チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年5月22日
イギリスご訪問中のダライラマ法王のお話
イギリスご訪問二日目のダライラマ法王。
左の写真はロンドンメトロポリタン大学より、名誉博士号を送られたところ。
記者会見の席とかで話されたお話を幾つか紹介します。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=21343&article=%22Human+values+more+important+than+economy%22%2c+His+Holiness+tells+Britain
オリンピックに行くのか?については
「私が(オリンピックに)招待されたという印はない。
ある中国人が私をオリンピックに招待したいと言ったということは聞いている。
もしも次回の対話が具体的で、建設的で、チベット内地の状況が改善され、長期的解決が約束されるようなら、私は(招待されるなら)行くであろう」
オリンピックトーチについては
「トーチを妨害するのはやめるように、特にこれをチベット人に言いたい。
私は始めよりオリンピックを支持すると言っている。トーチもオリンピックの一部であるからこれを我々は守らなければいけない」
「秋になれば中国が対話に本気なのかどうか、<単にオリンピックのため>なのかが解ることであろう。これはチェックすべきことだ」と付け加えた。
「経済は大事だ。しかし人間性(human values) はそれ以上に大事なことだ。もっと大事なことは沢山ある。人権問題とか、環境問題とかだ。
あなた方がビジネスにおいて中国と緊密な関係を作るのは良いが、その時にも<信念(正義、主義)principles>を忘れてはならない。」
中国に対するに仏教の話を引き合いに出し
「真の友人とは、相手の間違いや不完全さを指摘し、悪行を叱責する人のことだ。その人はあたかも隠された宝物を探し当てる人のように尊敬される」
「私は常に中国を孤立化させることに反対してきた。それは良くない。中国は重要な国だ。尊重すべきだ。友人同士のマナーで相手の間違いを指摘することが大事だ」
さらに自分のこの世での使命は三つである、として
「温かい心等の基本的人間性(の価値)を増進させることpromote basic human values, such as warm heart;
様々な宗教間の調和を増進させることpromote inter-religious harmony 。
そして最後にチベットのために働くことだ。
それは自分がチベット人として生まれ、偶然ダライラマとして生まれ、チベット人が私に対し多大の信頼を示してくれているからだ。
最初の二つについては一生死ぬまでこれを使命とするが、最後の一つは私がある程度の自由とともにチベットに帰還できた時に終わるであろう」
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)