チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年3月15日
温家宝首相VSサンドゥン・リンポチェ
温家宝首相のチベットコメントに対するチベット亡命政府内閣の反応
以下Phayul.comに掲載された、
3月14日付、チベット亡命政府首相サンドゥン・リンポチェのステートメント。
http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=24177&article=The+Kashag%27s+Response+to+Premier+Wen+Jiabao%27s+Tibet+Comments&t=1&c=2
2009年3月13日行われた記者会見の席上、温家宝首相がPRC(中華人民共和国)首脳陣はダライ・ラマ法王特使との接触、協議を続ける意思があることを表明したことは歓迎に値する。ダライ・ラマ法王は常に、チベットの人々の問題を解決するために、中国の指導者達と相互に受け入れ可能な解決策を探るための交渉を行う用意がある。
ダライ・ラマ法王がチベットの人々のために何を求めているかは、すでに2008年10月31日、第8回会談の際、特使達によりPRC政府に「チベット人のための真の自治に関するメモランダム」と題して書面で提出されている。このメモランダムを読めばチベット人の求めているものが如何に完璧に中華人民共和国の憲法規範の枠内に収まっているかが理解できよう。温家宝首相は意図的にこの資料の存在を認めず、法王の過去のステートメントを参照しているようだ。
ダライ・ラマ法王は様々な機会に中華人民共和国からの独立の意思がないことを繰り返し表明されて来た。ダライ・ラマ法王が独立を目指しているという中国首相の批難は真実から遠く離れている。国際社会はこのことを良く認識しており、これ以上の説明は必要ではない。
北京がチベット問題解決のために真摯な態度を示すことを希望する。
サンドゥン・リンポチェ
カロン・ティパ(首相}
2009年3月14日
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)