チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2008年11月2日

日本からのニュース等

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日本御到着のダライ・ラマ法王(写真HANAMI)
法王は日本に着かれるなり、相当取材攻めに遭われていらっしゃるご様子。
真に有難い、良い傾向です。

今年ほど、日本の報道関係者がチベットに関心を示して頂いた年は、無かったわけですから。

ちょうど中国との対談がすぐ近くの北京で行われているという事で世界の関心も一際高くなっているようです。

法王は何時になく強い言葉を使われているように感じます。
今までの我慢が弾けたように?(これは失言!)

以下は日本からのニュースです。ダラムサラにいる私がすることではないのですが、参考までにです。

まず、今日の毎日新聞の記事から、その最後のインタビューの要旨のみ。
全文は:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081102-00000020-maip-cn

11月2日20時17分配信

ダライ・ラマ14世とのインタビューの要旨

 私がいつも強調するのは、愛と慈悲の大切さ、宗教間の相互調和だ。暴力や紛争が絶えない今、それが平和へのメッセージになる。

 3月の危機(チベット暴動)以降、中国政府に期待したが、現実は違った。チベット人は「死刑宣告」を受けたと同じだ。中国政府はウイグル人やチベット人などの少数派に対して耳を傾けず、武力で臨む。中国政府は「チベット問題は存在せず、問題はダライ・ラマにある」とし、私を分離主義者、扇動する政治家だと呼ぶ。私は中国人民を信頼するが、中国政府への信頼はなくなりつつある。

 17日から亡命チベット人代表が集まりダラムサラで会議があり、月末にはニューデリーで国際支援会議が開かれるが、私は中立の立場だ。

 チベットの文化や伝統を守ることはチベット人のためだけでなく、中国の立て直しにも役立つ。現在の中国は自由がなく、法治国家といえない。腐敗して汚れた共産主義だ。かつてチャーチル元英首相が(東西冷戦を象徴する)「鉄のカーテン」という言葉を使ったが、人の話を聞かない中国政府は「心のカーテン」を引いている。【鵜塚健】

ーーーーーーーーーーーーーー

次は、産経ニュースの前半のみ、
http://sankei.jp.msn.com/world/china/081102/chn0811021637000-n1.htm

「チベット人、監視下に」「居住地に解放軍が常駐」ダライ・ラマ、本紙と単独会見
 2008.11.2 16:31

チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は2日、東京都内のホテルで産経新聞と会見し、今年3月のチベット騒乱以後に再開されたダライ・ラマの特使と中国政府による話し合いについて、「中国はチベット問題の現実を全く無視している。状況は全く変わっていない」と指摘した。

 また、中国の温家宝首相が「ダライ・ラマはチベットと中国を分離させようとしている」などと述べたことに触れ、「温家宝首相に直接、その根拠をただしたい。私がそのような行動をとっていないことはすべての人々が知っているなどとして激しく批判。その一方で、「将来的にも中国政府に関与していきたい」とも強調し、中国側の方針転換に期待を示した

 中国内のチベット人居住区に関して、ダライ・ラマは「いたるところに中国人民解放軍が駐留している。秘密警察要員も多数入り込んでおり、チベット人は厳重な監視下に置かれている」としたうえで、ある地区には1万人以上もの兵士が駐留し、チベットの伝統的な文化財や寺院などが破壊されていることを明らかにした。また、5月と7月の話し合いでも、中国側はダライ・ラマを批判するなど、チベットを取り巻く環境は「まったく変わっていない」と指摘した。

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最後に、これは法王の日本訪問と直接関係はない古い記事ですが、
日経ビジネスオンラインに

<チベット騒乱の背後に地下資源問題>という記事。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080403/152118/

青蔵鉄道の本当の意味

2008年4月8日 火曜日 谷口 正次

去る3月14日、中国チベット自治区の首都ラサで大規模暴動が起きた。中国政府は北京オリンピックを間近に控え、鎮圧、沈静化に躍起である。外国メディアの取材をシャット・アウトしていたため、実態はよく見えない。

 中国人民解放軍が最初にラサに進駐してチベットを併合したのは1950年、半世紀が過ぎた。その間、戒厳令が発令された大規模な暴動としてはダライ・ラマを追放した1959年3月と1989年3月であった。どういうわけか今回も3月、これまでのチベット人の犠牲者は100万人を超えると言われている。1989年の動乱の映像がYouTubeで放映されているが、その弾圧の過酷さがよく見て取れる。今回も似たようなものと容易に想像できる。

 中国はなにゆえそのように強硬手段でチベットを統治しようとするのか。それは、チベットに眠っている豊富な地下資源である。その眠りを覚ます役割が、2006年7月に開通した青蔵鉄道である。青海‐ラサ間1145キロメートル、約3200億円かけて建設された鉄道は採掘された資源の輸送手段になるわけだ。

 国あるいは地域を実効支配する常套手段が鉄道建設である。自国民を大挙して送り込み、資源を収奪する方法は、かつて、日本も満州で行った。国策として南満州鉄道を建設し、100万人移民政策を推進、鞍山の鉄鉱石、撫順の石炭その他有用資源を確保した。青蔵鉄道も全く同じ手法である。この方法を中国は今、チベットだけでなくアフリカのコンゴ民主共和国でも実行している。

 チベット自治区とその周辺のチベット族居住地域の地下資源は、資源飢餓国中国としては絶対に開発したいところである。青蔵鉄道建設に先立ち、その沿線地域において政府地質調査団が広範囲にわたり探鉱した結果、銅、鉛、亜鉛、鉄鉱石の鉱床が発見された。これら資源の価値は1250億ドルと評価されている(Interfax-China)。銅が2000万トン、鉛・亜鉛が1000万トンで、1カ所の銅鉱床で確認された埋蔵鉱量789万トンは、中国全土で2番目の規模である。

 これら調査結果を2007年1月25日、新華社通信が公表した。多くのチベット人にとっては、それまで青蔵鉄道建設が資源収奪を目的とするものだと疑念を抱いていたが、そのことが確認されたというわけである。チベット高原における中国の行為は、インフォームドコンセントもなく、チベット人には何らの自由も優先権もなく、中国の資源収奪は占領されたチベットにおける、“白昼堂々の盗み”とまで表現するチベット人もいる。鉄道に反対してきたのは、資源収奪もさることながら、漢民族がどんどん増えることによってチベット人が駆逐されることを恐れていたからである。

 ちなみに、2007年ラサの人口35万人のうち漢民族が既に20万に達している。

 さらに、チベットの人たちが心配していることは、資源開発に伴う環境破壊である。今、チベットはまさにゴールドラッシュ。中国企業のみならず、カナダ、オーストラリアなどの外資も権益を取得して探鉱・開発に参入してきている。これに対して、“自由チベット”の活動家たちは反対の声を上げている。

 例えば、カナダのコンティネンタル・ミネラルズ(Continental Minerals Corp.)がラサの南西240キロの地域で行っている4.5億ドルの銅・金鉱床の開発プロジェクトが標的になっている。

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大事な追記のお知らせです。
先月の10月14日
<日本人旅行者の最新ラサレポート>として
日本人でラサに最近行かれたM女史の素晴らしいレポートを掲載させて頂きました。
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/2008-10.html?p=2#20081014
まだ読まれていない方はぜひお読みください。

その中で「少しだけ追記がある」と連絡を受けたのが、早一週間以上前か?
私がボケてて今日まで載せるのを忘れておりました、すみません。

以下M女史よりの連絡です。

ーーー

先日のラサレポートの内容に、追記したい部分が出てきました。
別の旅行者から聞いた情報です。

「街中のインターネットカフェは、すべて姿を消していました。」
 → 「国慶節の数日後から、英語看板を出して営業するネットカフェが出てきた」そうです。

「ガンデン寺・・・訪問不可 、 サムイエ寺・・・訪問不可」
 → 「国慶節の後からは、訪問可能になったらしいと聞いた」そうです。

以上

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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