チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年5月12日
ダライラマ法王も中国人に対して行じられると言うトンレンの行とは?
今日は月曜日と言うことで週に一度通ってるライブラリー(Library of Tibetan Works & Archives Dharamsala)の仏教講座に行ってきました。
このクラスをもう30年近く担当してるゲシェ ソナム リンチェン師は私の20数年来の師でもあります。
最近このクラスに通ってる数人の日本人に勧められるまま、このところこのクラスのレビュークラスをその時のノートを許にルンタレストランでやってます。
本当のクラスには出ずにこの時だけ現れる日本人も歓迎してます。
クラスは先生がチベット語話し、それを通訳のルースが英語に訳すというスタイルです。ですから英語の苦手な日本人は外人に比べて理解に時間がかかる場合が多いようです。
今日は丁度、トンレンの行についてでした。丁度というのは最近「法王が毎日中国人い対してトンレンの行を実践している」という記事を目にしていたからです。
この記事、4月3日付中外日報に法王の言葉として、M女史が報告していらっしゃいました。
それによると、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「この暴動が起きた当初、私は1959年に亡命を余儀なくされた時と同じ悲惨な体験をした。
毎日本土からの情報が届き、この数日は心配と不安で押しつぶされそうだった。
しかし、夜いったん眠りに就けば、そういう感情に邪魔されすことなく、眠ることができる。それには秘訣があるのだ。長年の訓練の結果である。
私は毎日朝三時半に起きて瞑想をし、祈りを捧げるのだが、その瞑想の中で<トンレン>と呼ばれる修行を毎日行う。<トンレン>とは<ギブ アンド テーク>の意味だが、相手の抱えている苦しみや不幸を自分が全て引き受け、その代りに自分が持っている徳や心の平和なで、すぐれたものを皆相手に与える、という感想を行うのである。
そこで中国人たちの怒りや憎しみ、不安や疑惑などすべてのネガティブなものを自分が引き受け、自分の心の平和と徳を、中国人や暴動を起こしているチベット人たちに与える、という観想をするのだ。
実際にそうなるわけではないが、私の感情面ではこれが大いにうまく働いている」
「心が怒りに満ちていれば眠ることもできない。心配や不安があると心の平和は乱され、チベット問題の解決はない。
これは個人、家庭、国際社会のレベルにおいても同じことであり、恐怖、不信、疑惑があると、それは問題解決の大きな障害となる。
真の問題解決は、互いを尊重し、信頼することから生まれる。そしてリアリティーを正しく見てアプローチすることが重要であり、心が惑わされているとリアリティーが見えない。だからすべての人達に状況を現実的に見るようにと私は言っている」
「暴動が起きてからの状況は、虎が若い小鹿をその爪に捉えているようなものだ。小鹿は虎に立ち向かえるのか?い言えば、気持ちはあってもそれは無理だ。私たちの武器は正義と真理であり、その結果が出るには時間がかかる」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一旦ここまで。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)