チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年1月17日
インドの建設現場/チベット百万農奴解放記念日
インドの建設現場は日本とは相当違ったものです。
広い現場のあちこちにトタン作りのバラックが並んでいます。
これはクーリーと呼ばれる肉体労働者の住まいです。
それぞれ出身地ごとに別れて現場が終わるまでそこに家族ごと住みつきます。
きっとこの計画は5年は掛かりますから、その間に子供が生まれたりもします。
一つの現場が終われば、次の現場でまた小屋を建て住むのです。
インドの中でも貧しい州の出身者ばかりです。まずビハール州出身者が一番多い。
つぎにラジャスタン、西ベンガル、ネパール人もいます。全部で今200人ほどいます。
其々の国で農業をやっているが、それでは食うことができずに、こうしてインド中の建設現場に出稼ぎにでるのです。
給料は普通のクーリーで一日100ルピー(200円)、左官が150ルピー(300円)が相場です。
今は冬で涼しいのですが、夏の40度にもなる暑さの中での現場作業は本当に辛いと思います。
インドの現場は今も全く機械化されてなくて、すべて人が資材を頭の上に乗せ運ぶのです。コンクリートブロック一つの重さは35キロ!です。
ダラムサラの現場のクーリーはこちらが笑いかけるとあちらも答えてほほ笑んだりします。一緒にビディー(インドの安巻きタバコ)とか吸って話をしたりもします。でもここのクーリー達はこっちが笑い掛けてもまったく反応しません。笑う顔も見たことがありません。
でも昨日夕方、できたてのフットボールグランドに若いのが集まってゲームをたのしんでいるのを見ました。
夕方小屋の近くを通ると、家族で仲良く、拾い集めた薪で火を焚き、食事の用意をしています。小さな子供がいて、仲良さそうで、時に羨ましくなったりします。
現場にも子供がたくさんいて、砂遊びとかしています。
このところの世界経済危機の煽りをこのバンガロールももろに受け、多くの現場がストップし、クーリー達も国に帰らざるを得ないものが多いと聴きました。金持ちはいくら損しても喪失感だけで大したことないけど、この人たちは可哀そうに本当に食えなくなるのです。
この現場を管理するために8人ほどのチベット人がTCVから送られて来ています。
彼らは自分たちはマーミ(兵隊)だと言ってます。安給料で現場小屋に何年も家族と離れて暮らさないといけないからです。それでもみんな男だけで食事を作り、本当に仲良くやってます。
そんな中の一人ニマくんの話。
ニマは5歳ごろにヒマラヤを越えて伯父さんと一緒に亡命してきたそうです。
TCVに預けられ、全くTCVの子供として育てられ、今もTCVで働いています。
彼は大きな体に似合わず本当にやさしいのです。飼ってる二匹の犬の世話をして食事を与えます。今日朝、この犬が子供を3匹生みました!小さな母親(アプソーの雑種)に3匹の生まれたばかりのネズミのような子供がたかっています。
ニマは最近作った池に自然に住み始めたフナにも餌をあげてます。
ニマによると、現場には沢山の生き物がいるそうです。
まず蛇、現場は土地を掘り返すので蛇には度々出くわすそうです。
コブラもたくさん見たそうです。「インド人は蛇を見るとすぐに殺そうとする。いくら殺さないように言っても聞かない。この前は池にいた小さな蟹をインド人が沢山集めていたので、どうするのだ?と聞くと食べるのだ、薬だ、という。そんなことはしない方がいい。可哀そうだし、来生に良くない、というと<自分たちの来生なんかクーリーに決まってる。今生も一生クーリーだし、来生もそうなのだ。自分たちの子供たちもそうなのだ。>と悲しいことをいう。まったく言うことを聞かない。
他にもいろんな動物がいる。こんな大きな(10センチぐらい)のサソリも見た。
孔雀やサギ、山鳥、奇麗な小鳥はたくさんいる。おおきなイグアナも見た。夏にはいろんな蝶々が飛んでくる」と楽しげに話していました。
彼は彼女が遠くのダラムサラの近くにいるそうで、いつもダラムサラの方へトランスファー(移転)のお願いを立てているが、可哀そうに今だ叶えられないそうです。
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チベット百万農奴解放記念日指定議案を審議 – 中国国際放送局
http://japanese.cri.cn/881/2009/01/16/1s133971.htm
2009-01-16 16:24:11 cri
チベット自治区第9回人民代表大会第2回会議は16日、第2回全体会議を開き、チベット百万人の農奴解放記念日の指定に関する議案を審議しました。
今年はチベット民主改革50周年に当たります。チベット自治区人民代表大会常務委員会のレチョー主任は15日、「『チベット百万農奴解放記念日』を指定することは大きな意義があり、チベット族を含む中華民族に、50年前に発生したチベット反乱平定と民主改革という歴史的事件を永遠に銘記させるものとなる」と語りました。(翻訳:周莉 チェック:吉田)
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「農奴解放日」を正式提案 中国チベット自治区 – MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090116/chn0901161433001-n1.htm
2009.1.16 14:31
新華社電によると、中国チベット自治区の人民代表大会(議会)で16日、1959年に中国政府が同地域の統治権確立を宣言した3月28日を「農奴解放記念日」とする議案が提出された。大会最終日の19日に採択される見通しだ。
当局者は提案理由について、「中国の国民が歴史を忘れないようにするとともに、チベット民族の愛国心を高める」と説明。しかし、昨年3月にラサで起きた大規模な暴動でチベット民族と漢民族の対立は深まっており、記念日制定が強い反発を招くのは必至だ。
チベットでは1959年3月、中国による統治に反発して住民らによる動乱が発生。チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世がインドに亡命。中央政府は同月28日に地元政府を解散し、自治区設立準備委員会が地方行政を担当するよう命じた。(共同)
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本当は中国政府が侵略により、チベット人農奴化を始めた記念日な訳です。
チベット人の感情を逆なでする、屈辱的記念日となるでしょう。
3月28日デモが起こるかも知れません。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)