チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年5月6日
チベットを巡り、アメリカVS中国
<中国は先週アメリカが発表した「中国における宗教の自由に関するレポート」を批判>
5月5日北京、AP伝:
北京は5月5日火曜日、中国の宗教の自由に関するアメリカのレポートを、公平さに欠け、根拠の無いものだと批判した。
アメリカ議会・国際宗教の自由委員会は、中国は宗教的活動を厳しく制限し、教会やモスクの活動をコントロールしていると報告した。
先週発表された2009年度委員会レポートには「中国国内の宗教活動は厳しくコントロールされ、信者のうちのある者は拘束され、逮捕され、罰金を科せられ、暴力を受け、嫌がらせを受けている」と記されている。
中国は様々な宗教の活動を、政府に認定された教会とモスク内においてのみ許可している。
中国外務省ポークスマンMa Zhaoxuは「中国政府は法律に従って、市民の自由な宗教活動を保護している。中国全土の全ての民族が完全な宗教の自由をエンジョイしている」と言った。
さらに、Maは「アメリカの国際宗教の自由委員会の、この報告書を使って中国を中傷しようとする企みは決して成功しないであろう」と言った。
レポートは中国が依然、世界でもっとも宗教的権利が侵害されているとされる「特別に考慮すべき国」リストの中に入っているという。
このリストに挙げられた他の国は例えばナイジェリア、ビルマ(ミャンマー)、イランそして北朝鮮だ。
レポートは「チベットにおいて、中国が、自ら分離主理者と非難するダライ・ラマ法王を非難し、北京への忠誠を誓わせることを仏教徒である僧侶や尼僧に強要している。
これを拒否した者は僧院から追い出され、逮捕され、拷問を受ける」
「同様に中国は、新疆ウイグル地域のイスラム教聖職者を許可制にし、その資格を得るためには政治的再教育訓練を受けさせている。
チベットと同様、新疆ウイグルには独立運動が存在し、当局はこれらを抹殺しようとしている」と状況を説明し、
「ワシントンは首脳会談の議題に、中国の宗教の自由への懸念を加えるべきである。
また、引き続きチベットのラサ、及び新疆ウイグルのウルムチに合衆国領事館を設立する認可を要求すべきだ」とアメリカ政府に勧告した。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)