チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2008年10月29日

チベット完全独立トーク

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以下昨日書いたものですが、昨日はlivedoor.blog自体がダウンしていてアップできませんでした。

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ダラムサラでも昨日午後2時から、TIPA(ドラマスクール)のホールにてチベット青年会議主催の「独立トーク」というのが開かれた。

突然、所謂「独立派」、今までは法王に盾つくごろつき、と一般的には後ろ指をさされ続けてきた人々が勢いを得始めた感がある。

檀上に上がっているのは、立って開会の基調演説をする左手が現チベット青年会議議長ツェワン・リンジン、座っているのが左よりルガル・ブンという最近の活動家、次は司会のラジオ自由アジアのカルマ・ゲンティ、その右にセルタ・ツルティムという独立系議員、その右が9-10-3の会の書記プンツォック・ワンツック。

三人の話は、議員は過去の完全独立してた歴史の話。活動家は未来独立したらこのように中国人は扱われるだろうという夢の話(会場の笑いを取っていた)。元政治犯はチベットでも「独立」と叫んで捕まって拷問された、ここでも独立以外に要求はない、という話でした。

後の質問でもあったが、結局みんなが一番知りたがっている「じゃ独立を求めるとして、これまでと違った革新的な新しい戦略はあるのか?」については煮え切らない討論が続いただけとの印象でした。

結局、首相のサムドゥ・リンポチェも明言されているように、「法王がいらっしゃる間は非暴力路線には絶対変わりはない」ということだし、
これは過激なジャミヤン・ノルブやラッサン・ツェリンも現実的には認めているのだから、そんなに急に新しい方策が出てくる訳もないのでしょう。

28.10.200ドラマスクール「ランツェン・トーク」
討論会の最前列には身を乗り出してノートを取るラッサン・ツェリン、この会議の最長老顧問といえる元首相のソナム・トプギャル、この二人は元チベット青年会議議長でもある。
その手前に現在の議長ツェワン・リンジン。
ラッサンとかは法王に盾ついたとして「処刑」の張り紙を街中に張られたこともあった。今も彼のことを気違い呼ばわりするものは多い。

会の始まる前にソナム・トプギャル氏に「やっと貴方の時が来たんじゃないですか?まだ元気はありますかな?」と聞いたが「うん、うん、そうだ、そうだ、そういえば今、家を造ってる。今度一度見に来てくれ」と何だか私の顔を見ると建物の話に癖で入ろうとした!

ラッサンは休憩時間に一人寂しく立っていたので、近づくと「おれには戦略がある」と呟く。
でもいつもと違い何だか緊張していた雰囲気で話を続けようとはしなかった。
例の「やぶ蚊作戦」のことかな、、、?と思うが、きっと彼のささやかな抵抗作戦も採用されるとは思えなかった。

演説の勢いと現実の行動計画の間にはチベットに関しては、誰しもギャップが大きいのだ。
独立系活動家一の理論家ジャミヤン・ノルブでさえ、ラジオ自由アジアのインタビューの中で、
「私のチベットの若者へのアドバイスは暴力と爆弾のことは忘れろ、だ。
我々にはそんなことをする能力がない。だが弱点を狙い撃ちすることはできる」

「ただチベット問題を生かし続けよ。
中国を悩まし続けよ。中国は世界に大国として認めてもらいたいと願っている。
ここが最大の弱点だ。ここを攻めることは爆弾より効果がある」

「いずれ短期的解決法は皆無だ。道は険しく犠牲者もでるであろう。すべての困難を、避けずに受け入れよう。
中国は世界に大きな力がある、チベットは小さい。
しかし、誰でもこのゲームを続けることができる。
いつか出口を見つけるまで。
みんなには大きな期待を持たないように、と言ってる」

ーーーーーー

20年以上も前、ラッサンやジャミヤンと飲んだりすると、すぐに爆弾の話が始まっていたことを思い出す。

みんな年を取ったな~~と、年のせいにしたりして、ハハハ。

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予定に通りなら、今日から「第8回会談」が開かれているはずなのですが、
全く状況は雲の中です。
中国側の発言では、もう始まっているとも、いないともはっきりしません。

ただ、中国側は法王の25日の発言を受けて「ダライラマは第7回会議で約束した、独立運動に加担しない、ということを守るべきだ」と要求してきてる。

今まで散々「独立運動を先導している」という根も葉も無い言い掛かりをつけておいて、今から「独立運動に加担するな」というのは論理的に矛盾してないでしょうか?

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日本訪問中は政治的話題が再び注目を浴びることでしょう。
日本人が特に不得意とする中国との関係をチベットを通じて考えるいい機会になるでしょう。

http://phayul.com/news/article.aspx?id=23098&article=China+reacts+to+Dalai+Lama%e2%80%99s+declaration+over+Tibet

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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