チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2008年5月8日

続チベット脱出唯一証言者ソナム

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ソナムはガランとした一時収容所の追いなドミトリーの一番奥の一等席を占領して静かに本を読んでいた。
色が黒くて広い肩をもったがっちりした典型的なカムの男の風情。

ラサでチベット人が沢山殺された話はもう嫌というほどいろんな国の人に話しただろうからと、周りの話を聞いてみた。

まずは彼の家族のこと、
そうその前に彼が中国を脱出してダラムサラに辿り着いたことはもう中国にしられているとのことだ。
彼はネパールから中国の成都にいる兄に電話したのだが、その時お兄さんの言うには「もう国の家族のところには中国の警察がお前のことで来たという。でも今のところはただ帰って来るように言えと言われてるだけだ」と伝えられたそうだ。
「だからもう家族のことを話しても大丈夫さ」と言ってました。

彼の実家は黒いグル(ヤー毛テント)、ヤー(ヤク)が20~30頭、ヒツジが100頭、馬が7,8頭、その他ロバとかヤギとかいるという。まったくのカムの遊牧民だ。
母は亡くなり、年老いた父と兄弟3人それにアチャラが一人娘が3人、一緒に暮らしているという。<アチャラ(女の人)>とは奥さん?「籍に入ってるわけじゃない」といってたが、、、それ以上聞かなかったが、その辺は、遊牧民独特の結婚形態状態なのかも知れない?

彼は1988年にラサでデモして6か月刑務所にいただけではなく、カムのダルツェドでも逮捕され5年の刑を受けたという。それは1999年10月1日、その日は中国の祝日(共産党結成記念日??)で国旗が広場に掲げられた(いつもあるのかも?)。彼は仲間3人とその国旗を引きずり下ろした。しばらくしてまた揚げられたところをまた下ろした。そして逮捕され5年の刑を食らったという。中国国旗を降ろせば禁固刑5年というのが中国です。

それにしても彼がラサで今度また捕まったら刑期20年と計算したのは、こんないきさつからなのだと私の計算とも合うなと納得。
必死に逃げようとしたわけです。

途中ですがそろそろ特使の記者会見がはじまりそうです、また。

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筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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