チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年5月18日
特使との正式会談始まるか?
中国側がダライラマ特使との会談を、それもこの前のような非公式のではなく公式の第7回目の会談を再び始めたい、と伝えてきた。
中国側は一か月後ではどうか?と言ってるとか。
これは朝11時ごろあるところから突然入った情報を確認するために情報省のスポークスマンであるサンペル氏に日曜にも関わらず電話して確認したところの情報です。
もっとも彼は「どこからその話を聞いたのだ?」と聞き返したりしてまだ言いたくないのだが、、という感じでした。また最後には法王庁のチメ テンジン氏に確認するように、、、とも言われました。
その後チメ テンジン(タクラ)氏に電話しましたが、彼はその時電話を切って居られました。日曜日ですしね、家族もいるし、可愛いお子さんもいらっしゃるし、でまだそれから電話してません。きっとしないでしょう。
午前中にまずNHKさん、午後に共同さんが発表されましたから、きっと独自に確認されたのだと信じます。
「まだ何も具体的なことは決まってはいないけど、もちろんこちらとしてはどこでもいつでも無条件で対談に臨む用意がある」
「法王が呼ばれたわけじゃないですよね?そんな噂もありますが」
「ほうそれが本当なら嬉しいことだね、まったく、でもそれは無いよ」
「今度のはこの前(インフォーマル)と違って正式(フォーマル)会談なのですか?」
「そのようだ、実現すれば第7回会談ということになる」
このような話でした。
なお出席されるのはこの前と同じ代表ロディ ギャリ リンポチェとのこと。
もっとも町ではもう既に知ってた人も多いようですが、こちらのメディアはまだ私の知る限り発表してないようです。
先ほど、AP伝:首相のサンドゥ リンポチェがスットクホルムで発表が一番だ、と友人から連絡がありました。
誰が一番でもいいんだけど。
というより、またそんな恰好だけ!と思う訳です。そしてこのタイミング!地震で大変な時じゃないのかな?
今までの正式会談と言っても法王が<独立はとっくに捨てた自治で良い(中道路線)>と言ってることですら一度も認めたことはない。
チベット人への弾圧もその間、特に2006年からは強化されてきた。
正規の対話となると<アムド、カムの帰属問題>が含まれる。
これに中国が同意する可能性は限りなく0に近い。
対話の相手も中央政府の要人なんかじゃない。
内務省の少数民族委員会のチベット族担当官なのだ!
第一中国はチベットを取るために軍を進めたのだ。遊びに来たわけではない!
追い出さない限りもちろん自分から帰って行くわけもない。
その統治の性格は所謂植民地支配である。中国に西洋的概念としての植民地支配があるわけではなく昔ながらに戦って取った、土地やそこの人たちをどうしようと勝った支配者の勝手だろう!というやつに近いですがね。
先週一週間だけでも<愛国再教育>に抵抗して抗議の平和行進をしたケースは10を超える。逮捕者は先週だけで100人を超える。
文化大革命時代と同じ踏み絵を今もチベット人に対して強要している。
地震の中国側の被災地には報道関係者を自由に受け入れておきながら、もちろん一切<チベット>と発音することもなく、チベット圏に入れることもない。
ま数万人規模の軍隊をチベット人を封じ込めるために配備居るのだから、きっと沢山の瓦礫の下敷きとなったチベット人を救助するためには働いてくれたことでしょう!?
<対話?>とは世界を欺く丁度いい言葉、西側世界の多くの国も(金の話もあるし)最初からこのことを解ってて中国に逃げを与えてるだけ。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)