チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年9月15日
ダライラマ法王のご容態について?
昨日の朝phayul.comに
<ダライラマ法王が休養のため10月のヨーロッパ訪問をキャンセルする>という記事が掲載されていました。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=22805&article=Dalai+Lama+Cancels+Europe+Visit+to+Rest
法王は10月9日よりスイスとドイツを訪問される予定でした。
主治医は「全般非常にご健康であられるが、今回のヨーロッパご訪問は見合わされるよう強く進言した」と話している。
法王はこのことで夫々の国の主催者たちに迷惑をかけることをいたく悔やまれという。
しかし今月9月25日から27日および30日から10月4日までのティーチングは予定通り行われるとのこと。
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昨日偶然他の用事で法王の主治医の一人「チベット伝統医学院」の院長であるダワ先生にお会いする機会があった。
そこで(本当のことを話してくれるとは期待していなかったが、、)早速、「法王のご様子は如何に?」と質問した。
「全然心配いらない。ただお中をこわされただけだよ。誰にもあることだ。至ってお元気だ。ただ、あまりにスケジュールが過密だ。外訪のときには様々な食事が振舞われる。時差も問題だ。だから今回は大事をとって見合わされることをお勧めしたのだ」
「血圧は大丈夫なのですか?」
「血圧は問題ない」
ということでした。
その後、午後3時からナムギャル寺のゲシェ・ロサン・ダクパ師に再び、88年のデモについて詳しく聞くために会った。
始めにゲシェラのほうから
「今日はソジョン(月に一度の僧侶・尼僧の懺悔日)の日だった。
法王はツクラカンにお出でにならないので私たちナムギャルの数人がいつも御住居の方に伺っている。
法王は私たちの立会の許、御自身のソジョンをなされる。
その後、皆が心配していると思われたのか
「自分は全く元気で健康だ。しかし最近腹痛を覚えた。
胆石の痛みだということだ。
手術をすれば問題ない。
来月ティーチングが終わったら手術する予定だ。」
と私たちに話された。
「表情とかお顔色は?」
「全く普段と変わりなくお元気そうだった。心配いらないと思う」
と言われた。
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これが確かなら法王は胆石を取り出すために来月手術されるということだ。
もっともここで一つ私は胆石と思うのだが。
ゲシェラはチベット語で法王のお言葉として「チンバ・ナキドゥ」と「ド・ヨレ・セギドゥ」と言われた、と言った。
このうち「チンバ」が問題で「チンバ」は肝臓、胆のう、腎臓、膀胱全てについて言う。次の「ド」は「石」だ。
そこで勝手に私が「胆石」と決めつけて言ったまでです。
ところで今また、判ったところでは、このことはもちろん内うちの人だけは知っているのですが、外部には箝口令が出ているとか?
しかし思うに本当に胆石ならば誰も本気で心配するものはいないはずだと思う。
返って隠すと、人々は大袈裟に心配したりする。
公表すればいいのに、と思ってしまう。
ある種のチベット人にとっては「法王のお身体が傷つけられる」ことに対し特別の大袈裟な思いを抱く恐れがあるかも知れないからか?
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)