チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年3月28日
3月28日中国側「チベット100万農奴解放記念日」/チベット側「100万虐殺記念日?」
今日3月28日は、新たに中国政府により「チベット百万人農奴解放記念日」と制定された日です。
ダラムサラでは朝9時半より政府外5団体の主催でデモがありました。
デモは山道を片道4キロ歩くのです。
左写真の男性は片足で最後まで歩く積りでしょう。
行進に先立ち「チベットでデモ、警官に殴打、逮捕される」のシーンを再現した、
パフォーマンスが行われました。
初めの写真三枚はその時のものです。
なかなか演技は上手でした。それで、
見ている尼さんが何人か泣いていました。
デモ中に配られたリリースの中でSFTインド団表のテンジン・チュイン女史は
「真実には、この50年間は中国の支配の下、チベット人が奴隷化された期間であるのに、それを中国政府はチベット人に強制的に祝賀しろと言ってる」
「中国による侵略と占領が故に、我々の祖父・祖母は殺され、両親はチベットを捨てるしかなくなり、我々はこうして難民としてインドで育つことになったのだ」
と語っている。
夕方からはキャンドル・ライト・ビジルが行われる予定です。
このとき先に亡命政府の発表した問題の「ビデオ」が上映される。
この日に先立ち、昨日27日外務大臣のケサン・Y・タクラ女史が記者会見を開いた。
この中で、「明日28日を中国は所謂<解放記念日>と決定したことはチベット問題を重大化させるばかりだ」と語り、
「この動きは、現在進行中の弾圧を隠蔽するための中国政府の巨大なプロパガンダ
であり、この挑発的運動の目的はチベットをより不安定化させ、カオスにするためなのだ。これらすべては限られた幾人かの個人的利益のためなのだ」
「もしも、チベット人が我慢しきれず、通りに出て抗議を行うならば、中国の指導者たちには、さらに厳しく残酷な仕方で弾圧する口実ができるのだ」と記者の質問に対し答えられた。
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関連記事:日本語
としてまずは中国側のサーチナから写真のこの記事に付いてたものです。
この衣装は何でしょう! 何て事をしてくれたのですかね!
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“青空に舞う歌声”-チベット農奴解放記念日祝賀式典
【政治ニュース】 2009/03/26(木) 23:58
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0326&f=politics_0326_007.shtml
3月26日、チベット自治区ラサ市内において、間近に迫った第1回チベット100万人農奴解放記念日のための祝賀式典が行われた。
式典では、“紅色歌曲(愛国歌)”が高らかに奏でられ、民衆は音楽に合わせて歌や踊りを楽しみ、解放の喜びに浸ったという。
紅色歌曲には、時代とともに強く生きてきたチベット民族の誇りや、これからも発展していくチベットの未来を願う祈りが込められている。(編集担当:井上洋一郎)
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次に新華社は、
http://japanese.cri.cn/881/2009/03/26/1s137620.htm
『農奴から国家の主人公に』2009-03-26 21:20:30
新華社通信は26日、『農奴から国家の主人公に』という文章を発表しました。
文章は「チベットに住む各民族人民に平等の生存権、発展権を持たせ、衣食足りて、豊かな生活を過ごしてもらうことは中国共産党中央が終始注目し、推進している一大事だ」として、「中国共産党中央はこれまで4回のチベット活動会議を開き、全国に及ぶチベット支援戦略をスタートさせ、一連のチベット発展を支援する特別な優遇政策と柔軟な政策を打ち出した。1951年から2008年まで、チベットの発展支援のため、合わせて1000億元を拠出した」ことを明らかにしました。
文章はまた、「民主改革によって、チベットの百万の農奴が解放され、その生命と自由が中華人民共和国の憲法と法律に保障され、国家の主人公とチベットの主人公になった」として、チベット現役の幹部は、チベット族とその他の少数民族の人が70.42%を占めている」と書かれています。
さらに、文章は全国政治協商会議のアポ・アワン・ジクメー副議長の話を引用して、「民主改革は農奴を解放して、生産力を解放しただけではなく、チベット全体を救った」しています。(翻訳:ヒガシ)
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ダライ・ラマ特使 「自治拡大要求ねじまげ弾圧」と中国を批判2009.3.26 20:00
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090326/chn0903262002005-n1.htm
【ワシントン=古森義久】チベットの仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の特使を長年、務めているロディ・ギャリ氏は25日、ワシントンの大手研究機関のヘリテージ財団が開いた「チベットの将来」と題する討論会で、中国政府がチベット側の自治拡大要求を誇大にねじ曲げて弾圧強化の口実にしていると非難した。クリントン米国務長官が米中関係では人権問題を協力への障害としないと述べたことにも懸念を表明した。
ギャリ氏はチベットと中国政府の関係の現状について、ダライ・ラマ側はチベットをあくまで中華人民共和国の枠内に留め、そのなかでチベット人の独自の自己意識や文化、言語を保つという「真の自治」拡大を求めているにすぎないが、中国政府は今月、訪米した楊外相がオバマ米大統領らに「チベット側は独立を求めている」と述べたように、偽った状況報告をしていると指摘した。
また、楊外相は米側に「チベット側は、現在の中国全土の4分の1に達する地域の割譲とチベットからの中国人民解放軍の全面撤退を求めている」と伝えたとされるが、事実に反するとし、中国政府はとくにここ数年ダライ・ラマを「分離主義者」と断じチベット人の漢民族化を強制し、宗教や生活面での弾圧を激しく進めているとした。
クリントン長官の発言については「オバマ政権がチベットでの人権弾圧をも無視しかねないことになり、心配している」と述べ、「米国の歴代政権ではブッシュ前政権の8年間がチベットに最も強い支援を示した。オバマ政権もブッシュ政権を見習ってほしい」とアピールした。
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“面従腹背”強めるチベット 大量宣伝と治安部隊で押さえ込み
2009.3.28 00:50
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090328/chn0903280052000-n1.htm
【北京=野口東秀】中国は28日、チベット地域の統治権確立を宣言してから50年を記念して、政府が新たに制定した「100万農奴解放記念日」を迎える。この記念日を通じて、政府は共産党によるチベット統治の正当性を強調し、「主権に危害を及ぼす犯罪活動に打撃を加える」(公安省)と威信をかけて騒乱を押さえ込んでいる。しかし、治安部隊の大量動員や国営メディアを通じた当局の大がかりな宣伝活動、チベット族の僧侶に対する愛国教育にもかかわらず、僧侶らは“面従腹背”の傾向を強めているのが実情だ。
27日、北京の人民大会堂で開催された「農奴解放50周年座談会」。中国政府に認定され、愛国教育を受けたチベット仏教指導者パンチェン・ラマ11世(19)があいさつに立った。
「本当のことをみる眼を与えてくれた中国共産党に心から感謝したい」
座談会には共産党ナンバー4の賈慶林全国政治協商会議主席らが出席し、共産党によるチベット統治の正当性をアピールした。
北京市内では、党統一戦線部などの主催で「チベット民主改革50年大型(写真)展覧」が開催中だ。チベット自治区50年間の「経済発展、社会の進歩、人権発展の巨大な成果」(同展覧会)を500枚を超える写真などで紹介し、「貴族などが支配し、残虐な刑を科されていた封建農奴制社会」だったチベットを共産党が「解放した」との見方を印象づけている。
大量の宣伝工作から透けてみえるのは、チベット社会は伝統的に「政教合一社会」であり、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世が掲げる「高度の自治」を認めれば、「想像を超える政治的結社を生み出す可能性がある」という政府当局の懸念だ。
「誰も政府の宣伝なんか信じていない。今後は、宗教の根幹にかかわる活仏の選定が重大な分岐点になるはず」
四川省のチベット族僧侶は、当局が、転生する菩薩の化身を活仏とする宗教観に「干渉」していることに強く反発した。
政府は、活仏の選定で中央政府の認可を強化した「活仏転世管理弁法」を07年9月に施行、14世による活仏選定を法的に認められないとした。しかし14世は中国国内で転生しないと明言している。今後、対立の火種となるのは必至だ。
チベット族にとり、チベット仏教の最高位「ダライ・ラマ」が尊敬の対象だ。
14世が死去すれば独立派に対する歯止めが利かなくなる可能性がある一方、世界的に知られる14世の存在が消えることで当局は、「国際化したチベット問題を国内問題として処理、解決できる」(中国筋)と考えているふしがある。
だからこそ、四川省のチベット族居住区で「読経」が禁止されるなど宗教統制が強化され、「(14世の)写真を持っていただけで警官に殴られた」(僧侶)といった現実が生まれる。
政府が対チベット政策で強調するのは、経済発展のメリットだ。中央政府が今年、チベット自治区に投入した予算額は昨年の2倍の240億元(1元約14円)にのぼる。経済・軍事大国化に向けた「中華民族の復興」の波にかき消されかねない様相だ。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)