チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2008年6月16日

峠で中国兵に逮捕されたジャミヤン少年の証言

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0cbde4ae.JPG昨日の続きです。

その学校で会った同じヒマラヤ越えをした6人の学生のうち、
ジャミヤン・サムテン当時17歳は寝過し道に迷ってしまったグループにいた
絵はジャミヤンに書いてもらった拘置所と拷問道具、涙を流す彼です。

訂正:日本のガイドブックにはナンパラの標高は5741m(昨日5710mと書いた)となっていました。

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以下彼の証言:

33人はガイドもいなくなり、道も定かでなくどうすれば良いのか判らなかった。
そのままそこに寄り添ってガイドが帰ってくるのをあてにして3日留まった。
3日後現れたのはガイドではなく、中国兵だった。
彼らは威嚇のためか廻りに銃を発射した。

全員捕まった。
山を下され、タシゾンの軍の駐屯地に連れていかれた。
そこで、中国兵たちの食事のあまりが与えられた。

次の日ディンリ(定日)の拘置所に移された。
ここに4日間いたが、毎日尋問があった。
ツァンパ(チベット麦焦がし)が1日に一回出たが、ネズミのフンが沢山混じってた。
最初の日には名前とか出身地とかの質問だけで何もなかった。
しかし次の日には、「ダライラマを知っているか?ダライラマはどこで生まれたのか?年齢は?」
「知らない、ダライラマのことなど何も知らないよ」
「嘘をいうな!」
と言って、殴ってきた、倒れると足で頭を踏みつけたり蹴ったりした

「父親や母親の名前は?」
「二人とも死んでいない、自分一人でラサで暮らしてたんだ」
「嘘言うな!」
と言ってまた殴る。
それからの三日間は同じような質問ばかりだった。
最後まで何も知らないといい続けた。

彼らは鉄のバックルのついたベルト、棍棒、電気棒を使って殴り続けた。
彼「この傷はベルトで殴られるのをよけようとしてできたものだよ。何度も続けてベルトで殴る」
彼の左手の肘のまわりには何本となく傷痕が残っていた。
私「電気棒でやられるとどんなになるの?」
彼「だいたい首の後ろに押し当てるよ。すぐにすごいショックが全身に走り、体中が燃えるように感じる。すぐに気絶することがほとんどだった。前に倒れたりする。
気が付いてもなかなかちゃんと立てないよ。フラフラになってる

そのあと、今度はシガツェの拘置所に送られた。
そこに2か月入れられてた。
食事は日に一度だけだった。

最初の1か月は大変だったよ。
毎日朝6時から夜の9時まで、
両手を前に上げその上に木の椅子を載せられ、そのまま腰を落として中腰にさせられ、頭の上にガラス瓶を載せられる。
頭からビンが下に落ちると、すぐに監視が来て殴られる。
またやらされる。その繰り返し

最初は5分とそうしてられない、震えが来る、冷汗がでてくる。
そのうちだんだん長く我慢できるようになるよ。
でも死ぬほど辛かった。
外で陽に当たりながらながらだったので喉もカラカラに乾いて辛かった。

後の1か月はそれが無くてまあまあだった。

2か月してラサまで送られ解放された。
金を工面して再び国境行きのトラックにのった。

私「どうしてまたやろうと思ったの?捕まると大変なのは判っていたのに」
彼「自分より小さい子供たちだってちゃんと亡命に成功している。
自分はもう大きいのだから、できないはずはないと思ったからだよ。
でも監獄の中国人は、今度またやったら銃殺だぞ!といってたよ」

「お金は国にいたとき<冬虫夏草>をたくさん採って自分で貯めてたのがまだ有ったし、少しは知り合いに助けてもらったりしたよ」

今回はダムの近くまでトラックで行って手前から山に入って、河を越えてネパールに抜けられた。
2006年の12月13日のことだったという。

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年少であろうと、女性であろうと拷問するのが中国の特徴だ。
恐怖が統治のテーマだから。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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