チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年7月24日
爆発事件に関する疑惑
連帯委員会リリース 2008年7月23日
http://www.stoptibetcrisis.net/pr230708.html
Y女史訳
Qualms over Derge Gonchen monastery blast
<デルゲ・ゴンチェン僧院爆発事件に関する疑惑>
国営新華社通信の7月22日の報道によると、四川省当局がデルゲにあるゴンチェン僧院の爆発事故に関するプレス・リリースを発表した。
この爆発では2名の僧侶が死亡し、4名が負傷している。
省政府当局によると、爆発の起きた現場は古美術品や宗教儀式道具の保管庫で、爆発の原因は宗教儀式のために不法に黒い粉(火薬?)を保存していたことにある、とされた。
この黒い粉によって電気がショートし、保管庫内の粉に引火して爆発を引き起こた、という。
この報告では、当局は716キログラム以上の粉を同僧院のほかの場所から発見し、政府の管理下に移送した、としている。
さらに、この僧院は宗教儀式に使う古い型式のライフル銃を29丁以上、当局に手渡した、という。これらの点について、次のような疑いが持たれている:
1. 爆発事故は7月12日に起きているのに、当局による報告はなぜこれほど遅れたのか
?
過去10日間、爆発の実際の原因について多くの異なる説明が国際メディアで報道されている。
当局は爆発の真の原因を隠すために、このリリースを発表したのではないか?
2. 通常、仏教儀式においてはこうした類の粉や火薬は用いられない。
それなのに、なぜ当局はこれほど大量の火薬がこの僧院に存在していたと報じるか?
3. 報告によると、これらの粉は1994年以来、同僧院に保管されていたという。
その年から現在に至るまで、政府は定期的に実施された「愛国再教育」運動に加えて、同僧院の中を幾度となく捜索してきている。
その間、なぜ政府職員は粉の存在に気づかなかったのか?
4. チベット人が、貴重な宗教美術品や儀式の道具を、そのような粉と同じ保管庫に保存するなどということがありうるのか?
5. この爆発で死亡もしくは負傷した6名の僧侶は、僧院の倉庫管理人で、爆発が起きた時には昼食をとっていた、という。
電気的なショートが起きて粉に引火したとき、なぜ6名の僧侶達はその現象に気づかなかったのか?
中国当局の報道による原因を上述のように再検討すれば、爆発の原因について膨大な懸念や疑惑が浮かび上がってくるだろう。
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確認された情報によると、中国治安部隊は最近、3名のチベット人を逮捕した。
逮捕された者の名前と日付は次の通り:
7月15日にはセルタ郡のゴチョク遊牧村出身のラギャル、7月5日にはキユル・ゴパ
のテンダル、7月5-6日にはカンツァ・デパのソ・ロ。
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6月27日、ケルサン・ラモ(カンゼ地方ドラカル尼僧院の尼僧ツェワン・カンドの母親)が、娘の逮捕・拘束に続いて中国当局から集中的な圧力をかけられて、死亡した。
ケルサン・ラモは執拗な尋問と増大していく圧力によって健康を損ねていた。
また、当局はこの地域に対して厳格な規制を敷いており、大勢が逮捕されたり、殺されたり負傷したりしている。
亡くなったケルサン・ラモは、カンゼのドゥラ村出身。尼僧の娘ツェワン・カンドは5月28日、カンゼ郡役所で平和的なデモを行ったかどで逮捕されている。(詳細は5月29日のリリースを参照)
(以下、いつもの六か条要求)
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この爆発事件については昨日もお知らせしたがその時は「砲弾によるものか?」
と私が勝手に書いたのは間違いかもしれない。
しかし、この僧院の僧侶達に対し発砲したことは確かだ。
銃弾による死亡を偽装した疑いは濃いいと思う。
今までにも中国当局は死亡事件の後あらゆるデマをでっち上げて来た。
なのに今度の事件に関しても日本の報道機関は新華社伝をそのまま伝えているものが多い。
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今日はパルデン・ギャンツォ氏の証言会がポレポレ座で行われる。
パルデンさんは本当に運よく生き残り亡命できた生き証人の一人だ。
命掛けで素手の抵抗を行い、無念の内に殺されてしまった何万人という犠牲者が彼の後ろに立っている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)