チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年12月29日
続アイキャンプ
リーダーの籠谷先生が今診察されている患者さんはハンセン病に罹っています。
ダラムサラには昔からハンセン病の人たちが道端の乞食として多く集まってきます。
チベット人のいるこの街は他のインドの町より住みやすく、見入りもいいのでしょう。20年来の友達?もいます。
日本では普通の込み合った、病院の中でハンセン病患者の人が普通の人と同じように診察を受けるということは考えられないのでしょうが、ここでは普通です。
しかし、この女性もさすがに普通の手術代は払えなかったことでしょう。
このようなただで手術を受けられる機会など、この日本人たちが来なければ無かったことでしょう。
また目が見えるようになって本当によかったです。
そんな先生がこんな話をされました。
「昔ネパールで盲目の乞食に手術をした。
すると乞食の元締めやら乞食の仲間に<どうしてめくらの乞食に手術をしたのだ。
これでもやつは食えなくなるかもしれないじゃないか!
めくらだから見入りもよかったのに>と言われたよ。
だからこちらがいいと思ってやったことでも、そうならないこともあるんだよ」と。
これはでも、私の思うに、その乞食さんは自分で目が見えるようになりたいと思ってきた訳だし、その人は目が見えるようになってその後乞食を脱したかもしれない。
だから、やっぱい、良かったのです。
グループの皆さんは最後の診察を終えられて後、ダライ・ラマ法王に謁見されました。2000年から毎年来られていましたが、法王に会われたのは今年が初めてだそうです。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)