チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年1月9日
カンゼで年末に一人の女性が<独立ルンタ>を撒き逮捕される。ガザ。
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最初に昨日の法王のサルナート講義について、訂正があります。
昨日は部分的に適当に聴いただけで書いたのでとんだ早とちりの間違いを書いてしまいました。
午前、午後を通じ二つのテキストは何度もスイッチされながら進んでいました。
これから先もそのように進行することでしょう。
もう一つ、ライブも聴けると書きましたが、実際には相当遅れてネットに流されているようです。
参加者数は2万人。そのうち外人が1100人だそうです。
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<カンゼで年末に一人の女性がルンタを撒き逮捕される>
http://phayul.com/news/article.aspx?id=23587&article=A+Tibetan+Woman+Arrested+from+Kardze+County
phayulによれば昨年12月29日、カム、カンゼの路上にてルンタ(風に乗せ祈願成就のために、散するルンタ<風の馬>とお経の印刷された小さな紙切れ)の上に
「チベット独立」「ダライ・ラマ法王に長寿を」と書かれたものをばら撒いていた、クンチョック・ドルマ31歳は20人ほどの軍人に囲まれどこかに連行されて行った。
情報によれば「彼女はまずドンツック僧院に行き、100元をカタに包み祈願供養をした。
その後カンゼの町に向かい、町中で「チベット独立」「ダライ・ラマ法王に長寿を」と書かれたルンタをばら撒いたのだ」という。
その他詳細不明。
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カザに昨日入ることのできた赤十字の職員が話していました。
「砲撃の合間を縫って辿り着いた10軒の家の中で多くの死体、死体のそばで何日のそのままでいた負傷者を見つけました。一番悲惨に思ったのは、ある破壊された家の中には母親の死体の周りに幼い子供が4人、何日もそのまま誰にも保護されずにいるのを見つけた時です」と。
そのことを直接質された、イスラエルのLivin?国防相は(この女性今のところ今年一番の憎まれっ子、間違いなしです)
「一々のそういった情報は確認していないので解らない。ただ、戦争だから、そのつもりでなくても、そんなことも起こるかもしてない」とおっしゃってました。
<戦争>と言えるかどうかも怪しいですが。
一方的にイスラエルを責めるわけじゃないけど、あまりにやり方が卑劣、残忍と思われる悪業は後の悪果も長く苦しみの多いものとなるのでやめた方がいいと思う。
遠くから眺めるばかりのBBCとかの映像を見てると、それはまるで古代の城攻めのようでもあります。一般市民が死んで当たり前の状況です。死者はすでに800人近くなりました。本当はもう1000人は死んでいるのかも知れません。
間違いなく「ガザの虐殺」としてイスラム圏では長く記憶されることでしょう。
今日はイスラエルの兵士がここに避難していろ、と指示した家に集まっていた110人、そのうち半数は子供、に目がけて24時間後に砲弾を浴びせ、30人が死亡したという。騙してガズ室に送るとは、、、、、
これについて詳しい記事が毎日新聞で配信されました:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090109-00000115-mai-int
どうしても1959年のラサ虐殺やら、去年の3月14日のラサと重なって見えるのです。
59年には数万人が殺されたが世界にはほとんど知らされず、知ってた国は無視した。
とりあえずは1948年にイスラエルが無理やり今の地に侵入してきたのだから、先住民を今の状況に追いやったことは悪いことなのだ。イスラエル人が国を持つ権利は認めるが武力で無理やり土地を奪うのは侵略でしかない。少しは遠慮すべきだ。
国連決議案の時にライス長官は「ハマスがロケットを撃つからこうなったのだ」と、原因をそのことだけに限定し続けた。そしてアメリカ一国のみ棄権した。
政治家は可哀そうにみんな本心はなく立場上の言葉しか口にできないのだ。
この意味ではイスラエルの高官たちも哀れにも世界中から嫌われ者となる役割なのだ。
しかし、このパレスティナ人の状況とチベットの状況を比べると、案外ガザの人々のほうに余計に希望があるようにも見える。
すでに国連決議も出た。もちろんこれで簡単に即刻停戦に入る、とは思えないが、、、
この先もしもオバマ氏が少しでも味方に付き、イランがハマス、ヒズボラから手を引くなら(この方が難しいが)かなりの自由と平和も獲得できる可能性がある。
第一国連その他国際機関が常に気にしていてくれる。実際、中に入って活動している。
これはチベットでは未だありえないことだ。
チベットに対してオバマ氏がいくら頑張ってもイスラエルほどには中国に対し影響力を発揮できるとは思えない。
イランのようなどこかの国が、例えばチベット青年会議に武器を供給するという話も二重に無い。
事が起こったときの情報の漏れ方がまるで違う。チベットからの情報は徹底的に遮断される。
事件の後にいおいても、ガザの場合はイスラエルが引いた後、国際調査団が入ってひょっとしたらジュネーブ条約違反でイスラエルの非人道的作戦が戦争犯罪として断罪されるかも知れない。すでに何度もテレビの中ではそのことが言及されている。
しかし、チベットで3月14日に起こったことの真相は今も不明のまま、何百人死んだのかさえ判らない。もちろんこれまでにこの大量殺人の罪で誰かが罰せられたこともない。
そんなことを言えば、チベット人120万人虐殺の責任を取るべき毛沢東は8000万人殺してもまだ、共産党によって最高の賛辞を与え続けられている。
人は無明に起因する二元論と煩悩の力により敵味方に別れ無限に争い続ける。
この争いを終焉させるために仏は二元を超え。ありのままを見ることのできる「縁起と空の智慧」を説かれた。
ユダヤ教の素朴な二元論はそのままキリスト教に受け継がれ、イスラム教に至って強化された。
イスラエルもパレスティナもこの意味においては根本的な融合路線を支持する理論に欠けている。
ここは仏教徒が仲裁に入るしかないでしょう!?
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)