チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年2月15日
ナムチェに帰って来ました。
昨日11日目にして再びナムチェ・バザールに無事帰って来た。
ナンパ・ラ(峠)5741mまで行って来た。
正味歩いたのは8日間。途中3カ所に二泊した。
道は長く、峠を前にした最後の氷河上の登りは酸素濃度50%を切る中、-25度の冷たい強風に向かう厳しい登りとなり、少しは(十分に)ここを越える難民たちの大変さを味わうことができた一日だった。
しかし結局、残念ながらチベットから峠を越えて来る難民には出会うことができなかった。
途中の景色は一生忘れがたいものばかり。一緒に行った3人のヒマラヤ原人?は人とは思えぬほど強靭でそれでいて純真この上なく、優しく、ユーモアたっぷり。毎日たっぷり笑わせてもらった。
特にガワンからは道中貴重な話も沢山聞く事ができた。
途中様々な場所に難民たちの悲しい痕跡を見た。
ナンパ・ラを下った次の日、天気は崩れ、谷には雪が降り、辺りは一面真っ白。一日遅れていれば峠まで行く事は不可能だった事でしょう。
最後は雪景色の中、ターメまで20頭のヤクと共に下った。
これから少しずつ日を追っての詳しい話を報告するつもりです。
写真は
一枚目:ナンパ・ラに向かうために越えねばならない氷河。
二枚目:ナンパ・ラ上のネパールと中国の国境を示す傾いた標石。中国・62(年)と書いてある。
三枚目:ナンパ・ラで中国側に向かい、チベット国旗を持ってヨガの「戦士のポーズ」を取るN1氏
(これはN2氏の要請に従っただけです。決してN1が率先してこんなバカな事をした訳じゃないのです)
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)