チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年5月28日
アムド アバ 逮捕 拷問死
アムド・アバ(ガバ、ンガバ)と言えば、地震の震源地に近い地域であるが、
アバも広くて北のキルティゴンパのあたりでは地震被害は軽微だったようだ。
しかし、武装警察の締め付けは一向に緩む気配もないらしい。
愛国再教育に逆らったとして、逮捕されたり、デモの後の逮捕、指名手配、
そして拷問死が伝えられてきた。
今日のBBCで、アムネスティ インターナショナルが現在もっとも人権侵害の顕著な国と地域として、ビルマ、イラク、ガザ、ダルフォール、ジンバブエを上げていた。
なぜ、中国のチベット地区が入らないのか!?
何千人と言う<良心の囚人>が獄に繋がれ、日常的に拷問を受けているというのに。
何?証拠が少なすぎるって!?
それとも相手が悪すぎるって。
http://www.stoptibetcrisis.net/pr270508.html
連帯委員会 2008年5月27日 リリース
Y女史訳
2008年5月24日、中国当局による極限までの拷問により、アムド県ガバ郡出身
58歳のチベット人、パルツェル・キャブが、獄中で死亡した。
彼は中国政府に抗議行動を行った後、4月下旬に逮捕されていた。
同様に別の一例では、タクホという名のチベット人は拷問により両脚の骨を折られた後、病院へ運ばれたという。
さらに彼の兄弟チョーペの居所も不明のままである。
二人はガバ地区チャルパ村出身で中国警察に釈放された直後に死亡したという母親ネチュンの息子達だ。
2008年5月23日、アムド県にあるアバ寺院の二人の僧侶ロブサン・ドルジェとク
ンガが、いわゆる「愛国教育」に従わなかったとして逮捕された。
タクツァン・ラモ・キルティ僧院では、中国当局が二ヶ月間「愛国教育」を続け、日々の仏教的活動が惨憺たる状態になり、ついに僧院の機能を維持できなくなった。中国当局は、平和的抗議行動にかかわった190名の僧侶を除いて、寺院内で祈
りの集会を執り行うことを承諾したが、残った僧侶達は、190名の僧侶がいないか
ぎり従うことはできないとして、拒否している。
同じくアムド県アパ地域のセ僧院では、中国当局が厳格な制限を課したことに
より、僧侶達は法要や講義を行えなくなったため、この僧院はもぬけの殻
となってしまった。
ユルキョン僧院の僧侶で、アムド、レブコンにあるキルティ僧院に学生として登
録していたジャミヤン・チュペルは、2008年3月に逮捕され、15ヶ月の拘留尋問を
宣告されたが、その申し立ての内容(逮捕された事由)は不明のままである。
また、アバ地域にある他のキルティ僧院の僧侶ルンドゥップは2008年3月に逮捕された
が、その後の彼の所在は知られていない。
別の事件では、中国当局は、三名のチベット人・リダク、メンキャブ、グソの
所在について情報をもたらした者に、一人当たり10万元(約150万円)の賞金を出す、と発表している。
このチベット人三名は2008年3月、カンゼのセルタ郡プグ・シャンで平和的なデモを行い、中国当局による逮捕から逃れている。
さらに、中国当局は彼らが投降しなかった場合は死刑に処す、としている。
5月16日、彼らの一人が中国当局に自首したという。それ以来彼は行方不明となっている。この三人のチベット人は地元のビジネスマンで、地域のチベット人にとって非常に頼れる存在だったという。
同様に、二人のチベット人、スンキャブとドゥクポ(30歳の妻がいると言われて
いる)は、セルタ郡で先ごろ平和的デモに参加したとして逮捕された。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)