チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2009年4月30日

チベット殉教者の日

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b8e5c1a7.jpg<チベット殉教者の日>

4月29日付パユル:
https://www.phayul.com/news/article.aspx?id=21203&article=REMEMBERING+THUPTEN+NGODUP+%E2%80%93+Jamyang+Norbu&t=1&c=4

亡命チベット人たちは昨日29日、チベットとチベット人のために自らの命を犠牲にした殉教者たちに敬意を示すための第11回「チベット殉教者の日」を記念する式典を行った。

チベット青年会議が主催し、早朝ダラムサラのリンコルにあるラゲリにて式は行われた。
元青年会議議長をはじめ多くのチベット人が参加し、祈祷、焼香やツァンパ供養が行われた。
1998年、チベット独立キャンペーン中に焼身自殺したパオ(勇者)・トゥプテン・ゴドゥップ氏の記念像の前にカタとバターランプが供養された。

席上、主賓である元青年会議議長、前亡命議会議長のカルマ・チュペル氏は「殉教者トゥプテン・ゴドゥップ氏の11回忌でもある今日は、チベットの自由と独立のために犠牲になった全てのチベット人男女に敬意を示す記念日である」

「勇者トゥプテン・ゴドゥップ氏をはじめとする全てのチベットの殉教者を思い出すとき、それは己の精神と尊厳を、チベットの中にいる同胞たちの苦しみへの共感の中に見出し、それに捧げるという厳粛な思いに駆られる」

「独立への闘争は依然、自らの命を犠牲にした人々の真の希望であり、讃えるべき意志であった。我々はその目的を掲げ続け、彼らの至高の犠牲の本質を守らねばならない」
と語った。

青年会議は夕方からキャンドル・ライト・ビジルも行いました。
世界中の青年会議支部も同様の催しをおこなったということです。

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私もこの11年前4月27日に起こった、悲しい事件のことはよく覚えています。
このとき、チベット青年会議はデリーで「死のハンスト」を続けていました。
はっきり覚えていませんが、確か8人がほぼ50日間、水のみで生きるという正に奇跡の死の抗議を行っていました。

私はその中に知り合いのタンカ画師もいたので、デリーに見舞?に行ったこともありました。デリーはそのころ非常に暑かった。40度はある中、外のテントの中でハンストは行われていました。
しかし、数人が死の兆候を示し始めたことと、そのころ中国の誰だったか偉いさんがデリーに来ると言うので、インド警察は彼らを強制的に病院に運び込もうとした。

機動隊が強制排除を始めたその時、次のハンストのメンバーとして現場に待機していた、トゥプテン・ゴドゥップ氏は自らの体にガソリンをかけ、火を付けたのです。
その時の映像は世界中に流されました。
彼は大きな炎に包まれながらも、合唱し、前に駆け出しながら、法王への帰依とチベット独立への思いを倒れるまで叫び続けたのでした。
その姿は驚異的でした。

その後二日後に遺体はダラムサラまで運ばれ荼毘に付されました。
私も参加しましたが、大きな荼毘の炎が上がるすぐそばで若者を中心にこのときほど、過激に興奮していたチベット人を見たことがないというほどにみんな最後まで叫び続けていました。

私は炎に包まれた彼の写真をポスターにする仕事を頼まれたことも思いだします。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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