チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2008年5月11日

ラサ近郊ラトゥー僧院僧侶32人逮捕

Pocket

ラトゥー昨日、簡単にお伝えしたラトゥーゴンパの話に反応して
見も知らぬA女史からメールで僧院と村を訪れた時のことを報告して頂けました。

左の写真はA女史がラトゥーゴンパの中で撮られた写真です。
おそらくゴンカン(護法堂)の中と思われます。
パルデンラモが跨ってる神馬かも?
スタイルと色からしてかなり古い(少なくとも百年以上前か?)壁画に見えます。
悲しそうな表情の馬の目から涙が溢れてる、、、と見えなくもない。

うちのルンタも<風の馬>で同じチベットの馬。
こちらも空で泣いています。

_____________________________

そのラトゥー僧院の話を少し詳しく報告します。
http://www.tchrd.org/press/2008/pr20080509a.html

ラサで騒乱が発生した同じ日の3月14日まず僧侶の一団が抗議の平和行進を始めた。
それに村人が加わりながら政府庁舎まで<チベットに自由を!><チベット独立!><ダライラマ法王に長寿を!>と叫びながら2キロ半ほど行進した

庁舎に近ずくとそこに待っていた保安部隊に行く手を阻まれ、蹴散らされた。
しかしその時には誰も逮捕されなかったという。

その後僧院に<愛国再教育キャンペーン>グループがやってきて夫々の僧侶を彼らの前にひざまずかせ、頭を押さえて服従することを強いた。
しかし誰一人従うものはいなかったという。

4月16日の朝4時半、突然数百人の武装警察隊と保安部隊が僧院に押し掛け、本堂その他各僧房も徹底的に家宅捜査された。武器を捜査すると言ったとか。
結局もちろん武器は見つからず、ダライラマ法王の写真とすべての僧侶の携帯電話が没収された。

その日のうちに50人が3月14日のデモに参加したとして逮捕された。
その後18人が解放されが以前32人の僧侶がチュシュル拘置所に拘束されたままだ。

逮捕された僧のほとんどは20代の若い僧侶だという。
その中珍しく45歳のナムカは1989年にも平和的デモをして2年の刑をダプチ刑務所で過ごしたという。

変わった逮捕者に一人にツプチョックというチベット人がいるが、彼はこの僧院を<再教育>させるための<執行チーム>の責任者だったという。

逮捕された僧侶との面会は誰にも許されていないという。
家族の者たちは彼らが酷い扱いを受けているのではないかと心配している。

以下私
つまり彼は十分に僧侶たちを教育できなかったとして逮捕されたというわけだ。
<再教育チーム>を命じられた側も必死というわけだ。
拷問を与えられる側だけでなく、与える側も脅迫されている。
皆が恐怖の中にいる。
これが中国だ。

____________________________

以下にラトゥー僧院とその付近の風情を伝えてるA女史のメールを転載させて頂きます。

ラトゥーゴンパ(2005年の7月の状態。)

古い壁画を見に行っただけでしたので、お寺の写真が無くてすみません。

幹線道路から舗装されていない道車ですこしいくと、小さな農村の中にありました。
山に向かった道にぽつんと見える村です。
漢民族の方は見かけなかったと思います。
幹線道路の脇を固めている町と比べて、いわゆるチベットらしい感じがしました。
お寺のお坊さんが案内してくれました。いりぐちに変な木の棒が束になってぶら下がっていたので、
「なんですか?」と、聞くと、「今年は~~しますという誓いの証の棒です。」とこたえました。
それぞれのお坊さんの手先からひじまでの長さの棒だそうです。(ききまちがいでなければ。)
壁画の馬がかっこよかったので、写真を取らせてもらっていたら、
「すごい!真っ暗なのにはっきり映ってる!」とびっくりしてくれました。
ラサに近いけれども、すごく素朴な方々だった印象があります。

ニェタンドルマラカンのあたりは観光地?っぽくかなり整備されていた気がします。
幹線道路脇の建物は、一応チベット風を意識して立てられたものだと思いますが、
本物の石造りのほうが断然いいですね。

Nyethang Township, Chushul County, Lhasa Municipality, “Tibet Autonomous Region” (“TAR”).

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

ちべろぐ

Archives

  • 2018年3月 (3)
  • 2017年12月 (2)
  • 2017年11月 (1)
  • 2017年7月 (2)
  • 2017年5月 (4)
  • 2017年4月 (1)
  • 2017年3月 (1)
  • 2016年12月 (2)
  • 2016年7月 (1)
  • 2016年6月 (1)
  • 2016年5月 (9)
  • 2016年3月 (1)
  • 2015年11月 (1)
  • 2015年10月 (2)
  • 2015年9月 (4)
  • 2015年8月 (2)
  • 2015年7月 (14)
  • 2015年6月 (2)
  • 2015年5月 (4)
  • 2015年4月 (5)
  • 2015年3月 (5)
  • 2015年2月 (2)
  • 2015年1月 (2)
  • 2014年12月 (12)
  • 2014年11月 (5)
  • 2014年10月 (10)
  • 2014年9月 (10)
  • 2014年8月 (3)
  • 2014年7月 (9)
  • 2014年6月 (11)
  • 2014年5月 (7)
  • 2014年4月 (21)
  • 2014年3月 (21)
  • 2014年2月 (18)
  • 2014年1月 (18)
  • 2013年12月 (20)
  • 2013年11月 (18)
  • 2013年10月 (26)
  • 2013年9月 (20)
  • 2013年8月 (17)
  • 2013年7月 (29)
  • 2013年6月 (29)
  • 2013年5月 (29)
  • 2013年4月 (29)
  • 2013年3月 (33)
  • 2013年2月 (30)
  • 2013年1月 (28)
  • 2012年12月 (37)
  • 2012年11月 (48)
  • 2012年10月 (32)
  • 2012年9月 (30)
  • 2012年8月 (38)
  • 2012年7月 (26)
  • 2012年6月 (27)
  • 2012年5月 (18)
  • 2012年4月 (28)
  • 2012年3月 (40)
  • 2012年2月 (35)
  • 2012年1月 (34)
  • 2011年12月 (24)
  • 2011年11月 (34)
  • 2011年10月 (32)
  • 2011年9月 (30)
  • 2011年8月 (31)
  • 2011年7月 (22)
  • 2011年6月 (28)
  • 2011年5月 (30)
  • 2011年4月 (27)
  • 2011年3月 (31)
  • 2011年2月 (29)
  • 2011年1月 (27)
  • 2010年12月 (26)
  • 2010年11月 (22)
  • 2010年10月 (37)
  • 2010年9月 (21)
  • 2010年8月 (23)
  • 2010年7月 (27)
  • 2010年6月 (24)
  • 2010年5月 (44)
  • 2010年4月 (34)
  • 2010年3月 (25)
  • 2010年2月 (5)
  • 2010年1月 (20)
  • 2009年12月 (25)
  • 2009年11月 (23)
  • 2009年10月 (35)
  • 2009年9月 (32)
  • 2009年8月 (26)
  • 2009年7月 (26)
  • 2009年6月 (19)
  • 2009年5月 (54)
  • 2009年4月 (52)
  • 2009年3月 (42)
  • 2009年2月 (14)
  • 2009年1月 (26)
  • 2008年12月 (33)
  • 2008年11月 (31)
  • 2008年10月 (25)
  • 2008年9月 (24)
  • 2008年8月 (24)
  • 2008年7月 (36)
  • 2008年6月 (59)
  • 2008年5月 (77)
  • 2008年4月 (59)
  • 2008年3月 (12)