チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2008年6月3日

ラサで若者3人が抗議の声を上げる。

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67ef9678.JPGチベット本土からの情報は以前極度に少なくなっている。
中国当局は情報規制を一段と強めていると思われる。
特に僧侶や尼僧の携帯は愛国教育中に取り上げられることが常のようだ。

情報が入って来ないからと言って、チベットではもう何も起こってはいないと言えるであろうか?
闇の中に捨て置くのが中国のいつものやり方だ。
僧院、尼僧院を中心にチベット全土で緊張は続いているし、衝突もいろんな地域で起こっていると考える。
軍隊が引き揚げた様子もない。
潜入レポートも皆無だ。

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6月2日付の委員会リリースに僅かばかり、
ラサで若者3人がスローガンを叫んだことが伝えられている。

Protest in Lhasa Again
ラサで抗議活動、再び
http://www.stoptibetcrisis.net/pr020608.html

幾つかの信頼できる情報筋によると、5月24日、ラサに住むチベット人が再び、
「チベット独立」のスローガンを叫びながら街頭でデモを繰り広げた。

同日正午過ぎ頃、チベット人の若者3人がトムシカン・マーケットに現れて、チ
ベット人店主らに向かって次のように叫んだ。
「あなたは、自分の店を開く余裕があるほどたっぷりツァンパ(チベットの主食、大麦の粉)を食べているのか?
今、チベット全体がこんなに苦しい目に遭っているというのに?」
そして店主らに、店を閉めてチベット人全体の苦しみとの連帯を示すように、と
呼びかけた。
(ここには今もジョカン周辺のチベット人商店は中国に対する抗議の印に一般に店を閉めているという背景がある)

その後、3人の若者達は<チベット独立!>等のスローガンを叫び始めた
制服を着ている治安部隊と私服警官の両方が、即座に彼らを押さえつけようとし
たが、若者達は逮捕に抵抗したため、短い乱闘の後、周囲を人々が走り回るよう
な騒動へと発展した。
爆発音を聞いた者もいるが、それが銃声によるものか催涙弾によるものだったのかについては確認できていない。
このため、バルコルとトムシカン・マーケットの中や周囲の店はすべて閉められて、人民警察による探索がよりいっそう強化されることとなった。
三名の若者の情報と事件の原因に関する詳細は不明である。

3月の抗議行動に続いて、ガンデン・チゥコル僧院とシャー・ブンパ尼僧院の僧侶
や尼僧達が大勢、拘束されていたが、5月初旬にペンポ郡で釈放された、と伝えら
れている。
だがこの僧侶や尼僧達は、それぞれの僧院に戻ることを地元役人によって拒否されていた。
後に、僧侶や尼僧達だけでなく地域の一般の人々からもつよい抵抗にあったため、当局は譲歩せざるをえなくなり、僧侶や尼僧達がそれぞれの僧院に戻ることを許可したという。
しかしこれらの僧院では、以前にも増して激しい愛国再教育運動が推進されていることを示す報告が、途切れることなくあがってきている。

現在も続いているチベット域内における危機的な状況を鑑み、我々は国連および
国際社会・国際機関に対して、以下の点を大至急要請する:

1. チベット域内に、独立した国際事実調査使節団を大至急派遣すること
2. 中華人民共和国政府に対して、自由な報道機関がチベット全域に無制限にアク
セスできる許可を出すよう、圧力をかけること
3. 中華人民共和国政府に、チベット全域における残虐な殺戮をやめるよう、圧力
をかけること
4. 逮捕・投獄されているすべてのチベット人を即刻釈放すること
5. 怪我をしたチベット人達に大至急、医療措置を施すこと
6. 人々の自由な移動を許可し、生活必需品が手に入るようにすること

チベット連帯委員会

(以上)

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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