チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年6月4日
中国が法治国家になるのはいつのことか?
以前より共同新聞はいい、時に拘束されながらもよく頑張ってると言ったりしていましたが、地震の現場でも大きな問題を中国の妨害にも関わらず取材し、ちゃんと報道してくださったので、転載させて頂きます。
最初のは現地より、次に北京からです。
<賠償阻止、北京五輪に不安 法治国家へ遠い道のり>
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008060301000651.html
【都江堰(中国四川省)3日共同】中国・四川大地震で校舎倒壊の犠牲になった生徒の親らによる損害賠償請求の提訴を当局が3日、事実上阻止し、取材記者も拘束した。自然災害による混乱という要素を差し引いてもなお、中国の法治国家への道のりが遠いことを示し、約2カ月後に迫った北京五輪に向け不安を残す結果となった。
中国政府は、3月のチベット暴動でチベット民族側の死者数や暴動制圧時の軍関与について明確にせず、国際社会から「情報隠し」と厳しく批判されたことを踏まえ、地震後は当初、外国メディアに広く取材記者証を発行し「透明性」を強調。
各国からの支援も積極的に受け入れて「国際協調」姿勢を示し、「開かれた中国」を大きくアピールする思惑だった。
だが、地震で多数の学校が倒壊、父母らが「手抜き工事が原因」として当局を批判する姿勢を強めたことに態度を硬化。
今回の提訴を1つ許せば、当局の責任を追及する訴訟が各地で頻発、社会不安につながる恐れはあった。だが胡錦濤政権が掲げる国民重視の「親民政治」の看板に傷が付いた印象は否めない。
<中国警察当局、親の提訴を阻止 共同記者一時拘束>
2008.6.3 12:47
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080603/chn0806031248006-n1.htm四川大地震
【北京=矢板明夫】中国・四川大地震の被災地の都江堰市で、取材中の共同通信社の邦人記者2人が中国当局に一時身柄を拘束された。地元当局は「地震で社会が不安定になっており、記者の安全を守る措置だ」とし、「逮捕ではない」と説明している。
3日午前、地震で校舎が倒壊し、約300人の生徒らが死亡した同市の聚源中学校の生徒の保護者ら約150人が地元裁判所周辺に集まり、損害賠償訴訟を起こそうとしていたところ、それを阻止しようとした警察官らと一時もみあいとなった。現場で取材活動をしていた共同通信の邦人記者2人が、警察官に取り囲まれ、取材を制止されたうえ、裁判所内に連行された。記者らは約1時間後に解放されたという。
提訴しようとしていた保護者たちは同日、学校の倒壊は手抜き工事が原因として、学校の校長らを相手に損害賠償を求めようとしたが、裁判所側は「提訴は受け付けられない。陳情部門にいけ」として提訴の受付を拒否した。
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つい数日前のニュースにも北京で今回のラサ騒乱の後、チベット人逮捕者を弁護することを名乗り出た、中国人弁護士が資格の延長が当局により拒否されたという。
そして行われた実際の裁判は全員、器物破損罪、とか傷害罪となり、つまりチベットに政治問題はないというために、政治犯はいないといった判決だった。
まるでそこには法治の概念自体がないか、積極的に無視するものと決めているのか、
何とも言えない無法政治の様が見えてくる。
前にもお知らせしたように中国には立派な法律がある、その中では人権も言論の自由も保障されている。
外の誰かお人好し(日本)とかから「貴国には人権がない」と言われたら、「何という言いがかり、ちゃんと人権は憲法により保障されている」というと効果があるから。
天安門広場も今日は厳戒態勢で、供養の類は全面禁止とか。
今夜、ダラムサラのツクラカンでは<天安門事件>のドキメンタリーフィルムの上映会が開かれるとか。
結局中国が自国の立派な法律を守りさえすれば、多くの問題はなくなるということでです。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)