チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年5月1日
ハーバードとMITに呼ばれた法王
4月30日法王はハーバードとMIT(マサチューセッツ工科大学)を訪れ、それぞれの大学で講演されました。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=24591&article=Dalai+Lama+honored+at+Harvard
ハーバード大学では表彰状を授けられました。
この表彰状についてハーバード・ロー・スクールの研修生であり、今回の法王のニュー・イングランド訪問の招待委員長でもある、ロプサン・サンゲ博士は「このような名誉は世界でも本当に限られた数人のリーダーにしか与えられないものだ。
この表彰状を授与することによりハーバード大学は、法王に対する最高の敬意と尊敬の意を表したのだ」とコメントした。
写真はその表彰状です。大きくすれば読めるはずです。
仮訳すれば:
法王が国際紛争と環境問題に対し、その平和的解決を目指し活動されていることを評価し、
法王が若者たちの社会的、情緒的教育の力を教えることに焦点を当てられていることを称賛し、
法王が新しい世代の人々が昔ながらの問題に革新的解決を求めることを啓発し続けていることに対し、
法王の共同体責任と他への思いやりの価値についての信念に対し、
法王の、知性的、科学的、専門的発展は人間的価値の発達と共にあるべきだとの確信に対し、
ハーバード大学は喜んで、ここにこれを支持し
チベットの第14世ダライ・ラマに栄誉を与える。
あなたは身を持って仏教の教え、特にその平和と非暴力を擁護する教えがすべての人々に有効であることを説かれた。
この表彰状は昼食会の席上The director of the University’s Marshal Office, Jacqueline O’Neil,氏から授与されました。
もう一つ、法王の環境問題への貢献を評価・称賛する印として大学は、ハーバード記念教会前の通称「ハーバード・ヤード」と呼ばれる有名な場所で「カバの木」の植樹式を行いました。
法王はその場で
「この木は我々を自然に近づける。
時に大都市では、金属で作られた沢山の機械類に囲まれて、我々は自然から遠ざかってしまう。
木々や花々は我々が自然の一部だということを思い出させてくれる。
これは非常に大切なことだ」と語られた。
(*カバの木は西洋では「光と豊穣」の象徴だそうです)
このカバの木はその大きくて美しいハート形の葉によって有名なアジアの「monarchカバノキ」と北アメリカの「paperカバノキ」を掛け合わせた、つまり西洋と東洋を掛け合わせたハイブリット種だという。
このハイブリッド種のカバの木はハーバード大学の学長フォウスト氏によれば
「法王が東洋と西洋を橋渡しすることに貢献されたことを象徴するものだ」という。
サンゲ氏は「ハーバードの歴史の中でこの広場に植樹するという栄誉を受けた者はこれまでに二人しかいない、一人は長年ハーバードの学長を務めた学者であり、もう一人は法王だ。私はハーバードが法王にこれほどの栄誉を与えたことを非常に嬉しく思う」と話した。
この「ハーバード・ヤード」は大学の学生、職員だけでなく多くの世界中からの観光客も訪れる場所である。
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ここまではパユルの記事からです。
Tibet.netには比較的詳しく両大学での法王の講演の内容がレポートされています。
http://www.tibet.net/en/index.php?id=886&articletype=flash&rmenuid=morenews
その中、上の植樹に少し関係があるようなお話で、ハーバードの名声について法王:
「ある友人が<ハーバードは本当に有名で、例えばそのキャンパス内を歩くことさえ神聖なものと見なされる>という話をした。これは大げさというものだ。その上を思慮のない愚か者も歩くであろう。彼らがそこから何かの利を得ることは無いだろうに、、、ハハハ、、、」とジョークされたとか。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)