チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年4月21日
弾圧と抵抗は続く
4月19日付、亡命政府チベット語プレス・リリースより、
最近新しく本土より伝えられてきた、カム抵抗運動のニュースをまとめて報告します。
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<カンゼ、バタンで一軒ごとの家宅捜査>
http://www.tibet.net/tb/flash/2009/april/190409.html
現地からの情報によれば、4月14日、カンゼ・チベット族自治州バタン(リタンの西200km)地区ポグルシ町ガンル村に約70人の中国軍と治安部隊が押しかけ、3月初めに起った警察署での爆弾事件の捜査という名目で一件ずつ家宅捜査を始めた。
少なくてとも10人逮捕するまで続けるとのこと。(ノルマでしょうか?)
この爆弾事件は、今年3月初めにポグルシ町の警察署で何者かが爆弾を爆発させたというものだ。
その事件が起きた時間帯にその付近で「中国人はチベットから出て行け」「チベットはチベット人のものだ」とチベット語と中国語で書かれた張り紙が見つかっているという。
事件の後、公安はこれに関連し4人のチベット人を逮捕したが、彼らはその後逃亡した。
中国当局の弾圧は村の農業に深刻なダメージを与えている。
当局は村の若者を一人ずつピックアップして連行する。
それを恐れて多くの若者が村から逃げ去った。
労働力もなく耕作地は今年の作付が行われず、未だ荒れたままだという。
(積極的耕作拒否をしてもしなくてもいずれ耕作不能なのです)
現地からの情報によれば、爆発による負傷者は出ていないという。
と言うことは、中国当局がチベット人弾圧の口実にするためにでっち上げたとも考えられる。
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<チャムド地区の僧院で僧院長その他僧侶が逮捕される>
http://www.tibet.net/tb/flash/2009/april/210409.html
4月1日チベット自治区チャムド県 ジョンダにあるデンマ・チュコル僧院の僧院長と一人の僧侶が逮捕された。
この逮捕は今年1月にこの僧院で行われた、中国政府に対する抗議に関連するものだという。
抗議の後、僧院長初め多くの僧侶は逮捕を恐れて僧院を離れていた。
チャムドにある公安本部はジェクンドから15人の警官を僧院長逮捕のために派遣した。
同じ日に山で瞑想のために籠っていた、当僧院の元監督僧ソナム・ゲレック師と僧ツェテン・ソナムも逮捕されたという。
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<カンゼの僧院に武装警官隊が押し入り僧侶を逮捕>
http://www.tibet.net/tb/flash/2009/april/220409.html
4月1日前後、カンゼのチツァン僧院に武装警官隊が押し入り40歳の僧侶を逮捕した。
僧侶はガワン・トゥトップの息子ソナム・ニマと判明した。
彼は僧院の日常必需品を買い出しに行く係りであった。
彼の甥で同じくチツァン僧院の僧であるツェリン・ギュルメは去年3月カンゼで起こったデモに参加したとして指名手配され、僧院から逃亡したという。
このツェリン・ギュルメの24歳の弟テンジン・ゴドゥップは去年3月20日のカンゼ市内のデモに参加したとして3年の刑を受けている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)