チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年7月20日
シュクデン問題
日本に到着。
眠気と灰色の建物ばかりがどこまでも続く風景とで気の抜けたサイダー状態。
ところで久しぶりにシュクデンがNYで法王に対しデモを行った。
シュクデンの説明は長くなるが、、、
法王に反対するほぼ唯一の亡命チベット人グループ。
イギリスを中心に外人信者も多い。
10数年前私の先生でもあった論理大学学長ロプサン・ギャンツォ師を弟子二人と共に虐殺したこともあるグループ。
二か月ほど前、ダライラマ法王とチベット亡命政府に対し「宗教の自由を犯した」としてインドの裁判所に訴訟をおこした。
亡命社会では何度かシュクデン対策の会議が開かれたりした。
中国が後ろで糸を引いてるとみんなは信じてる。
<シュクデンがNYでデモ>
http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=21999&t=3&c=1
[Friday, July 18, 2008, Phayul]
パユル 2008年7月18日付
Y女史訳
西欧ドルジェ・シュグデン協会のメンバー約40名が、ニューヨークのラジオ・シティ・ミュージック・ホールの前でダライ・ラマ法王に反対するスローガンを叫
んだ。
メンバーは、ほとんどが西洋人の僧侶・尼僧からなっている。
「『Spirit 心霊』を崇拝するのはダルマ(仏陀の教え、仏法)とチベットにとって有害であり、ダライ・ラマ5世と13世によって推奨されていなかった」とするダライ・
ラマ法王の発言を受けて、「ドルジェ・シュグデンの霊」の信奉者は「ダライ・ラマ法王は宗教の自由を否定している」と主張している。
このことについてティーチング(仏教公開講座)で尋ねられた際、ダライ・ラマ法王は「自分自身も1951年から1970年代までは霊(スピリット)を崇拝していたが、自分が間違っていたと認識してからは止めた」と答えた。
法王は、「自分自身にはダライ・ラマとして『霊』の崇拝者達に警告する責任があるが、人々がそのアドバイスに従うか無視するかについては本人次第である」と述べている。
ダライ・ラマ法王のティーチングの後、ラジオ・シティ・ホールから出てきた大勢のチベット人や信者達は、西欧ドルジェ・シュグデン協会の代表グループと向かい合って、ダライ・ラマ法王を信奉するスローガンを唱えた。
ニューヨーク警察が両サイドにバリケードを張って、両者が物理的に衝突しないよう防いだが、混乱などの事態の発生は特に報じられていない。
チベット人は、中国が「シュグデン心霊」問題を操作して、その信奉者を炊きつけているのではないかと懸念している。
チベット社会におけるシュグデン信者の数は、年々減少してきている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)