チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年6月4日
ダライラマ法王ツクラカンにて四川地震被害者に対しモンラム
まずチベット歴では4月の始まり。今月はサカダワと呼ばれ特別の月です。
チベットでは、この月の間にサンゲ(仏)は生誕され、正等覚(悟り)を得られ、無余涅槃に入られたとされる。
特に月の半ば15日目の満月の日にブッダガヤで仏は最後の悟りに到達されたとされ、一年の中でも仏教的には最重要な日とされています。
西暦では今月の18日に当たります。
とにかく普通のチベット人にとっては、この月の間に積まれたソナム(徳)は倍増されるとかで、その倍率は2倍から100倍のようです。
例えば今月は特別に一回の五体投地で100回分の徳が積める(御利益がある?)と言った具合です。
この月には普段でも十分熱心に祈っていますが、されにそれに回数と熱心さを増すのです。
と、以上の説明はレストランのマネージャーのソナムに電話で聞いた話でした。
もっとも彼は最後に、流石サルナートのサンスクリット大学のシャーストリ(修士)だけはあって「本当は徳は心に依るだけで時によるわけじゃないけどね」と殊勝なことを行ってました。
その他この日は天安門事件の日(この話は後で)に虫歯の日に、息子の誕生日に、白い裏山に登頂した日に、、、
くだらないいろいろな日の話はやめて、
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ダラムサラでは朝9時、ツクラカンにダライラマ法王がお出ましになりました。
亡命政府主催で今回の四川(アバ・チャン)地震の犠牲者に対する供養、災害復興の速やかに行われることを祈願する法要が開かれたのです。
約2000人のチベット人や外人、日本人が参加し1時間半ほど続きました。
法王は充実した、しかし激務のドイツ、イギリス訪問を終えられ、最初はお疲れ気味の様子ともお見受けされた。
しかし、終わりにかけ、非常に気を入れられ、一心にに手を合わせておられました。
このチベット人の<祈りの心>が中国人には禁止されているのですね。
文化的に政治的に。
もっとも本当にそんなことで人間の<祈りの心>が
消えてしまうとも思えませんが。
明日、明後日二日間はTCVに行かれ学生達のためにお話しされます。
一般のたとえば日本人グループ(日本語通訳あり)も外で聞いてもよいとか。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)