チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2008年5月19日

カム、カルゼ、尼僧たちの捨て身の抵抗は続く

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a5ef71e1.JPG左の地図はカンゼの市街地。
川に掛かる橋を左手から右手にかけて尼僧たちが決死の行進を行い、その途中で左手から来る武装警察に尼僧たちは無残な暴行の末逮捕される。

カム、カルゼカンゼ)では武装した中国部隊と僧衣一つのチベット人たちの戦いが激化している。

特にこのところ尼僧たちが立ち上がることが続いている。
尼僧が逮捕されると、そのあとの拷問は特別に非人間的なものになることがこれまでの証例からして多い。

以下17日付TCHRD伝をY女史に翻訳して頂きました。

h ttp://www.tchrd.org/press/2008/pr20080517a.htmlTCHRD 緊急リリース
2008年5月17日(一部)

 中国当局による「愛国再教育」運動は、チベットの人々の間に大きな不安と憤りを掻き立ててきた。
なぜなら、それはダライ・ラマ法王を非難して公式文書に署名する僧侶や尼僧だけが
寺院に残ることができ、当局の命令に従わなかった場合は寺院から追放され、あ
るいは投獄される、というものだからだ。

TCHRDは、最近カム、カルゼ郡で行われている「愛国再教育」運動とその結果について散発的に情報を入手してきた。

そのうちの一つが、ドカル尼僧院の12名の尼僧達がカルゼで中国当局に対する抗議のかどで逮捕された、というもの。

2008年5月11日、まずドカル尼僧院の尼僧二名が四川省カム、カルゼで
中国当局への抗議を示した後、逮捕された。
尼僧の名はソナム・ラモと
トゥプテン・ドルマ。
「宗教の自由」を叫び、「愛国再教育」やダライ・ラマ法王への非難を強要され
ることに対して憤りを表明したところ、中国治安部隊により逮捕拘束された。

翌5月12日の午後(地震が起きた時間のはずだ)、カルゼにて尼僧のグループが中国当局に対して抗議を行った。
抗議の最中、ドラカル寺院の尼僧10名が治安部隊によって逮捕された

逮捕された尼僧達の名前は以下の通り:

1. Tashi Gha
  タシ・ガ
2. Thinely
  ティンレー
3. Sonam Yangzom
  ソナム・ヤンゾム
4. Tamdin Choekyi
  タムディン・チュキ
5. Yangkyi
  ヤンキ
6. Lhamo Choekyi
  ラモ・チュキ
7. Jampa Lhamo
  ジャンパ・ラモ
8. Dickyi
  デェキ
9. Nyima
  ニマ
10. Bhuti
  ブティ

5月14日、カルゼ郡ガンデン・チュリンの尼僧達が、中国当局に対して抗議活動を行った。
(訳注・TCHRD5月15日リリース参照・「チベットNOW@ルンタ」5月16日に掲載)

この抗議活動は午前9時(北京標準時)、カルゼ・ガンデン・チュリン尼僧院の数
名の尼僧らがカルゼで行ったものだ。

尼僧達は抗議を行い、橋の反対側にあるカルゼ郡役所に向かって行進した。
彼女達がカルゼ橋を渡ろうとした時、約300名の公安省(PSB)と人民武装警察(PAP
)がやってきて、抗議の声をあげている尼僧グループが橋を渡って郡役所へと向かうのを阻止した。

もみ合いの最中、尼僧3名が治安部隊の包囲網を破って郡役所に到達し、抗議活動を行いスローガンを叫んだ。だが数分以内に彼女達は逮捕され、治安部隊によって
激しく殴打されたという。
逮捕されたのは、ドルジェ・カンド、タクドン、ペマ・ラモの3名である。

一方、橋の周辺で中国治安部隊に阻止された尼僧達の行方や状態については今のところ情報が得られていない。

TCHRDは、逮捕された尼僧達の今後について深い憂慮を示すものである。
中国の拘置所では拷問が加えられるのが通例だ。TCHRDは中国政府に対して、
逮捕された尼僧達に基本的な人権を保障するよう要請する。彼女達に、決して
拷問や虐待が加えられてはならない。TCHRDは中国指導部に、拘束した尼僧達の
即刻釈放を強く求める。

以上

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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