しにしたり、病気になったりすることは悲しいことだ、良くないことだ。

仏教に関してだが、仏教はラマを家に呼んで儀式をすることではない。
そうではなく、教えを知る人に質問し、議論すれば利益はあるだろう。

ヒマラヤ地域の人たちの中で最近、仏教と文化に対する新たな興味が芽生えていることは良いことだ。
代々伝わってきた仏教を良く知って、保持することは良いことだ。
各自のアイデンティティーを得ることができるし、今生と来生のためになる。

それぞれの父母の仏教を良く知り、仏教を保持するということは、仏壇にタンカや尊像を安置するということだけではない。
仏法を守るとは勉強して、仏教とは何かを心の中に知り、それをできる限り実践して、心が制御されるなら、これを仏法が守られていると言い、仏法が広まったと言えるのだ。
だから、仏教を勉強することが大事なのだ。

ーーー

仏教についてはこの場だけではなくボストンではさらに、
「仏像が説法してくれるわけでもなく、寺や僧院の建物が仏教を教えてくれるわけではない」

とまでおっしゃっていました。

法王は本土のチベット人に対し
「今はデモを行う時ではない。
すでに去年あなたたちが勇気を持って立ちあがったことで、世界中の人や中国人にさえチベットの問題は知れ渡った。
今は、耐えて知の力を蓄える時だと思う」

ともおっしゃいました。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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