チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2008年7月21日

デルゲのゾクチェン僧院の僧侶達を銃撃

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01978720.tif連帯委員会リリース 2008年7月19日
http://www.stoptibetcrisis.net/pr190708.html

<中国当局、デルゲのゾクチェン僧院の僧侶を銃撃>

信頼できる情報筋によると、7月18日、四川省カンゼ・チベット族自治区デルゲにて
、ゾクチェン僧院の大勢の僧侶達が治安部隊と衝突し、負傷した。

今年3月10日以降、ゾクチェン僧院に駐留していた大規模な中国軍は、過度な配備で付近のジャングルや山々で向こう見ずな狩猟を展開してきた。
この場所は、地域のチベット遊牧民ベユル・デモ・ジョン(すなわち、ゾクチェン・ルダム・ルン)の人々が、聖人の住んでいる神聖な場所と考えている土地である。
兵士らは自分達の行為の露見を防ぐため、チベット風の民族服を着てまでごまかそうとしていた。

こうした行動はチベットの風習や倫理観に反しており、さらにこの地域の法律にも違反しているため、仏教修行のためリトリートしていた地元の一人のチベット人高僧は、兵士達に狩猟を止めるよう説得しようとした。
だが彼はひどく殴られて、命を失った。

この事件を聞いたゾクチェン僧院の僧侶達は、7月18日午後3時頃、この地域の役所本拠地に不服を申し立てた。
ところが役人らは彼らの苦情を直ちに却下し、それどころか僧侶達を脅迫し始めた。それに続く混乱状態の中で、中国側職員達は僧侶の集団に発砲し、現職のロッポン(師/アーチャリヤ)であるトンタ・ケンポ・ツェリン・サンポを含む数名の僧侶が撃たれた。
大勢の僧侶は腕や脚を骨折した。
亡くなった者もいたかどうかについては不明である。
キャブジェ・ペマ・ケルサンほか、同僧院の高僧達によって事態は収まったが、大規模な中国治安部隊が駐留を続け統制も強化されており、緊迫した状況が続いている。ゾクチェン僧院は二つの支院に800名の僧侶を擁している。

ーーー

カンゼ・チベット自治区では、ダゴ地方にあるテホル・チョクリ僧院、ガンゴ尼僧院、カルセル尼僧院の僧侶や尼僧がしばらく前に一連の平和的抗議を行い、
僧院で推進されていた愛国再教育運動に抵抗して僧院を離れていた。
だが、今や中国当局は、彼らに戻ってくるよう呼びかけている。少数の僧院管理職員や年老いた僧侶達を除いて、僧院や尼僧院は空っぽになっているため、当局は彼らを呼び戻したくなったと考えられる。
当局は今度は年配の僧侶や僧院管理者らに対して、僧侶・尼僧達が各自の僧院に戻ってこなければ責任をとらせて罰を与える、と命じている。
当局の最近の発表によれば、こうした年配の僧侶は、僧侶や尼僧達の振る舞いや活動を監督し、保証しなければならない、という。

ーーー

これに先立つ6月26日には、ダゴ地方ダド地区ミギャグにあるテウォ・パル・ガギュル・ケンダップ・ノルサン・リン僧院の僧侶4名が、ダドの街で平和的な抗議行動を行い、「チベット独立」、「ダライ・ラマ法王の長寿」などを呼びかけるチラシを配布しながらスローガンを叫んだ。
この僧侶達、ケパ、ティンレー・ドルジェ、リンチェン・ドルジェ、ゴンポの4名は、抗議行動の後にうまく逃げおおせて付近の山に隠れており、まだ中国当局の手に落ちていないと考えられている。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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