チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年6月9日
カンゼの状況一気に緊迫、僧一人死亡
6月9日付の委員会リリースより、
http://www.stoptibetcrisis.net/pressrelease/2008/may/pressreleaseinTibetan090608.pdf
ただしかし、上記のサイトはチベット語です。
なぜか今日は英語にアクセスできません。
以下はRFAで先に放送されたものです。
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昨日6月8日朝9時、カンゼ地区にあるサムテンリン尼僧院の尼僧ツェリン・ツォモはダゴゾンにて一人「ダライラマ法王をチベットにお招きし、玉座にお座り頂こう、、、」等の文面をしたためた文章をみんなに配り始めた。
直ちに軍隊に撲打の上逮捕された。
彼女が何かのスローガンを叫んでいたかどうかは不明。
さらに同日午後5時頃このことを知ったサムテンリンの尼僧全員が彼女を救うためにダゴゾンに向かった。
しかし途中ゴゲタンにて軍と武装警官隊に行く手を阻まれ、逮捕された。
目撃者の話によれば、その逮捕の様は尋常ではなく、寄ってたかって激しく撲打され、あるものは刀で切りつけられ、重体となり病院に運ばれた者もいたという。
この出来事を知ったチベット人たちは、中国のその残忍なやり方には堪忍袋の尾が切れたとして約500人~600人が政府庁舎の前に集まり「連れ去られた尼僧たちを解放せよ!もしも彼女たちが解放されない場合には本当に大きなデモをやる」と夜遅く9時ごろまで叫び続けた。
結果その日数人の尼僧が解放されたという。
本日(6月9日)朝9時ごろ軍隊の暴力により重症となった数人の尼僧だけが家族の背に負われ外に出されたという。
その内の二人は肋骨が折れており、数人は口も聞けない状態だった。
もっとも酷い重体の数人はそのまま遠く成都の病院に運ばれたという。
この尼僧院では、先の5月下旬尼僧院の近くで「チベットに独立」を求める文章が発見されたことがあった。
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<逮捕時の暴行により僧侶一人が死亡>
先の6月6日には、同じダゴゾンで僧侶三人がチベット独立のスローガンを叫びながら行進した。
僧ツェワン・ダクパ、テュプテン・キャンツォ、ジャンセム・ニマがその場で逮捕された。
そのうちの一人が死亡したとのニュースは先に入っていたが、今日その一人とは僧ツェワン・ダクパと判明した。
彼は逮捕の時軍隊や警官から非常な暴力を受け、重体となり病院に運ばれたが、医者は始めより手遅れだと言ったという。そして今日彼は死亡した。
今日この3人のデモの様子が詳しく伝えられて来た。それによると彼らは一度に3人でやらずに、一人がまず叫び、彼が捕まるのを見て次の一人、また同じように最後の一人というように連続してデモを行った。三人とも真白な服を着ていた。
僧侶たちが目を覆うばかりのリンチを受けるのを目の当たりにした周りのチベット人たちは心に深く傷を負ったという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)