チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年1月25日
オバマ氏、チベット強烈弾圧キャンペーン、中国の武器輸出
昨日カトマンドゥ、タメールの日本食レストランで目にした読売新聞にオバマ氏の大統領就任演説の全文が載っていました。
もちろん、日本の多くの人も読まれたことでしょう。
全体に日本語ではいまいち彼の、聴く人を魅了する独特のリズムは感じられないのが残念ですが、それにしても、自然に期待も膨らむ、すばらしい演説だったと思いました。
その読売の、この演説に対する中国の反応という記事の中に、こんなことが指摘されていました。
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オバマ氏は世界に対し「言論の自由」の大事さを強調し、
「異議を唱える者を黙らせることで権力にしがみつく者よ、
あなた方は歴史の誤った側にいる。
拳を下ろすなら、我々は手を差し伸べよう」
というくだりがあります。
この部分が中国の新華社はじめ民間の大衆新聞、ネット上でさえごっそり削除されていたそうです。
あともう一か所、
「先の世代はファシズムや共産主義に立ち向かった」と部分から、
<共産主義>を削除。
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誰か中国政府に<恥>の一字を教えてやってください。
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去年から始まったチベットネオ文化大革命の今年版の始まりを思わせる、おぞましいニュースが入っています。
<中国は「強烈弾圧Strike Hardキャンペーン」によりラサで5766人のチベット人を縛りあげた>
http://www.tchrd.org/press/2009/pr20090123.html
ラサ・イブニング・ニュースの1月23日放送分によれば、
今年1月18日から三日間に渡り、公安職員600人、160台の警察車両を動員して行使された「強烈弾圧・激しく打て?キャンペーン」により7か所のチベット人居住区、2922棟の借家、14のゲストハウス、18のバーそれに3箇所のインター・ネット・カフェが手入れ(急襲)を受けた。
この結果公安は5766人を容疑者として逮捕し、尋問を行ったと発表された。
しかし、その後実際に拘置されたものが何人なのかは不明である。
このキャンペーン以外にも、チベット人締め付けの一環として当局は、ラサに3日以上一か月以内滞在する、他の地区から来たチベット人は全員、公安局から新たに発行される「ラサ滞在一時許可書」を携帯することが義務付けられることになった。
違反したものは厳罰に処される旨が書かれた張り紙が、町に張り出されているという。
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この「冬のキャンペーン」は18日から42日間行われるということです。
結局3月に向けてこれから、去年のデモに参加したものとか、嘗てデモして逮捕されたことのある者とか、カム、アムドから来てる商人、巡礼者を徹底的に今のうちから、拘置所にぶち込んでおこうという作戦なのでしょう。
この襲撃・キャンペーン!?などはほとんど文革時代のそれを思わせます。
チベット人ならいつでも殴られ、尋問され、投獄される可能性が高いのです。
アフリカのどこかの国の村襲撃にも似ています。
こんなことを本気で続けるつもりでしょうか?
威張って広報してるところも怖いですね。
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次も中国側発表です。
レコードチャイナ:08年「国防白書」発表、戦車18両など10か国に輸出―中国
http://www.recordchina.co.jp/group/g27868.html
2009年1月21日、人民網によると、中国国務院新聞弁公室は20日「2008年中国国防白書」を発表し、07年の中国の兵器輸出状況が明らかになった。
白書の付録部分にある「2007年度中国の7大通常兵器輸出入情況」の一節によれば、07年に中国はパキスタン、タンザニア、ケニア、チャド、バングラデシュ、ルワンダ、ガーナ、イエメン、インドネシアなど10か国へ主力戦車18両、装甲戦闘車両44両、大口径火砲システム42門、戦闘航空機7 機、ミサイル及び発射システム9基を含む通常兵器を輸出。また、ロシアから984基のミサイル及び発射システムを輸入した。
中国は07年から、軍事費の透明性の向上を狙いとして、国連の軍事費支出報告制度に参加するとともに、通常兵器に関する軍備登録制度にも復帰している。(翻訳・編集/岡田)
2009-01-22 16:18:33 配信
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アフリカの中にジンバブエやスーダンが入っていないしで、ほとんど信じられる数字ではないのですが、それにしてもアフリカ中心に武器輸出を増やそうとしていることは確かでしょう。
闇で中国製カラシニコフ(AK-47)が世界中にばら撒かれていることはすでに公ですが。
いずれは武器輸出大国を目指しているのです。
世界が平和になると困る大国に成長することでしょう。
ロシアから984基のミサイルと発射システムを輸入していることは少し驚きですが、ロシアのミサイル在庫一掃に協力したのでしょうか?
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)