チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年11月10日
温度差
この時期、ヒマラヤの南斜面には傾いた日差しがたっぷりあたり、春が来たように、気温が再び上がるのです。
それで桜やその他野生の朝顔、ブーゲンビリア、ハイビスカス等花が沢山咲きます。
春には白い野生の梨の花であたりはいっぱいになりますが、これを最初は桜の花と間違え、へ~~~この辺では桜が年に二度咲くんだ!
と勘違いしていました。
この勘違い、今もダラムサラに少し長く住む日本人には依然多いようです。
チベット本土は今年は大雪とか、ダラムサラとの温度差は相当です。
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法王は日本出発間際に再び在日チベット人グループにお会いになり話をされたそうです。
上の写真を提供して下さった、H女史がチベット人に聞いた内容の要約は
「中国人とよく交流しなさい。
中国との関係が良くなることは、今は望めないから、自分達の将来を自分達でしっかり考えなさい。
歴史のことを祖父母によく聞きなさい、とか」
だったそうです。
「中国との関係が良くなることは今は望めないから、、、」
は最近の法王の悲しい実感なのでしょう。
以前は聞かなかった発言です。
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法王の日本でのティーチングについて、最近ダラムサラで以下のような話がされています。
つまり、このところ韓国、台湾に法王が講義のために出かけられることがビザの関係で難しい状況が続いている。
そこで、「いつか近いうちに三国合同で法王を日本にお招きし、講義もいままでのような時間に非常に限りのある、一通りの教えではなく、テキストを使った本格的な講義を行なって頂く。
期間も最低一週間とかにする。」
というものです
実際韓国や特に台湾の人たちの方が法王の講義を聴きたい度合は遥かに高いのだ。理解の程度もいい」
この話も韓国語や中国語の通訳をしてる人達から始まったものです。
日本の方々、御考慮お願いします。
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第8回会談が終わった後、特使たちは「会談の結果の報告は17日からの会議の前には発表しない」と言った。
果たしてこれは、法王や首相と相談の上でそう言ったのであろうが、、、?
変な話だと思った。
どうせ、いい話は無いにしろ、もし有るのならもちろん発表するであろうから、悪い知らせに違いないとみんな思うだけだ。
この前の法王の御病気の時にも下手に隠して要らぬ大袈裟な心配を作り出した。
「現実を調査し現実に即して決定するように」がスローガンのこの社会、特に大事な会議を前にその議論の大事な前提条件の一つを伏せておくとは、何だかな?
と思っていました。
そんなこと言ってるうちに、中国側が「会談はダライラマのお陰で大失敗だった。何の進展も無かった」と発表した。
「独立何て決してあり得ない話だ!」
といつもの調子です。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=23187&article=No+progress+made+at+Tibet+talks%2c+China+says
今度の会談を前に首相のサムドゥ・リンポチェは「会議の内容に拘わらす、中道路線に変更はない」とか発言し、物議を醸し出しています。
実際、法王はもう「これまでの中道路線は失敗した」とはっきりおっしゃったはずだけど、本質的に保守的なこの社会は、いつも法王の足を引っ張る方向に動くことが多いようです。
この辺の事情を詳しく知りたい人は最近のジャミヤンのブログに行ってみてください。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=23177&article=Making+The+November+Meeting+Work+-+Jamyang+Norbu
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さてアメリカの大統領に民主党のオバマ氏が当選した。
オバマ氏にも期待するが、特にナンシー・ペロジ女史に期待したい。
彼女は3月初めにも、すぐに10名以上の議員を引き連れてダラムサラまで来てチベット人を激励した人だ。
最近確かにアメリカ議会はチベット問題に関し中国に政策転換を促す決議を出している。
イギリスからも数か月前議員団がダラムサラに来てチベット支援を表明した。
その後確かにイギリス議会もチベット問題に関し中国をけん制する決議案を可決している。
大きな仕事だ。
EUも頑張ってる、国連もまあまあまだ頑張ってる。
これらすべて法王のお陰!
中国は法王がお隠れになるのを待ってるだけ。
チベット人に残された時間は本当に限られているが、判ってるのかな?
日本はといえば、今回法王に謁見した議員は三人とか。
枝野幸男氏・民主
玉澤徳一郎氏・自民
わたなべ周氏・民主
共同通信ーAP通信経由でこちらに入った情報によれば、
内御一人様が法王の勧めに従い今度の17日からの会議に出席するらしい、というのですが?
今度の会議はチベット人オンリーと聞いています。
月末にデリーで開かれる「チベット支援国際会議」の勘違いじゃないでしょうかね?
それにしても、もしそうなら大歓迎ですが、その後の成果というとこまで考えると、先進諸外国のようには到底行かないでしょう。
日本はまた当分、中国とアメリカの間でぺこぺこ外交を続けるだけでしょう。
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左の写真は最近オーストリアの議員と一緒にチベットに入ったジャーナリストの撮ったものです。
拳銃を手にパルコルを囲む建物の屋上から下のチベット人たちを監視する、スナイパー係。
監視の目をごまかして自由に外出できたのは一夜だけ。
街には夜中5分ごとに6人ずつのグループ(3人は楯、3人は銃を持つ)の武装警官に出会ったという。
すべてのチベット人が外人と話をすることを極端に怖がっていた。
それでも彼は数人の僧侶と会話をすることができた。
「中国人と軍隊が益々増えていく。
でも誰も話したがらない。
いたるところに監視カメラと監視人がいる。
街角での隣で話を聞きつける。
チベット人はこんな状況を悲しんでいる。
でもどうしようもない。無力感だ。
外人にチベットの政治的状況を話すことは非常に危険で、誰もあえてやらない。」と彼は話したという。
あるとき目の前で僧侶の一団が警察のバンに押し込まれるのを見たという。
すぐになぜ僧侶たちは連れて行かれるのかと質問したが無駄だった。
その他自治区の役人たちへのインタビューなども割と詳しく書かれています。
詳しいレポートは以下の英文へ。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=23185&article=China’s+iron+fist+cracks+down+to+subdue+Tibetan+rebels
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)