チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2008年12月25日

拷問死、地下協会

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b3563642.JPG以下は12月22日付、チベット亡命政府公式ウエブ発表としてphayul.comに掲載されていた情報です。いつものように要訳です。

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<一人だけの抗議デモ、拷問死>
http://phayul.com/news/article.aspx?id=23493&article=Report+confirms+two+arrests%2c+five+tortured+to+death+in+Tibet

チベットからの情報によれば、
11月20日午後5時頃、ラサ市内において20歳ぐらいと思われる若者が一人
「チベット独立!」とスローガンを叫んだ。

ほどなくして、若者はその場で公安警察にかこまれ兇暴な撲打を受けた後、連行されていった。
他の情報として、
11月28日カム、マルカムにあるウーセル僧院の僧院長ジャンパ・ギェルツェン師が公安当局により逮捕されたという。詳細不明。

亡命政府は今年の死亡者リストの中に新たに5人の名前を確定し付け加えた。
何れも死因は拷問、撲打とその後の治療が拒否されたことによるものだ。

5名の氏名は:
ソナム・プンツォとその妻(氏名不詳)、
ジャンパ・ラモ45歳チャムド出身、
テンジン・ノルブ ラサ出身、
ガワン・ツェリン マルカム出身。

以下に5名の現在までに判明した消息を記す。

1、ソナム・プンツォ: カム、チャムド県マルカム地区メパ・チャソ・テンパ村出身。彼は3月14日のラサのデモに参加したとして兵士、警官隊に過剰な暴力を受けた。

盲目の彼の妻はその場で泣き叫び、夫を殴らないでくれと懇願した。
しかし、武装警官はしがみつく彼女の頭を棍棒で撲打した。
彼女は意識を失いその場に倒れた。夫が連行された後、彼女は死亡した。

3月18日、ソナム・プンツォは拘置所内で他のチベット人と共に
「チベット独立!ダライ・ラマ法王に長寿を!」と再びスローガンを叫んだ。
その結果彼らは監視人により極度の拷問を受けた。
ソナム・プンツォはこのとき電気棒により何度も頭部を強打されたことにより死亡した。
同様の状況で多くのものが死亡している。

彼とその妻は20年ほど前より ラサ、ラモチェ僧院の門前で物乞いをして暮らしていた。彼らが亡くなり、彼らの9歳と7歳になる息子二人の面倒を見る者は誰もいなくなった。

2、ジャンパ・ラモ:45歳、カム、チャムド県キュンポ・テンチェン出身。
出身はカムであるが彼女はラモチェ僧院地区に長年暮らしていた。
3月29日に逮捕されて以後、拷問を受け続けた。
解放されたとき彼女は衰弱しきっていた。病院で治療を受けたが回復することなく11月28日自宅で死亡した。

3、テンジン・ノルブ:ラサ近郊メド・クンガ出身。
彼はラサとペンボの平和デモに参加したとして、逮捕され、拷問を受け死亡した。
フンドゥップ地区の警察から死体が、妻と一歳から七歳までの三人の子供の待つ家族に渡された。

4、ガワン・ツェリン: チャムド県マルカム地区メパ出身。
彼は3月13日病院に入院した(原因不詳)。
医者は輸血が必要だと告げた。
しかし、続く14日騒乱が起こった後中国当局は「軍隊のために優先的に輸血は確保されねばならない、いかなるチベット人にも輸血を与えてはならない」との通告を発した。
その結果、彼は輸血を得ることなく死亡した。

以上

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例えば3月14日にいったい何人の人が本当に撃たれ、殴られて死亡したのかははっきりしない。
100~300人であろう。個別の確かな情報が伝わるには時間がかかる。
情報を外部に漏らしたというだけで、発覚すればスパイ罪となり長期の刑期を受ける。
最近伝えられたワンドゥ氏(無期懲役)以下6人が10年から15年の刑期を受けたのはこの例だ。
外国に隠された情報を流しただけ、それも電話やメールでそれとなく伝えただけでも重罪となるとは、そんな国が中国なのだ。
どれほどの恐ろしいことを隠れてやっているのかな?と興味は増すばかりというのが普通の反応でしょう。

一ついつも思うことがある。
中国の有名反体制知識人なら逮捕されても拷問にあったり、長期の刑期を受けることはまずない。外国が注目するということもあるが。
しかし、チベット人の場合は地方では少し有名であろうと何の問題もなく拷問を受け、長期の刑を言い渡される。
乞食で盲目ならばその場で殴り殺される、、、

例えば、天安門のデモを先導した学生たちは、外国に亡命もし、有名にもなった。
しかし、天安門事件の起こる2年前に、文革以来初めてラサで数千人規模のデモを先導したデブン僧院の僧侶たちは今まで何の保護も受けることなく、世界に発言する機会もないままだ。
この差はどこからくるのか?

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続いて新華社電より、

「デマ流布」と59人逮捕 中国チベット自治区
http://sankei.jp.msn.com/world/china/081224/chn0812242303004-n1.htm

2008.12.24 23:03
 24日の新華社電によると、中国チベット自治区ラサ市の公安当局は23日、3月14日に ラサで起きた大規模暴動に関連し、デマを流して国家の安全を害したとして、59人を逮捕した と発表した。

 当局によると、59人はラサでの暴動後、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の支持 者と協力し、共産党や政府に対するデマで民族主義をあおったとしている。(共同)

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短い記事なので詳細不明です。
中国では<真実>は<デマ>、<デマ>が<真実>が常識です。

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最後にクリスマスのお話。北京の何とも言えないクリスマスの様子です。

それにしても信者が7000万人というのは本当なら信じがたい数字です!
これから暗い世が始まり益々信者は増えることでしょう。
この時期にチベット仏教がもしも布教可能なら、大変な数の信者を獲得できるのは確実でしょう。

ーーー

<北京の地下教会ミサ 緊張の聖誕節 若者・インテリ層にも信者拡大> – MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/china/081224/chn0812242152003-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/china/081224/chn0812242152003-n2.htm

2008.12.24 21:49

【北京】聖誕節(クリスマス)ムードに包まれた北京市内のマンションの一室でこのほど、中国政府に公認されていない“地下教会”のミサがひっそりと開かれた。50人を超す参加者の多くは20代、30代の大卒者。約半数は女性だ。共産党の指導を拒否し、信仰の自由を求める地下教会が、高学歴層や知識層にも広がっていることをうかがわせた。

 天井と壁を十字架が彩っていた。信者名義の3LDKマンションは教会組織が資金を出し、借りている。女性のピアノ伴奏に合わせて合唱し、牧師(33)が「心の平安をどう保つか」を説いた。一見何の変哲もないミサにみえるが、どことなく緊張感が漂っていた。

 地下教会には、牧師の政府批判などを把握するため、当局側の人間が潜り込んでいるといわれてきた。コンピューター関連企業に勤める30代の女性は「中国共産党の指導やかかわりを拒否したい。でも、政府のやり方はわかっているから、心の中では緊張している」と不安を隠さない。

 著名な反体制派作家で、ブッシュ米大統領に面会したこともある余傑氏の顔がみえた。共産党による一党独裁体制の廃止を求めた「08憲章」に署名した男性もいた。

 もともと公認のキリスト教組織に属していた、ある民主活動家(47)は、聖職者が信者の言動など詳細な状況を当局に報告し、それを受けて信者が拘束されたことを知り脱退。1993年からは地下教会で活動してきた。人権擁護活動に携わって以降、職も失った。「今に至るまで当局に監視され続けている」と小声で話した。

 地下教会の信者数は、共産党の指導を受ける公認組織の信者数をはるかに超える。貧困層の農民から富裕層まで、約7000万人と推定されている。

 ある大学教授は「社会の急激な変化や道徳の低下、拝金主義の中で、精神的よりどころを求める人が増えた」と分析する。知識層や企業家への信者の広がりは、寄付金の拡大にもつながっている。社会情勢の変化次第では、政権に幻滅した勢力とともに党の求心力をそぐ組織になりうる-との見方もあり、中央政府が警戒する理由もここにあるとみられる。

 2006年7月には、杭州の教会建設現場に多数の警官隊が押し寄せ、暴力を振るう事件が起きた。このような露骨な弾圧こそ少なくなってきたが、最近、北京の民主活動家が計画した地下教会のミサは「当局が場所を提供した施設に圧力をかけ、中止に追い込まれた」といわれる。電気・水道を止めたり、マンションのオーナーを通じて退去を迫ったりするなど、見えない圧力が増している。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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