チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2008年12月10日

「世界人権宣言」60周年。法王・ノーベル平和賞受賞記念日

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1b65f7fe.jpg1948年12月10日、国連は「世界人権宣言」を採択し、「すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」として、人権と基本的自由を享受するうえで平等であるとの基本原則を示しました。

今日はその60周年記念日です。

http://phayul.com/news/article.aspx?id=23386&article=Torture+widespread%2c+routine+in+Tibet%2c+report+says
甘粛省、ラプラン僧院の僧侶ジグメ・ギャンツォは拘置中に受けた拷問のため、解放後も一か月入院することとなった。

両手を縛られたまま、天井から数時間にも渡って吊り下げられた。その状態で彼らは、私の顔を、胸を、背中を思い切り殴る」
「ある時、ついに完全に私は意識を失った。病院の中で意識を取り戻した。
すると又、刑務所に連れ戻され、同じように天井から吊り下げられ、殴られた

と彼は証言した。

「拘置されたものが解放されても、その後拘留期間中に受けた拷問によりその後死亡したり、一生残る精神的、肉体的<傷>を負う。病院での治療代が払えなかったり、全く治療を拒否されることもある。
<拷問のケース>は稀にしかない、と中国政府は言うが、事実はそうでないことを証明している。中国政府がチベット人を弾圧すために拷問を武器の一つとして使うことを許しているこのは明白だ」と<フリー・チベット>代表のステファニー・ブリデンは語る。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=23375&article=Dalai+Lama+says+oppression+continues+in+Tibet%3a+Report
中国は先月、国連人権委員会の、反体制派に対する拷問と行方不明者について及び、刑務所内での囚人への不当な扱いに関する統計提出要請に従うことを拒否した。

国連拷問禁止委員会は<拷問禁止国連協定>に関する中国レポートを総括し、そのチベットの章において、「役人、警察、公安、武装警官、軍隊および時には公安に使われる一般人によって行われる、特にチベット人僧侶、尼僧に対する、長年に渡る拷問、撲打、長期の手枷、足枷その他の恥辱的扱いに関する疑念」に対する深い憂慮を明らかにした。

委員会はさらに中国に対し、一年以内に「今年春チベット自治区及び近隣のチベット族自治州、自治県内で発生したデモに対する、広範囲に及ぶ、過剰な武力行使、虐待」に関するレポートを提出するよう要請した。

中国は、しかし、容疑を否定し、国連の拷問レポートは「素人の作った嘘untrue and unprofessional outcome」であり、メンバーの偏見と政治化の産物だ、と言った。

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1b9a0ea0.jpg
先のブログでお知らせした、「国際機関は中国政府に対し、81歳になるチベットの伝統印刷職人パルジョル・ノルブ氏に対する秘密裁判と投獄を非難し、彼の即時解放を要求すべきだ」。
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51137594.html

の話の続きですが、我々ルンタ・プロジェクトもかつてアムネスティー・インターナショナルと一緒になって、というか世界中のチベット支援団体が<連帯>して、政治犯の釈放を中国政府に要求するという活動に加わっていたことがあります。

成功例としてはガワン・サンドル女史、ガンデン・タシ氏とかです。
ガンデン・タシ氏は10年ぐらい前だったか?日本のアムネスティの招待で日本に来られ、日本中20か所以上で講演を行いました。
私も半分ぐらい通訳で付き合いました。

タシは亡命後、ダラムサラにいて友人でした。長い間、暴行後遺症の強い頭痛に悩まされていましたが、最近はイギリスで元気にやってるようです。
講演の時には必ず、「私の解放のために尽くして頂き心から感謝します」と言ってました。確かに、彼は拷問により、そのころ自分で立ちあがることができないほど衰弱していたのです。
そのままでは危険な状態だったのです。
「自分はみんなが外から助けてくれなかったら、監獄で死んでたよ」とよく言ってました。

このような例もあるのです。
罪無く、80を超え冷たい獄中で死ぬのは無残なことです。
アムネスティーの人に相談してみてください。

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もう一つ、今日は「ダライ・ラマ法王ノーベル平和賞受賞記念日」でもありました。
こちらは19年記念日か。
朝からツクラカンでは式典が行われていたようです。
すみません、知ったのが遅すぎてカバーできませんでした。
法王がいらっしゃらないしね。

嘗て1989年に法王の受賞がダラムサラに知らされた時の、ここのみんなの大喜びの様を思い出します。
この数十年間で一度だけチベットが勝って喜んだ日。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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