チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2009年3月22日

拷問の後(情報省発表映像)

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3d9df29b.bmp昨日急いでて、簡単にしかお知らせ出来なかった情報省発表の貴重映像について、ICT(International Campaign for Tibet)の瓜子女史がMixiに詳しく報告されていましたので、以下転載させて頂きます。

2009年3月20日 ICT

http://www.savetibet.org/media-center/disturbing-new-footage-police-brutality-tibet-released-tibetan-government-exile

チベットで行われている残虐行為の実証ビデオがチベット亡命政府によって発表される。3月10日の民族蜂起記念日の直後、2008年にはじまった抗議行動後からの、チベット人に科せられた警察による残虐行為の数々の映像がインド,ダラムサラにあるチベット亡命政府によって発表された。

写実的で残酷な映像は: http://www.tibetonline.tv/torture/. からダウンロードして視聴できるが、見るものの多くは余りの残虐さに目を覆うであろうと思われる、この映像には、(拷問の結果死に至った)チベット人の医療処置の過程なども含まれ、ビデオの提供者についての詳細は身元の安全を守るため、すべて消されている。

インド、ダラムサラのチベット亡命政府の声明は
”昨年の動乱についての映像は世界中に報道されたが、今回、発表される映像に含まれるのは、警察による抗議行動参加者に対する殴打、拘束者の死や苦痛、ラサ市街地の軍隊武装された様子など、必死で外の世界に持ち出された貴重な映像である。”と語った。

これらの映像は明らかに中国政府によるチベット人拘束者に対する拷問や暴行行為の否認に意義をとなえるものである。
北京党局は一連のチベット高原で起きた動乱を3月14日ラサで起きた一回の暴動として位置づけている。
中国国営放送では3月14日以降、数週間に渡り、僧侶らが警官隊に投石(と報道)するシーンや
抗議者らが店のショーウィンドウを壊す様子や、黒煙の上がるラサ市内で黒こげになった車など、作為された報道映像を流し続けた。

中国政府がチベット人を射殺や、拷問死にいたられている事実を隠蔽しようとする間に、同政府は”3月14日”事件に関するDVDまで作成し,世界中の中国大使館に配布された。
現在、チベットに関する情報を国外に洩らさないための対策としてとられている党局による厳しい対策や、その恐怖から入手が大変困難であり、
本日チベット亡命政府によって発表された拘束中のチベット人の写実的な拷問などを含む映像は2008以降初めてのドキュネンタリー映像といえる。

第一章ではチベット人僧侶と檀家チベット人らが拘束後、地面に転がされ、警棒で連打されているシーンに、もう一人のチベット人が地面を引きずられてくる。
両手首ともロープできつく縛られた状態で、片一方の手首を肩から回して背中で縛るという中国の刑務所で良く使用される、最も苦痛を伴う方法で縛られたまま、四川省のなまりのきつい中国語と、中の一人はチベット語で罵倒している。
途中、中の一人が鎮静する様子も見られる。
警察が(縛られて、寝転んだままの)チベット人に罵倒している言葉を聞き取るのは困難だが、以下の言葉が聞き取れる。
『逃げてみろ!逃げてみろ!』
『もうこれで分っただろ!』(チベット語)
『もういい、もういい、もういい。』(同僚に対して、唯一の鎮静を求める声。中国語)
『伏せていろ!伏せていろ!』(中国語)
『そいつを押さえろ!』(中国語)

これらの映像は大変残酷で正視するのが困難だが、2008年3月以降のチベット人抗議行動参加者に与えられた現状は警棒で連打されるよりももっともっと,残虐を極めている。
拘束者の多くは電気ショックなどをもちいた残虐な拷問にかけられ、刑務所や収容所でもっとひどい暴行を加えられている。その結果多くのチベット人が、四肢の脱臼、骨折、肢体の変形、精神的な後遺症に苦しんでいる。

ーーー

チベット亡命政府,国際情報局によるプレスリリースの全文は以下;

公表;チベットで中国の残虐行為

映像はこちらで; http://www.tibetonline.tv/torture/

ダラムサラ;

昨年の動乱についての映像は世界中に報道されたが、今回、発表される映像に含まれるのは、警察による抗議行動参加者に対する殴打、拘束者の死や苦痛、ラサ市街地の軍隊武装された様子など、必死で外の世界に持ち出された貴重な映像である。

チベット中央議会の発表によると2009年1月31日付けで、これら一連の暴行によるチベット人死亡者は220人、1,294人は重傷を負ったとされ、また5,600人以上が逮捕され、内290人が判決を言い渡され、1000人以上ものチベット人が行方不明になっています。

これまでに中国警察による抗議行動者に対する残虐行為を記録して、チベットの外に持ち出された真実の映像で、強烈かつ見るものに深い痛みを伴ったものでは、1988年のジョカン寺の集団暴行の様子があります。

昨年3月以降の連鎖的に広まった抗議行動に続き強化された弾圧後、中国党局はチベット人拘束者に対して暴行、拷問を使用してきたにも拘らず、中国はこれまで繰り返しチベットにおける拷問の使用を否定してきた。

中国外務省は昨年11月の国連拷問禁止委員会による中国警察による広く使用される拷問の報告を、”無実で抽象的である”とし拒否し、委員会審議メンバーを中国に対して”偏見”を持っていると非難した。

しかしながら、これらの映像が2008年以降の最近のチベットの生きた証言である。

これらの映像は2008年3月10日からチベット全土で連鎖的に起こった抗議行動に参加したチベット人を中国警察が殴打している数少ない貴重な証拠映像である。
これは2008年3月114日ラサの近くで起きたと聞いている。
映像は手錠をかけられロープで縛られた状態のチベット人拘束者を殴打している様子を克明に伝えており、拘束者に対する国際法の侵害行為である。

2つ目の映像は中国携帯電話企業に勤める若いチベット人テンダーについて。
彼は惨い殴打ののち、中国党局による残虐な行為によって苦しめられた。
テンダーは3月14日に、出社途中に目撃した一人の僧侶
が中国警察によって殴打されるのを止めようとしたにすぎない。

彼は、火で焼かれ、タバコの火でやけどをおわされ、右足に釘を打ち込まれ、電気棒で惨い殴打を受けた。彼の負った傷や打撲の生々しいあとは、中国党局による行為の証拠だ。
病院に収容された時、明らかに最低な傷の手当も与えられていなかった、壊死状態にあった傷を見て、医者や看護師らは大変なショックを受けた。

壊死状態にあるビニールで覆われただけの傷口を,映像ははっきりと捉えており、彼の家族が膨大な治療のための費用を用意し、 約2.5kg分の壊死いた部分の摘出を行い、できるだけの処置がとられたが、彼が回復することはなかった。

彼は、2008年6月19日,怪我により死亡した。

伝統に従って鳥葬で葬られている時,爪が「右足の中」にあるのが見つかったと記者声明で述べられた。

三つ目の記録映像は,ラサに展開し配置についている重武装の武装警察軍部隊を映し出した。
今月の3月10日,チベット人が国家的規模で蜂起した50周年 を迎える直前の時期のものである。
「ラサと他のチベット人地域は全て,未だ,実質的な戒厳令下にある」と亡命政府は記者声明で述べた。

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ただ一つだけ訂正が必要。
終わりから二節目<爪(nail)が「右足の中」」とあるところは「爪」でなく「釘」と思われる。

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このビデオを最初に手に入れたのは情報局ではなく他の省です。
ちょうどその省の人と昨日昼を一緒にしていました。
話題がこのビデオのことになったとき、私は「どうやってどこから手に入れたのか?」とどうせ教えて貰えないことを解ってて質問した。
もちろん、出所は教えてくれなかったが、

「例のビデオを発表するには危険が大きかった。
公安が撮った人を特定することは簡単だろう。
それでも、その人は逮捕覚悟で発表してくれと言ってきたのだ」そうです。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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