チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年3月13日
アメリカはチベットを忘れない。
オバマ大統領もアメリカ議会もチベットを見捨てたわけではないようです。
今日3月13日付Phyul.com/Dhramsalaによれば:
http://phayul.com/news/article.aspx?id=24154&article=Obama+raises+Tibet+issue+with+Chinese+FM
オバマ大統領は昨日12日、オーバル・オフィスで行われた中国政府外務大臣ヤン・ジェチェとの会談の席上チベット問題に言及した。
会談後のステートメントによれば「大統領は中国政府とダライ・ラマ特使の対話の前進を期待している」ことが表明されたという。
会談中、「オバマ大統領は人権促進が合衆国の外交政策の重要な柱である」ことを強調した。
今週初め「チベット蜂起50周年記念日」の当日、合衆国政府は中国政府に対し「チベット政策の見直し」を要求した。
その政策により「チベットの宗教、文化及び生活に有害な衝撃が加えられた。今のチベットの緊張状態はその政策の作り出した結果だ」と表明されている。
ホワイトハウスのスポークスマンであるロバート・ウッド氏は10日、チベットの人権状況に対する危惧を現わしながら、「チベットに真の長期的安定」をもたらすには法王特使との「実質的対話」の実現しかない、と語った。
ウッド氏はさらに、「合衆国政府は、すでに中国政府がチベット地域において、その文化と宗教に対する弾圧を強化したことにより、普遍的人権の基準に反する行為をなしたと結論付けている」とも語った。
昨日3月12日にはアメリカ議会においても、非拘束決議として「チベットの人々、及びその亡命中の精神的リーダーであるダライ・ラマ法王の苦況を認識する」ことが議決された。
その前日の11日には下院においてほぼ全会一致で「チベット問題の長期的、平和的解決のために、各国に持続的な努力を続けることを要請する」ことが決定された。
決議案はさらに中国政府に対し「チベット人に対する弾圧を止めること。愛国教育キャンペーン、自由に政治的意見を表現した者たちや現地の状況を知らせた者たちに対する拘束、虐待を含めたチベット人に対して取られている厳しい政策を即時撤回すること」を要求している。
この決議は賛成422、反対1、棄権9とほぼ全会一致であった。
この決議案が採決される同じ時刻に中国の外務大臣ヤン・ジェチはワシントンで会談を行っていた。
オバマ大統領との会談が次の日であった。
この決議案の提出者の一人であるフランク・ウルフ議員は「この同じ町に今いる中国の外務大臣に聞こえることを願うが、、、これはチベット人社会の枠組みをシステマティックに破壊していくという文化的ジェノサイドだ」と語った。
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写真左は3月12日、成都のチベット人街の入り口で、一人のチベット人が警官に囲まれ暴力的に扱われている様子。
チベット人の多い地区には大勢の武装警官が配備され、厳しいチェックが行われ、すべてのジャーナリストは追い返されているという。C/R AP
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)