チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年10月12日
今日のラジオより
ラジオフリーアジアの放送を久し振りに聞いた。
7月終わりに日本に発った時から、ご無沙汰していた。
大きなニュースは無いらしいし、、、と思ってたのもあるかな。
時間に余裕が(あまり)無かったのもあったか?
とにかく、久しぶりに聞いたチベット語放送では、まず
亡ガンデン・ティパ(ゲルク派最高位の僧に与えられる尊称)の「トゥクダム」のことが話題になっていた。
初めにある高僧が「トゥクダム」の説明をされ、
続いて、南インドに検診に行ったメンツィーカン・チベット伝統医学院の医者と
デレック病院・西洋医学の医者にインタビューしていた。
「トゥクダム」の状態とは、卓越したタントラ行者は心拍停止後、微細な風(ルンタモ)に乗った微細な心(セム・ナムシタモ)をあらわすことができるが、そのもっとも微細な心を持って「空性」を観、空と一味となり、そこにとどまっている状態のことらしい。所謂「空楽無二」の状態。
最後(完全に死んだ後)には有情済度のため再びニルマーナカーヤ(化身)の姿を取ってどこかに生まれ変わるという。
とにかく医者は二人とも、最初死後一週間(最終的に18日間)たっていたにも関わらず、まったく腐敗の様子のない死体?を見て、その不思議さに驚いたという。
腐敗どころか死後硬直もないという。
興味深いことに、彼の脳波を測定したそうだが、死後?も度々不思議な脳波が観測されたという。
これらのデータは今アメリカの研究グループに送られ検討されているという。
どんな結論を出すのでしょうか?
とても興味がありますね。
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次の話題は「法王の御容態」について。
ドイツに在住するチベット人のお医者さんが話をされていました。
「胆石」何て病気のうちにも入らないぐらいだ、成人の三割は何らかの「石」を持っている。そのうちの四分の一が症状を示して手術したりする。
法王の手術は内視鏡手術だったから傷口は二か所に各一センチぐらいしかないだろう。数日で退院できるはずだ。
心配はない。
先日ダラムサラで行われた法王の講義に参加して法王のお顔色をいつも拝見していたが、私は医者だからいうが、法王のお体の状態は50代と思う。
顔の色艶は素晴らしい。
胆石などは何でもない。
法王は長寿を全うされるであろう。
それにしてもわれわれモンゴル人種には胆石と、そう糖尿病が多い、、、
とそれからは長々と糖尿病の話をされていた。
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その後、ラサからの電話が流された。
ラサ大学にいるチベット人の青年からの電話だ。
「ラサには今もいたるところに武装警官隊やら軍隊がいてチベット人を監視している。
彼は自分は中国人に教育され本当のチベットのことは知らなかった、しかし今年こんなことが起こり、初めていろんなことを知り始めた。
中国はチベットに沢山の投資をして豊かにしたと言っている。
しかし一方で大量の鉱物資源を採掘して中国に送っている。
中国人ばかりが豊かになる仕組みができている。
僧侶たちと知り合うことで仏教や法王のことも知るようになった。
チベット人は仏教の教えに従い、物質的な豊かさより、心の豊かさを求め続けてきた。
法王は素晴らしい人だとわかるようになった。
嘗て中国のプロパガンダに乗って法王のことを非難したことを思い出し、ひどく後悔している。
教室である時、中国人の女子学生が、法王を汚い言葉で罵った。
それを聞いて私はかっとなり、その女子学生に食って掛ったことがある。
周りはしばらく中国人とチベット人の言い合いの場となってしまった。
このままでは、中国にますます飲み込まれて行くだけだ。
中国はチベット人を完全な中国人にしようとしている。
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今日は6時から、ダラムサラのドラマ・スクール(チベット伝統舞踊学院)で「ミス・チベット!」のイベントが開かれる。
開催首謀者の例のロプサンが「写真を撮りに来るように」と電話してきた。
行こうか?どうか、、、
応募者は二人っきりというしね。
今までの実績?はあまり芳しくないしな、、、
でも読者の中には一応、今年のミス・チベットを見てみたいと思う方もいらっしゃるでしょう。
夜には写真、載せられるでしょう。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)