チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年5月21日
カム、カルゼの戦いは休みなく続く。尼僧に続き若者達も立ち上がる。
http://www.stoptibetcrisis.net/pr200508.html
カルゼでは今、毎日チベット人たちの必死の抵抗を示す叫び声が上げられ続けられています。
私は、この状況はカルゼに限らず、チベット全土で程度の差こそあれ、起こっている状況だと思います。
以下Y女史に翻訳して頂きました。
5月19日、二名のチベット人、
ミキャ・ドルジェ・ギャルツェンと
タシ・ワンギェル
がカルゼ(カンゼ)の通りを歩きながら、スローガンを叫び始めた。
彼らは<ダライ・ラマ法王にご長寿を!
チベットへのご帰還を!
チベットに自由を!
チベット問題の早期解決を!
逮捕されたチベット人達の即時釈放を!>と叫んだ。
二人はその場でただちに逮捕された。
信頼できる情報筋によると、その前日の5月18日、カルゼ寺院の僧侶5名が現地時刻午前10時頃、平和的な抗議行動を行った。
大規模な武装部隊が配備され、人々(特に僧侶と尼僧)の活動には厳戒な規制が
敷かれているにも関わらず、5名の僧侶がかろうじてカンゼの街に入り、スローガ
ンを叫びながらチベットの独立を求めるビラを配り始めた。
5名の僧侶、
ジャンパ・ドルジェ(21歳)、
パルデン・ティンレー(20歳)、
ゴンカル・ティンレー(17歳)、
ジャミヤン・ツェリン(18歳)、
ツェワン(20歳)は、
まもなく治安部隊に取り囲まれ、容赦なく打ち据えられた後、逮捕されてどこか
へ連れ去られた。
5月17日には、チベット人の若者達がカルゼの街中で平和的に抗議を行い、中国治安部隊に逮捕されたと伝えられている。
抗議行動の後に逮捕された7名の若者は、
1)ツプテン、
2) ルンルン・ソナム、
3) イェシ・ジグメ、
4) チョペル、
5) ペマ・ヤンチェン、
6)チョグナ、そして、
7)ゲチュン村出身の少女一名。
全員が18歳未満である。
また5月18日には、パン・リナ尼僧院の職員である
カンド・チェツォ尼(35歳)
が突然逮捕された。
その直前の同日朝には、以前のリリースでお伝えしたように、パン・リナ尼僧院の管長でありカルゼで広く尊敬を集めている仏教指導者、トゥルク(活仏)・ブ
ルブ・ツェリンが逮捕されている。
トゥルク・ブルブ・ツェリンが逮捕されてまもなく、トゥルクが建設して運営し
ていた養老院で暮らしていた人々が屋外に集まり、恩人の釈放を求めた。
だが治安部隊によって無理やり部屋まで追い返され、解散させられた。
それ以来、この養老院は封鎖されてしまっている。
同様に、カルゼのヤ・ツェ尼僧院は軍隊の厳格な監視下に置かれており、中国武
装警察が厳重に周囲を取り囲んでいる。
若い尼僧達は、強制的に自宅へ帰された。
この尼僧院は、まさに一触即発の状態に置かれている。
カンゼでは一連の反政府抗議活動が激しさを増しながら続いているなかで、武装
警察の配置がさらに強化される兆しが現れている。
それによって、この地域における規制と抑圧はさらに厳格なものになることが予想される。
現在も続いているチベット域内における危機的な状況に鑑み、我々は国連および
国際社会・国際機関に対して、以下の点を至急要請する:
1. チベット域内に、独立した国際事実調査使節団を大至急派遣すること
2. 中華人民共和国政府に対して、自由な報道機関がチベット全域に無制限にアクセス できる許可を出すよう、圧力をかけること
3. 中華人民共和国政府に、チベット全域における残虐な殺戮をやめるよう、圧力をか けること
4. 逮捕・投獄されているすべてのチベット人を即刻釈放すること
5. 怪我をしたチベット人達に大至急、医療を施すこと
6. 人々の自由な移動を許可し、生活必需品が手に入るようにすること
チベット連帯委員会
(以上)
逮捕された一人一人の今の非情な境遇を思う。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)